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2022年12月24日土曜日

入試5科ANCK 国語1

 当塾で作成しました「入試5科ANCK」のテキスト中身を紹介していきます。


今回は国語の紹介です。






受験国語で何より大切で、もっとも重要視されて問われているのは「読解力」です。

文章を「正しく読み解き,理解する」ことが必要になります。そしてそれに必要なのは「考える力」を養うことです。

そのためには、小手先の技術を養うことではなく、良質の問題を読み、生徒1人1人がよく考えて問題を問いていくことが必要になります。実践的な問題演習こそが何よりも大切になってきます。

とはいえ、学習塾では目先の点数を追うために、小手先のテクニックであるとか、入試に出やすい現代文用語を学んでもらうのですけれども。


入試現代文は、大きく分けて次の3つに出題が分類されます。

1.物語文・小説文

架空または実際に起こった出来事をもとにしたお話です。

登場人物の気持ちを読み取り、作品の主題を読み取ることが大切になります。


2.随筆文

作者の考え方や思ったことを書きとどめた文章です。

インターネット掲示板に書き込むと、「チラシの裏にでも書いておけ」と罵られる類の文章です。


3.説明文・論説文

何かを筋道立てて説明する文章です。文章の重要な結論は、最初の段落や最後の段落にかかれていることが多くなっています。


この3つの分類の中では、近年、高校入試や大学入試に共通して「物語文・小説文」の出題が減って、「説明文・論説文」からの出題が増えているという傾向があります。

小説好きの立場からすれば残念な傾向ではあるのですが、実社会に出て役に立つことを学ばせようという文科省の方針が伝わってくるような変化です。

教育の方針というのは、それぞれの時代に不足しているものを求めるようになっているのでしょう。例えば行動経済成長を経て、日本が物資的な豊かさを手に入れた時代には「心の豊かさを大切にしよう」ということで、ゆとり教育が提唱されました。

そして物質的な豊かさが失われつつある今、心の豊かさは蔑ろにされるようになってきたのでしょう。残念なことではあるのですが、必要なことなのでもあるのでしょう。


受験に良く用いられる現代文用語としては、

「特殊」当てはまる範囲がとても限られること

「一般」多くの場合に当てはまること

という言葉があります。一般は「ふつう」と言い換えることもできます。

例えばアインシュタインの「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」では、特殊相対性理論は特別な場合にしか用いることができない限定的な相対性理論で、一般相対性理論ではあらゆる場合に適応することができる上位互換な相対性理論になります。

言葉の意味を正確に理解していないと「特殊」の方がなんかすごそうと思ってしまうところですが、実のところ汎用性は一般の方が上ということになります。

現代文では、日常生活よりも言葉を正確に理解するということが大切になってきます。


なお、生徒が申告する「ふつう」は拾のところあまり信用できません。

「テストの出来はどうだった」と質問して、

「ふつう」(成績が急上昇、50点→90点)

「ふつう」(成績が急降下、80点→45点)

どういう状況でも、多くの生徒が「ふつう」と答えてくれます。

塾では、生徒の学習状況に合わせた指導が必要になりますので、主観的な感想だけでなく客観的な成績も必要になりますので、生徒には定期テストの成績表を見せてもらえるように頼むのはそのあたりの事情があります。


国語の確認テストは,漢字や語句が中心となります。




PDFファイルダウンロード

2022年4月25日月曜日

小論文

 大学受験では,受験する大学や利用する受験方式によって「小論文」が受験に必要とされる場合があります。


塾で指導している生徒がとても素晴らしい答案を作ってくれましたので、本人の許可を得て転載させてもらおうと思います。

課題となるのは慶応大学の入試過去問で,「多文化共生社会」について書かれた文章について大問1で内容の要約を行い、大問2で受験者の意見を述べるという問題でした。

アメリカ同時多発テロから少し後くらいに書かれた課題文で、多文化共生社会が後退し、異文化に対して欧米が排他的な動きを強めていた社会背景のあったころの少し古めの過去問です。

大問1の解答については省略し、大問2の生徒の解答を記します。


-------------

生徒解答

 この世で最も合理的な集団はアリの社会である。アリ社会は1匹の女王アリを中心ちし、明確な身分区分のもとそれぞれ課せられた役割をそれぞれのアリが忠実に果たすことで完璧な階層社会として成り立っている。では私たち人類もこの完璧な集団を参考にすべきか。否である。なぜなら人類はアリとは違い多様性があるからだ。これからの集団に求められるのはアリ社会のようにすべてが統合された集団ではなく、多様な人たちが共存する集団だと私は考える。しかし私たちは多様な人たちとの共存を訴えつつも「私達ではない人たち」を受け入れられず攻撃の対象としてしまう。こうした「ねじれ」を解決するのが「よそよそしい共存」で「群島」といったイメージであり、「私達」と「私達ではない人」とが互いに強く干渉することはなくとも、そこにはたしかに一つの集団が生まれるのである。

