2019年6月25日火曜日

共通テスト

大学入試制度改革が進んでいます。

2021年度、現在の高校2年生からセンター試験から共通テストに移り変わり、英語の民間試験を利用し4技能の検定を導入するなど、大きく移り変わっていきます。

その中でも共通テストでどのような問題が出題されるかが、おおよそ分かってきました。

参考文献


共通テスト スマート対策 国語現代文






問題を見ていきますと、大方で言われているように「知識」を問う問題が減って、「思考力」を問う問題が増えています。

ただし、ここでいう「思考力」というのはどちらかといえば、学術的考察力というよりは社会人として当たり前に求められる洞察力や文章読解の能力のように思えます。
難関大学を目指し、将来は研究職などを目指している生徒にとってはむしろ簡単だと感じられる問題が多いように思えます。
逆に単純な丸覚え学習ばかりを積み重ねて、考える力を養ってきていない生徒にとっては辛い試験になるでしょう。

大学進学率が上がり、研究者や技術者志望の限られた人ばかりではなく、当たり前の会社員になる人々に大卒の学歴が求められる今の日本の現状に合致した試験になっているように思えます。
研究者の排出を目的とするような難関大学での試験としては、あまりふさわしくないようにも思えます。そうした大学ではますます2次試験を重視した配点になっていくのかもしれませんね。


共通テストの問題が判明してきましたが、各大学が共通テストをどう利用し、これまでとどう変わっていくかはまだ見通しが立ちません。
学習塾としては、今後の動向も注意深く見守っていく必要があるところです。



2019年6月3日月曜日

教室の地図を更新

教室のパンフレットや、配布する塾のチラシの一部は私が自分で作っています。

パンフレットに用いる教室の地図を作り直しました。

これまで使っていた地図


新しい地図


今まで使っていたものより、だいぶ詳細にしました。
ドロー系と呼ばれるデザインソフト(ADOBE社のイラストレーター)を用いて描くのですが、このソフトを用いるにはマジェ曲線というものの扱いが肝要なのですが、独特の慣れのいる操作が必要で思ったように線を引くのがだいぶ難しいのです。



2019年6月1日土曜日

就職に強い工学部

理系の高校生の多くが工学部を志望します。

理系の大学の学部には、ほかにも「医学部」「薬学部」「理学部」「農学部」などがありますが、なぜ工学部が人気なのでしょうか。

多くの生徒がこう口を揃えます。

「工学部は就職に強いから」

最近の子供は、親の世代が就職に苦労していて、その薫陶を受けているせいなのでしょうか、だいぶ現実的です。

工学部が就職に強いというのは間違いがないのですが、どういう理屈で工学部が就職に有利だということについてはあまり分かっていない生徒や保護者が大半ですので、今日の記事ではその仕組みについて大雑把に説明します。

結論から言うと、

工学部の生徒の大半は、

大学院(修士課程)まで進学し、学士課程と修士課程を通じて実験等の技能を身に着け、その後に技術者として就職がする

のです。
特に愛知県のような工業地域では、技術者へのニーズは多いですので、工学部への進学は就職に有利といって間違いではありません。

ただ、注意しておくべきところは、技術者としての就職は大学院までの進学が前提であることを抑えておくべきでしょう。
大学卒業してすぐに就職をしようということになると、文系などほかの学部の学生と同様に営業や事務といった一般職等への就職が増えることになります。

ただし、例外もあって、工学部でも建築系のコースなどでは大学院までの進学は稀で大半が学部までの卒業で建築士などで就職することが多いようです。

他にも例外はあるのでしょうが、工学部を卒業して技術者を目指す場合は、大学院までの進学の学費などは予め想定しておかなくてはいけません。

具体例を見てみましょう。

名古屋大学(2018卒業者)
 
工学部
卒業者総数 788
進学者総数 676
就職者総数 92
公務員就職者数 7

理学部
卒業者総数 275
進学者総数 205
就職者総数 54
公務員就職者数 5
教員就職者数 8

医学部医学科
卒業者総数 112
進学者総数 0
就職者総数 1
臨床研修医数 109

農学部
卒業者総数 178
進学者総数 135
就職者総数 34
公務員就職者数 6
教員就職者数 1

文学部 卒業者総数 141
進学者総数 17
就職者総数 118
公務員就職者数 29
教員就職者数 14

法学部
卒業者総数 172
進学者総数 29
就職者総数 135
公務員就職者数 37
教員就職者数 1

理系、とくに工学部での大学院進学率が高いことが分かります。
入学した時点で「大学院には行かない」と言っていた生徒も、大学院に進学しないと技術職への就職が難しいことを知り、大半が大学院への進学を選ぶのです。
それに対して、文系の場合は大学院への進学が就職に有利にならないケースが多いため、学部卒業後、大半のせいとがすぐに就職します。

岐阜大学、静岡大学などの国公立大学の数字を見ても、ほぼ同様の数字が得られますので、興味のある方は調べて見てください。

ただし、国公立大学でも、技術者系の就職が少ない地域・レベルが比較的低い大学の大学院進学率は低くなります。

富山大学 工学部
卒業者総数 419
進学者総数 187
就職者総数 225
公務員就職者数 9

また、私立大学の場合はレベルが高い大学を選んでもあまり大学院進学率が高くありません。同レベル程度の国公立大学と比べると、明らかに大学院進学率が低くなっています。
これは大学院の予算などの都合もあるのかもしれませんね。
ただし、早稲田大学など一部のトップ校などはだいぶ進学率が高くなっています。
愛知県内の私立ではトップレベルの名城大学では、2割程度に過ぎません。

早稲田大学 先進理工学部
卒業者総数 536
進学者総数 430
就職者総数 86
公務員就職者数 4

立命館大学 理工学部
卒業者総数 849
進学者総数 425
就職者総数 396
公務員就職者数 32
教員就職者数 18

名城大学 理工学部
卒業者総数 1090
進学者総数 192
就職者総数 883
公務員就職者数 43
教員就職者数 11

愛知工業大学 工学部
卒業者総数 889
進学者総数 97
就職者総数 773
公務員就職者数 20
教員就職者数 10

大同大学 工学部
卒業者総数 472
進学者総数 36
就職者総数 410
公務員就職者数 8
教員就職者数 3

まとめますと、技術者を目指すならできるだけ難関の大学、特に国公立大学への進学が有利ということになります。また大学院進学率の低い大学でも、大学院に進学してしっかり技術を磨くことで技術者としての就職の道は開けるでしょう。

なお、大学院に進学に必要な学費は大学により数百万円程度ではありますが、工学部などで大学院に進学した場合には生涯賃金で平均4千万円から5千万円の上乗せが期待できるという統計もあるそうです。

技術者を目指さない場合、一般的な営業職や、たとえば塾の講師などでの就職であれば卒業学部や、学部卒か院卒かの別で有利不利はほぼないでしょう。