2022年2月23日水曜日

全日制高校に行けない生徒の受け皿・専修学校と定時制高校

私立高校入試が終わり、現在公立高校入試直前です。

今日は、高校に進学できるかどうかという成績下位層に向けた記事です。


そもそも、高校は誰でも入学できるわけではありまえん。いわゆる普通の高校である全日制高校の進学率は、全国ベースで92%、愛知県では90%程度が例年の数字です。


中学卒業後の進路目安(愛知県)

 公立全日制高校 61%

 私立全日制高校 29%

 専修学校(専門学校専修過程)3%

 定時制高校 2%

 ほか 5%


まず、全日制高校ですが、公立高校に挑戦する場合、くわしい制度については別記事に譲りますが、主に「筆記試験と内申点の合計」で合否を判定します。

そして、合格基準となる合格ボーダーは、年度によって大きく上下します。

例えば、地元の公立普通科でもっとも易しい一色高校や高浜高校を受検するには、内申点が22か23くらいあれば受検しようというように指導することが多いですが、年度によっては合格ボーダーは大きく下がることもありますし、運が悪ければ上がることもあります。

私立高校については、下位の高校については主に「内申点と調査書(+中学校との談合)」で合否を決めます。

公立高校の場合と違い、合否の基準は高校側で内定しており、我々塾人や一般人には教えてもらえないのですが、中学校の教師には近隣の私立高校側からは合格基準が打診されていますし、遠方の高校でも中学校から問い合わせれば合否基準を問い合わせることができます。成績の微妙な生徒には相談にのってもらうこともできます。

原則的には筆記試験は茶番で、内申点のみで合格を確約してもらっている場合が多いですが、事情により筆記試験の結果をまって合否を判定する場合もあります。


易しめの公立高校の合否判定(全日制)

 筆記試験と内申点で合否判定

 易しい学校で受検の目安は内申点22以上程度

 合格基準は事前に予測することは難しいく、合否については本人の実力と運不運で変わる


易しめの私立高校の合否判定(全日制)

 主に内申点で合否判定(中学・高校間での話し合い可能)

 易しい学校で受検の目安は内申点16以上程度

 合格基準は事前に分かっていて、原則として合格基準に達している学校を受検可能

 不登校などで事情がある場合は、事前に相談して筆記試験の結果などで合否判定する場合も


生徒の将来を考えると、これらの全日制の高校に進学するのが望ましいのですが、それが難しい場合に選択肢に入るのが専門学校や定時制高校です。

それぞれ、実のところ専門学校も定時制高校も、合格については事実上BFで、成績をとわず全員合格かそれに近い状況の学校がほとんどです。

それでは、専門学校や定時制高校とは、どのような特徴のある学校なのでしょうか。


西三河から通える定時制高校

昼間

[普通] 刈谷東 (刈谷市)

夜間

[普通] 岡崎 (岡崎市)

[普通] 碧南 (碧南市)

[普通] 豊田西 (豊田市)

[普通] 安城 (安城市)

[普通] 一色 (一色市)

[工業] 刈谷東 (刈谷市)

[工業] 岡崎工業 (岡崎市)

[工業] 豊田工業 (豊田市)

[工業] 岡崎工業 (岡崎市)


まず定時制高校です。
定時制高校はもともと勤労学生(働きながら高校に通いたい)という生徒のために、戦後直後に開設された学校で、通常は夜間制で4年で卒業が普通ですが、単位制となっていて5年以上かけて卒業する生徒も少なくありません。また学校によっては3年かけて卒業する仕組みを整えている学校も多いです。
時代と社会の変化とともに、勤労学生のための高校という側面は薄れて、学力やその他の都合で全日制高校に進学できない生徒たちの受け皿の1つという側面が強くなっています。
また夜間制といっても、深夜に授業を行うわけではなく、夕方5時くらいから通学し、1日4限程度の授業を行うのが一般的です。

愛知県にある定時制高校は公立高校で、学費は全日制高校に通うのと同じで、事実上無償と言って良いでしょう。
合格ボーダーについては、ほとんどどこもボーダーフリーか、それに近い状況です。
学歴としての価値は非常に低く、入学後に人間性や学力や資格などを身に着けていかなければ、卒業後の進学や就職に苦労することになるでしょう。

特に、地元で人気となっているのが昼間定時制を行っている刈谷東高校は、定時制の高校の中ではダントツの人気校となっています。


西三河から通える専門学校(専修学校高等課程)