-------------


「よそよそしい共存」や「群島」については、課題文で概念が定義されています。

この生徒の解答が面白いところは、課題文ではまったく触れられていない「アリ社会」と人間社会の比較を解答の中心に置きながらも、課題文のテーマから外れることなく自分の意見を適切に述べることに成功しているところでしょう。採点者の好みの分かれる解答でしょうが、少なくとも合格点はもらえるでしょう。


小論文試験を攻略するには、


1.課題文や課題となる資料を適切に読み解く読解力

2.与えられた課題について考える思考力

3.自分の考えを分かりやすく文章にする表現力


以上のような重要な能力が問われます。1や3については、学校や塾で指導することで比較的短期間に改善することが可能です。しかし、2の思考力については「普段から物事を深く考える習慣をつけること」が何より大切になるでしょう。

また小論文試験というのは、試験の平等性や再現性という点ではいまいちなのでしょうが、詰め込み型の暗記教育対応型の試験では測れないより重要な生徒の能力を測ることのできる試験です。もっと多くの大学の入試で採用されても良いんじゃないかと思います。



2020年3月5日木曜日

公立高校入試A日程 国語の分析 & B日程の出題予想

国語

A日程の読解問題(大問1・大問2)は例年通りの更生での出題でした。近年、小説文(文学的文章)からの出題が減っていますが、本年度のA日程でも出題はありませんでした。
大問2の漢字・語句の問題では、「読み」「書き」「四字熟語」とこちらも例年通りの出題です。B日程では、「読み」「書き」「四字熟語以外の語句の問題」で出題される可能性が高いので、「ことわざ」「慣用句」、熟語の構成などについて確認しておくとよいでしょう。
大問4の古典は、漢文書き下し文が久しぶりに出題されました。B日程では日本の古典からの出題になるでしょう。

2020年2月12日水曜日

日本の古典を読む

現代文は読めるけれど、古文は苦手という生徒におすすめなのが、小学館から発行されている「日本の古典」のシリーズです。


古典の中でも、有名どころを一通りを押さえた全20巻で、原典の全訳が記載されています。

この本は古文入門者にとっての敷居の低いところは、

・解説
・現代語訳
・原文

の順に掲載されているところでしょう。
内容を掴んでから、原文に取り掛かることができるので、教科書や問題集を扱うのよりずっと軽い負担で読みすすめることができるので、全20巻を読了するのもそれほどたいへんな作業ではないでしょう。
刊行も比較的新しいため、現代語訳のセンスも今風で読みやすさについてはピカイチです。

現代文における読解力があるのに、古文が読めないという生徒は、

古文常識がない
知らない古文単語が多い

といったところがネックになっているところが多いでしょう。
一通り読了することで、これらの弱点を補うことができます。また、実際の入試で読んだことがある問題が出題されるというのは、圧倒的な有利を獲得することができます。
特に、文系の難関大学への進学を考えている生徒にはおすすめのシリーズです。

参考リンク
小学館 日本の古典を読む

2014年5月27日火曜日

作文の練習

某中学の1年生の生徒から聞いた話です。

「学校から、作文の宿題が出た」

と、嬉しそうに話してくれました。
ふつう作文の宿題というと、生徒はだいたい嫌がるものなのですが、どうして嬉しそうなのかとよくよく聞いてみると、

「自分で物語を考えて書く」

というものでした。

自由度が高く、とても楽しそうな課題ですね。
出題者の配慮も行き届いています。あまり自由度が高すぎても書きにくいので、ということを説明し、

「できればお菓子をテーマに書いてください」

というような指示が出ていたそうです。

素晴らしい作文指導だと感動しました。
良い国語の先生なのでしょう。

作文というのは、本来自由なものです。楽しいものでもあってしかるべきだと思います。
けれども、従来の作文指導では生徒は作文が嫌いになるのは当然です。
特に、「読書感想文」です。
「感想文」なんて、何を書いたら良くわかりません。大人の私が考えてさえ、そうです。
「紹介文」であったり、「書評」であるなら、何を書くかは明示されているから書きやすいでしょう。しかし、感想と言われたとき「おもしろかった」「つまらなかった」以上の感想が必要でしょうか。
その結果、要領の良い生徒の中には感想文を拡大解釈して「紹介文」や「書評」、場合によっては「随筆」的な作品を書ける生徒もいます。けれども大半な生徒は、テンプレに当て嵌めて書くか、「~がおもしろかった」と繋がりのない文を積み重ねるだけです。はっきりいって苦行ですね。

こうした読書感想文に対して、今回の作文指導の良いところは、大きく2つあると思います。

① 生徒が興味を持って取り組みやすい課題であること

② 書くべき内容が明示されてるから、取り組みやすいこと

制限を課しながら、作文という行為の自由度の高さを生徒に分かって貰えます。

私は生徒に作文指導をするとき、次のことを気を付けるべきだと思っています。

1.生徒に作文を楽しく取り組んで貰う。

今度の中学校の先生からの課題がとても優れています。

2.読み手と、文を書くことの目的を意識してもらう。

小説文(物語)、随筆分、説明文など、それぞれ意図の違う文です。それを意識してもらえるような課題設定が必要です。
今度の課題も、自然と物語を書くという目的がはっきりしていますね。