山本学園情報文化専門学校(山本学園)(知立市)・専門課程併設

 [女子]ファッションデザイン・調理師・ビジネス

 [男子]ビジネス

西尾高等家政専門学校(白百合学園)(西尾市・西尾駅)・専門課程併設

 [女子]クッキング・ビジネス・ファッション

大岡学園ファッション文化服飾專門学校(大岡学園)(安城市)・専門課程併設

 [共学]ファッション

安城生活福祉高等専修学校(さくら学園)(安城市)

 [女子]ファッションパティシエ

 [共学]調理師・保育介護

東海工業専門学校熱田校(電波学園) (熱田区・神宮前駅)

 [共学]機械・建築

名古屋工学院専門学校(電波学園)(熱田区・神宮前駅)・専門課程併設

 [共学]普通・電気

あいちビジネス専門学校(電波学園)(中区・金山駅)・専門課程併設

 [共学]総合ビジネス

さつき調理・福祉学院(東洋学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]調理師・福祉

名古屋ユマニテク調理製菓専門学校(みえ大橋学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合学科(調理製菓・ファッション・保育・医療福祉)

ニュートン高等専修学校(光陵学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合教養科

クラーク高等学院名古屋校(創志学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合進学・インターナショナル

愛知芸術高等専修学校(恭敬学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合芸術科(マンガイラスト・声優・ファッション・ミュージック・ダンス)・美容師学科



続いて、リストが長くなりましたが専門学校です。

ここでいう専門学校というのは、正確には「専修学校高等課程」です。高校卒業資格を得たあとで、看護などの資格を取るために通う専門学校は「専修学校専門課程」になりますので、別の種類の学校になります。そのほかにこの記事では扱いませんが「一般過程」の専修学校も存在します。

そもそも専修学校は昭和51年に開設され、定時制高校と比べると新しいタイプの教育機関で、職業能力や生活能力の向上を目指して設立されています。

専修学校にはさまざまな学科があり、学校によって高等過程のみの設置の学校、専門課程のみ設置の学校、両方を設置の学校などさまざまです。

専門課程については、学科などにより入学が難しく学歴としての価値の高いものや、ボーダーフリーで学歴としての価値が低いもの、役に立つ資格がとれるところ、とれる資格が就職にあまり役に立たないところなど様々ですが、ここでは高等過程についてのみ説明します。

専修学校の高等課程については、ほとんどどの学校もボーダーフリーかそれに近い状況で、学歴としての価値は定時制高校と同様に非常に低いでしょう。

さまざまな学科がありますが、就職に対してそれほど役に立つ資格がとれるということもありません。

就職に有利な学歴が欲しい生徒は大学に進学し、より役に立つ資格が欲しい生徒は専門課程や資格のとれる大学に進学をする必要があるでしょう。

また、ほとんどの専門学校では、専門学校に入学と同時に提携している通信制高校に入学することになり、専門学校の卒業と同時に高校卒業資格を手に入れることができるようになっています。


愛知県にある専門学校(専修学校高等課程)は私立になります。上記のリストはどれも私立校ばかりです。

費用の方は、学校学科によって多少の違いはありますが、全日制の私立高校と同程度になることが多いです。同時に入学する通信制高校の費用はとても安くなっていますので、誤差でしょう。

卒業するまでに必要な年限は全日制高校と同様に3年間が一般的です。(1年間や2年間の学校もあります。)

上記リストの専門学校の中で、私が担当した生徒が進学し、生徒からの評価が良かった学校としては、電波学園系列の「名古屋工学院専門学校」です。

系列校も多い愛知県の専門学校としては最大手となる電波学園だけあって、就職や進学のコネクションも強く、卒業後のサポートなどがその他の専門学校と比べて優れているようです。


以上のように、定時制高校と専門学校の両方について基本的なことを見てきましたが、全日制高校への進学が難しい場合は、どちらを選ぶのが正解でしょうか。

それぞれの学校で学べる学科の内容や、通学の便などもあり、絶対にというわけではないのですが、


定時制高校よりは専門学校(専修学校専門課程)の方がオススメです。

通学費用は高くなるけれど。


理由は卒業後に向けたサポート状況です。

高校であれ、専門学校であれ、やはり気になるのは次の2点です。

1.ちゃんと卒業できるか

2.就職や進学につなげることができるか

この2つです。


この2点について、公立の定時制高校と私立通信制高校について比較しましょう。

比較の上で、全日制高校の統計も記載します。


ドロップアウト率①

卒業までに中退になって卒業できない生徒の割合

全日制高校 普通科(私立公立計) 4.8%

全日制高校 職業専門科(私立公立計) 7.2%

公立定時制高校 42%

私立通信制高校 11%


ドロップアウト率②

卒業後、進学や就職などの進路の決まらない生徒の割合

全日制高校 (全学科私立公立計) 5%

定時制高校(公立私立計) 28%

通信制高校(公立私立計) 41%


まず全日制高校が圧倒的に良い数字を出していることは間違いありません。

可能ならば、生徒には全日制に進んでもらいたいです。


定時制と専門学校を比較すると、まず中退になってしまう生徒が圧倒的に多いのが定時制高校です。

卒業後の進路が決まらないという点では、通信制の生徒の方が多いのですが、こちらは通信制のみの入学の生徒が数字を悪化させている可能性が高いと思われます。専修学校と同時入学の場合は、中退率も、進学の決まらない率もどちらもいくらかの改善が見込めるでしょう。

専修学校の定時制高校に比較したデメリットとしては、やはり通学に必要な授業料などの費用がもっとも大きいでしょう。さらに、系列の専門課程に進学することになれば、さらに費用がかかることになります。

また、定時制高校の場合はほぼ普通科と工業科ばかりですが、私立の専修学校は、母体となる運営団体や学科によって学校の運営方針や、卒業後のサポートの手厚さに大きな差があるように思います。


そのあたりをきちんと調べて、より良い学校を選んであげたいところです。

2022年2月22日火曜日

志願状況と志願変更 愛知県公立高校入試

昨晩、愛知県の公立高校の志願状況が発表されました。

令和4年度入学者選抜の志願状況等


本日2月22日と明後日の24日は「志願変更」が可能です。

この志望状況を見て、受験校を変更することができます。

しかし、志願状況についてはどのように見ていけば良いのでしょうか。ただ倍率の高い低いだけに注目すれば良いのでしょうか。

例をあげて説明しましょう。


Aグループ 刈谷高校 普通科

 定員 400

 1次志望志願者 648

 2次志望志願者 50

 合計倍率 1.75倍(昨年度1.65倍)


Aグループ 岡崎高校 普通科

 定員 400

 1次志望志願者 558

 2次志望志願者 11

 合計倍率 1.42倍(昨年度1.53倍)


Bグループ 刈谷北高校 普通科

 定員 320

 1次志望志願者 386

 2次志望志願者 320

 合計倍率 2.21倍(昨年度1.85倍)


Bグループ 西尾高校 普通科

 定員 360

 1次志望志願者 440

 2次志望志願者 162

 合計倍率 1.67倍(昨年度1.63倍)


当塾でも志望する生徒の多いのが刈谷高校です。

地元のトップ校で、東大京大などの進学率ではまだまだ上がいますが、名古屋大学進学率については県内1位を誇ります。


刈谷高校とライバルの位置にあるのが、岡崎高校です。岡崎高校も隣接する地域のトップ校で、どちらの高校にも通うことのできる地域に住まいの生徒はどちらに出願するかはおおいに迷うことでしょう。

一世代前では、刈谷高校と岡崎高校でははっきりと岡崎高校の方が格上だったと言えたのですが、刈谷高校周辺の人口の増加や交通の便なので、近年は刈谷高校の方が倍率が高い年度が続いています。

今年も刈谷高校と岡崎高校を比べると、1次志望倍率、合計倍率ともに刈谷高校の方が高くなっています。

ですが、この倍率の比較から、必ずしも刈谷高校の方が岡崎高校よりも入学が難しいといえるかというと微妙です。

学習塾には、別の資料で愛知全県模試の追跡調査結果があるのですが、受験者の平均の学力は刈谷高校と岡崎高校では、はっきりと岡崎高校の方が高いのです。受験者の平均の内申点もそうですが、内申点以上に偏差値に差があります。刈谷高校周辺の自治体の中学校は、岡崎高校周辺の自治体の中学校よりも若干内申点の付け方が甘いのかもしれません。

ただ、それでも合格のボーダーが岡崎高校の方が高いとも言い切れません。

追跡調査の結果をみると、だいぶ拮抗していて、年度によってどちらが刈谷高校の方が上だったり、岡崎高校の方が上だったりします。本年度についても予想が難しいところで、今年の受検結果が出るまでははっきりとしたことは分からないでしょう。

また、筆記試験終了後に合格予想点を出している学習塾もありますが、あれは問題の難易度からの予想で、受験者数などからの予想ではありませんので、あまり正確な予想とは言えません。

今年7月ごろには、追跡調査の結果が各学習塾にも配られることになり、そうなるとだいたいの結果が分かるようになります。


結論1

刈谷高校と岡崎高校のどちらが上かは分かりません。微妙。


とはいえ、刈谷高校や岡崎高校はほとんど1次志望で受検する生徒ばかりですので、他の高校と比べて、志願状況の読み取りが易しいでしょう。

岡崎高校などは、1次倍率が1.4倍程度ですので、その割合でそのまま合格者が決まるでしょう。


結論2

地域トップ校はだいたい倍率のそのままに、合格者が決まる。

岡崎高校は14人受検しておよそ10人合格。

刈谷高校は17人受検しておよそ10人合格。

(ただし、受験者のレベルが違うので倍率=レベルの高さではありません)


それでは、地元2番手校の刈谷北高校はどうでしょうか。

倍率は2.21倍なので、合計倍率は刈谷高校や岡崎高校よりも高いのですが、ほとんど2次志望の生徒のいないトップ校と比べ、2次志望の生徒もたくさんいます。

この数字だけで、刈谷北高校は岡崎高校や刈谷高校よりも難しいとは言えません。むしろ、岡崎高校や刈谷高校よりはずっと合格ボーダーは低くなります。


刈谷北高校を2次志望にする生徒の大多数は、1次志望をすぐ近所にある刈谷高校にしているのでしょうが、一部には岡崎高校や他の学校を1次志望にしているでしょう。

逆に刈谷高校を1次志望にしている生徒の大半は、2次志望を刈谷北高校にしている場合が多いのでしょうが、2次志望に知立東や西尾高校を選んでいる場合もあるでしょう。

ですが、刈谷高校と刈谷北高校は隣接していることで、大体の場合として刈谷-刈谷北の組み合わせで受検する生徒が大半であるとすると、刈谷高校を1次志望にしている生徒のうちおよそ250人が刈谷高校に合格できずに、刈谷北高校に下りてくるでしょう。

また愛知県の高校受験の進路指導では、複合受検の2次志望には確実に合格できる高校を置くのが定石で、いわゆるダブル落ちを避けて受検するのがふつうです。例えば、刈谷北高校の合格が確実でない生徒は、刈谷北高校を2次志望ではなく1次志望にするように中学校側から指導されます。

そのため、刈谷高校に合格できずに刈谷北高校に下りてきた250人はほぼほぼ全員が刈谷北高校に合格するでしょう。

そうすると、刈谷北高校の普通科定員320人のうち、250人が埋まって残る席は70人分です。この70席を刈谷北高校を1次志望とする386人で争うことになります。

単純化して話をすすめましたが、実際にこれに近いことがおこると予想されます。これはかなりの競争率です。今年は刈谷高校も刈谷北高校も倍率が上がったことで、競争はかなり激化したといえるでしょう。

逆に刈谷北高校のような2番手校であっても、地域の1つ上のトップ校の倍率が低ければあまり多くの生徒が下りて来ないということになります。


結論2

地域の2番手以下の高校は、上の高校からどれだけの生徒が下りてくるかでも難易度が大きく上下する。

2022年の刈谷北高校入試は狭き門。単純な倍率以上に競争が激しく、1次志望の生徒の大半は不合格になる。


それでは次に、西尾高校などはどうでしょうか。

西尾高校は例年のボーダーでは刈谷北高校と同じか少し易しいくらいの学校ですが、刈谷高校と比べると1次志望者の割合が多くなっています。これは、西尾高校を2次志望にしている生徒は1次志望は刈谷高校や岡崎高校が多いのでしょうが、地域的に刈谷高校も岡崎高校も少し遠く、敬遠する生徒が多いからです。

ですので西尾高校は、地元的には地域トップ校とも2番手校とも言い難い、その中間的な地域準トップ校ということになるでしょう。

西尾高校も刈谷北高校と同様に、上から下りてくる生徒がいることを考えると、それなりに厳しい戦いになりそうです。西尾高校を1次志望にしている生徒は、少なくとも2人に1人以上は不合格になると思われます。

それでも、刈谷北高校ほどは厳しくならないでしょう。


それでは、知立東、安城東、安城、西尾東などのもう少し下のランクの高校の倍率はどうでしょうか。

実のところ、このあたりになってくると、受験校の組み合わせが複雑に多様化し、志願状況などの資料からシミュレーションして予想するのが非常に困難になります。

近隣の他の学校の動向によっても難易度は大きく上がったり下がったりします。倍率だけからでは予想できません。

はっきりいって無理です。


とはいえ、まったく資料が役荷立たないというわけではありません。

例えば、思い返すも悪夢の2016年の西尾東高校入試です。

西尾東高校はAグループの進学校で、「西尾ー西尾東」「安城東-西尾東」「西尾東-碧南」「西尾東-鶴城丘」「西尾東-吉良」などの組み合わせで受験することの多い学校なのですが、例年の倍率はだいたい2倍弱がふつうです。

ですが、2016年入試では西尾東高校の最終倍率は例年の2倍近い3.87倍でした。

なお2015年では1.96倍で、倍率が低かった2014年は1.74倍、今年2022年は最終倍率はまだですが締め切り倍率は2.04倍です。

おそらく、安城市など西尾市に隣接する中学校の進路指導で受験者数の調整に失敗した結果、市外からの越境受験者が多かった年なのでしょうが、2016年度の西尾市の受験結果は悲惨の一言でした。西尾東高校に落ちた大量の受験生が、碧南高校、鶴城丘高校、吉良高校などにも下りていって、そちらの受験もかなり厳しくなりました。結果、多くの生徒がダブル落ちの憂き目に合いました。

このとき、締切倍率を見て、受験校を西尾市内から安城市内の高校に切り替えて、危険を回避することも可能ではあったでしょう。


それを踏まえ、本年2022年度の西三河の受検状況はどうなるでしょうか。

おそらくですが、2016年度のような大波乱はなさそうですが、全体的に昨年度と比べやや競争率の高い厳し目の入試になりそうです。


結論3

トップ校や2番手校以外の高校の難易度を志願状況の資料から正確に予測するのは非常に困難。とはいえ、まったく役に立たないわけでもない。

2022年入試は、西三河地区では極端な大波乱はなさそう。昨年と比べると競争率の高いやや厳しい試験になると予測される。


地域で、もっとも易しい高校については、定員割れする場合もあります。

このあたりの地域ですと、一色高校や高浜高校がもっとも可能性の高い高校になります。昨年度については、鶴城丘高校や碧南高校などの中堅校が定員割れするというめったにない椿事が置きました。


実のところ、成績下位の生徒には、「どこでも良いからとりあえず公立高校に進学したい」という要望も少なくありません。

そういう生徒には、塾として「今年は○○高校が定員割れするか、それに近い状況になりそうだよ」と志願変更を薦めさせてもらう場合もあります。


ただし、定員割れや定員割れに近い状況で、実力に見合わない高校に入学してしまった場合は、入った後がたいへんになる場合も多いです。

小中学校と違い、高校は義務教育ではありません。勉強についていけなくなって、中退する生徒も少なくないのです。

愛知県の高校全体では、年間あたりおよそ2.1%ほどの生徒が高校を中退しているという資料があります。

合格しやすい学校を選ぶというのも1つの手段ですし、塾としてそれをお手伝いすることもあります。

ただし、きちんとした学力をつけることはどうあっても必要だということは理解しておくべきでしょう。



以上に述べてきたように、志願状況を読み解くのもそれなりに知識と経験が必要になります。

自分が受検する高校の動向が気になっている生徒や保護者は、通っている学習塾の担当者に直接問い合わせてみると良いでしょう。

2022年2月12日土曜日

模試の合否判定は信頼しても良いのですか?

受験シーズンまっただなかです。


さて、

模試の合否判定があてになるのか、ならないのか。

結論を言うと、模試の判定が信頼できるかどうかは、「模試の種類」と「試験の種類」による。場合によりけり。

ということになります。


まずは高校入試の場合から説明します。


1.公立高校一般入試の場合

結論「あてになります。」

特に、愛知全県模試など、公立高校入試の問題に出題傾向を似せて、受験者数の多い模試ほどあてになります。このタイプの模試は、都道府県別でかならず1つは行ってくれている業者があります。

愛知県入試の場合には、2校受験できる都合で、上位の進学校ほど合否の判定が信頼できます。逆に、下位の高校ほど年度によってボーダーの乱高下が大きく、合否判定の信頼性が下がります。倍率などで少しは予測できますが、どうしても予測しきれない場合が多いです。

また、各塾がオリジナルで行っている学力テストなどは、学力自体を判定するには良いテストであっても、合否の判定としてはあまりあてにならないでしょう。


2.私立高校一般入試の場合

結論「あまりあてになりません。」

今年はすでに私立高校の入試は終了しましたが、私立高校の場合は合否の判定の基準が各高校ごとによって異なります。出題の問題も学校によって違います。そのため、統一的な模試では合否の判定は十分にできません。

ただし、一部の上位校、愛知県の場合は滝高校や東海高校については、筆記試験の点数を中心に合否を判定しますので、公立高校の上位校ほどではないにしろ、模試の判定を信頼することができるでしょう

中堅から下位の高校については、筆記試験の実施は形ばかりで、中学校の内申点などから大半の生徒の合格を決めているという高校も少なくなりません。そうした学校の場合、模試の合否判定はあてにならないと考えるべきでしょう。



3.大学入試一般入試の場合

結論「あまりあてになりません。」

大学受験向けの模試で、もっとも受験者数が多く、問題の質が高く、判定の信頼性の高い模擬試験というと、「河合塾の全統模試」ではないでしょうか。

駿台やZ会、代ゼミの模試なども質の高い模試です。

しかし、どんなに質の高い模試でも、判定はあまりあてになりません。A判定(合格率80%以上)を貰っていても落ちてしまう生徒は多いですし、E判定(合格率20%以下)でも案外合格できてしまう場合があります。

これはなぜでしょうか。


理由1 問題の質

都道府県ごとで同じ入試問題で受験を行う高校入試と比べ、大学入試は大学ごとで問題が異なります。一言に大学受験と言っても、問題の難易度は学校によって天と地ほども違います。

統一的な問題で試験を行う模擬試験では、適切な判定が出ないのは当然です。

挑戦できる回数は少ないですが「東大オープン」「名大オープン」など、大学別模試は大学ごとの出題傾向に合わせた模擬試験で、比較的判定が信頼できるでしょう

ただし、大学別の模擬試験は一部の人気校でしか実施がなく、受験者数も多くはないのが残念なところです。

なお、一般的な全統模試や駿台模試などの問題は、国公立入試とも私立入試とも似ていない、良くいえば総合的な、悪く言えば中途半端な出題となります。


理由2 受験誘導が弱い

これは大学受験向けの模試の合否判定があてにならない理由というより、高校受験向けの模試の判定があてになる理由ともいえるのですが、

高校受験では中学校の先生が進路指導を行う結果、だいたい毎年どの高校にも同じくらいレベルの生徒が、同じくらいの人数の生徒が受験することになり、だいたい合格ボーダーが一定に保たれます。(それでも、だいぶ上下はしますが)

その点、大学入試は、他の大学の受験日程の兼ね合いや、時流によって、県内外からの受験の動向が大きく変わります。正確な判定が難しくなるのは当然でしょう。


理由3 受験方式・学部学科コースの細分化

大学入試の受験方式は、一般入試だけとっても多様です。特に私立大学は多様です。

その結果、ある1つの学部学科の1つの受験方式での受験者数や合格数はかなり少人数になってしまいます。その結果、受験者数がちょっと増えたり減ったりするだけで、かなり乱高下することになります。


理由4 1題の出題が重く、運不運が大きい

中学入試や高校入試と比べ、大学入試では扱われる問題はどうしても高度になります。

特に数学や物理や化学の理系科目では、1問でも深く掘り下げるために、1問とくだけでも時間と労力がかなりかかり、結果問題数はどうしても少なくなってしまします。

受験数学では90分や120分程度で出題数5題というのは標準的な出題でしょう。

出題数が少なくなると、たまたま得意な問題が出たり出なかったりでの、運要素がどうしても高くなってしまいます。

運要素はどうしても大きいため、私立大学志望の生徒は受験回数をできるだけ増やすようにするのですが、国公立大学の場合には前期試験と後期試験にそれぞれ各1回のチャンスしかありません。


実際、大学受験ではまさかの逆転合格・逆転不合格というのはザラに起こります。

ついでにいうと、共通テストの自己採点からの合否予想も信頼性は低いのではないでしょうか。

昨年度などは横浜国立大学が、まさかの定員割れが起こりニュースになっていましたが、あれは自己採点からの合否予想を鵜呑みにして、出願を取りやめた生徒が多かったからというのもあるのではないでしょうか。


加えて言えば、模試の判定が悪くても合格しやすい生徒というのは、きちんと自分の大学の受験問題を研究し、その問題にあった対策をした生徒でしょう。

逆に、学校で言われたことだけを、エサを与えられるヒナのように何も考えずに勉強している生徒は、模試の判定が良くても本番で失敗してしまう生徒が多いですね。

そのあたりのお手伝いは、当塾でも得意にしているところです。



今年も大学受験も私立前期試験がほぼほぼ終了し、あとは後期試験や国公立入試を残すのみとなっています。

受験生たちには、あまり事前の合格率に踊らされることなく最後まで諦めずに全力を尽くしてほしいものです。

2022年2月7日月曜日

碧南教室 電話番号決定!


 

新年度6月開校予定の碧南教室ですが、電話番号が決まりました。


0566-78-7555


です。

ただし、まだ開通前ですので、お電話いただいても繋がりません。

開校についてのお問い合わせは、西尾教室(0563-58-1090)までお願いいたします。

2022年2月4日金曜日

「やり方を教えて」ではなく「考え方を教えて」と言わせたい

 先だって、ニューストピックスで、

「「正解率は55%」教育界に激震…小6が直角三角形の面積を求める問題に大苦戦する理由」

という記事が上がりました。


上記の直角三角形の面積を求める問題で、正答率が55%しかないというのです。

これは、子供が「底辺×高さ÷2」という公式を丸覚えして解いてるだけで、問題の本質を理解していないことに問題があります。

三角形の面積は、四角形の半分なんだということが理解できていれば、躓くような問題ではないのです。


ニュースソース

PRESIDENT Online「「正解率は55%」教育界に激震…小6が直角三角形の面積を求める問題に大苦戦する理由」


学習塾で生徒を指導している者にとっては、頻繁に子供たちから聞く言葉で、


「やり方を教えて」

「やり方が分からない」

「やり方を教えてもらってない」

「やり方忘れちゃった」


勉強が苦手な生徒にとって、勉強とは理解は留保して、ただ「やり方を覚えること」なのです。

だからこそ、そういう言葉が出てくるのでしょう。

こうした発言は、小学生のみならず、非常に残念なことに中学生や高校生からも聞かれます。


文科省が教育の指導の方針として、学習指導要綱を発表し、「生きる力」を育むために「思考力・判断力・表現力」を重視するとしています。

まさに、そのうちの思考力や判断力が子供たちから失われつつある証左なのでしょう。


参考

文部科学省「学習指導要綱「生きる力」」


勉強のできない子供たちに理解を二の次にして「やり方」だけを教える勉強の方法を、全面的に否定することはできません。形だけでも、点数を取れるようにすることで、次のやる気につなげることもできるという側面はあります。

当塾でも、とりあえず点数を伸ばすというのは、重要な目標の一つです。


しかし、決して、考えること、理解することを子供たちに放棄させてはいけないのでしょう。問題演習を通じて、子供たちには考える力を身につけていってもらうことはどうしても必要です。


生徒に、

「やり方を教えて」

ではなく、

「考え方を教えて」

と言わせるような指導をしていきたいものです。

2022年2月3日木曜日

私立高校一般入試終了!

 私立高校の一般入試が終了しました。


コロナ禍の中での入試でしたが、学校ごとに満員電車の過密を避けるために、


・ バスでの送迎

・ 一斉での帰宅ではなく、試験実施クラスごとの時間をずらしての帰宅


など、昨年度の反省を活かして、各中学高校ごとに対応がとられていたようです。

対応の内容には学校ごとで差が見られましたが、上手くいった対応については、学校間で共有して来年度はより慎重な対応ができるようになれば好ましいですよね。

コロナ禍が来年度には収束しているのが、もちろんもっとも望ましいのですけれども。


ただし、まだまだ公立高校入試のほか、大学受験もまだまだこれからが本番です。

受験生の生徒たちには試験会場での感染にも十分に注意してほしいところです。


愛知県の小中生の部活動禁止のニュースも流れ、ますます生徒たちには不自由を強いることになります。状況の改善が望まれています。