3.表現技法や技術を伝えること

ただ生徒に自由に書いて良いというのは、生徒にとってはハードルが高すぎます。
上手な例を紹介するのが良いですよね。
そうすると、生徒は自然にそれを真似してくれます。

3については、きちんと確認したわけではないのですが、当然行っているでしょう。
作文というのは、大人になったときに当たり前にできる者とそうでない者がはっきり別れます。生徒たちにとってほんとうに良い訓練になると思います。
こういう作文指導というのは、それでテストの点数が上がるようなものではなく、学習塾ではなかなか取り組めません。学校で質の高い指導をしてくれるというのは頼もしいです。

2014年1月20日月曜日

国語の問題集には意外とイイコト書いてある

毎週、月曜日5:30~ 国語「読解講座」を実施しています。
不人気で生徒があまり集まらない時間帯を利用し、授業料無料で国語の読解演習をしています。
小学生から、中学2年生までが対象です。

受講している生徒の中で、数学などは得意で好きだけれども、国語は嫌いという生徒がいます。
その生徒が、

「問題集って、意外とイイコト書いてあるかも」

と、漏らしてくれました。

メチャクチャ嬉しかったですね。
まさしくその通りなのです。それがまさに、私が生徒に感じて欲しいと思っていることなのです。

国語の問題集の演習というと、特に理系気味の子には多いのですが、「めんどい」「つまらない」「面白くない」というイメージを持っている子が多くいます。
実のところ、子供時分の私自身もそうでした。

けれども、実際に問題集を解いていって、問題文をきちんと読めるようになっていくと、その文章がとても「知的で」「面白く」「示唆に富んでいる」ことが感じられるようになるのです。

「算数や数学は大好き」だけれども、「国語は大嫌い」。
そんなことを思っている生徒ほど、読解の演習に挑戦していって欲しいと思います。

2013年3月22日金曜日

教材マニアックス10「論理エンジン 読解・作文トレーニング」


ひさびさに教材紹介です。

今日は、市販教材です。
先だって紹介した、論理エンジンの低学年版です。主に小学生高学年が対象です。


論理エンジン 読解・作文トレーニング
基本情報
教材名 : 論理エンジン 読解・作文トレーニング 標準
出版社 : 水王社
シリーズ対応教科 : 国語
製本 : B5横組み
特徴 : 論理的思考力を鍛えるためのテキスト

先日紹介した論理エンジンは市販されていませんが、今回紹介の「読解・作文トレーニング」は内容が同じものが市販されています。
塾用のものと、市販のものでは表紙が巻き直されていて違っています。

市販のものは、「4年」「5年」「6年」と学年別になっているのですが、塾用のものは「標準」「上級」「発展」となっていて、学年の異なる生徒にも使いやすくなっています。


例えば、6年生の子に4年と書いてあるテキストを使うのは、生徒本人にやる気をそいでしまう可能性があるので好ましくないですよね。


1.教材の構成

メインの論理エンジンOSのシリーズと比べ、ごくシンプルです。
問題冊子と、シンプルな模範解答だけになります。

2.教材の趣旨

論理エンジンOSのシリーズと同じで、文や文章の構成を論理的に捉えるための技能を訓練しようという趣旨で作られています。そして、その中で論理的に物事を考える訓練に繋がるようにできています。
なので、ただ解けるだけではなく、きちんと解けることが求められるテキストです。

しかし、小学生向けだけあって、OSのシリーズと比べれば求められているレベルはだいぶ低いです。
(とはいっても、小学生向けにしてはかなり高レベル)



3.感想・評価

なんども繰り返し書いていますが、

総合的国語力
① 考える力 (文章を読んで理解し、自分の意見を持つ力)
② 表現する力 (自分の意見や考えを文章にする力)
③ 語彙やレトリック、国語的知識や一般的な知識(常識や別教科の知識を含む)


というものを、私は想定しています。
特に、①の考える力というのは、特に大切です。そこを鍛えるという意味で、論理エンジンのシリーズはオンリーワンの素晴らしいテキストです。
特に、OSのシリーズよりこちらの方がずっと良いと思えるのは、まがりなりにも低学年向けにハードルが低くなっていることです。
内容が易しいだけではなく、テキストの構成をシンプルにして、こだわりの幾つかの部分を切り捨てています。そのため、OSのシリーズよりはだいぶ取り組みやすくなっています。指導上の注意点も少なくなって、例えば指導経験の浅い講師をつけて個別指導用の教材としてつかったり、場合によっては自習用に用いても何とかなりそうな印象があります。

考える力というのは、高学年になってからよりもできるだけ早い段階で身につけるにこしたことはありません。
それさえ身につけてしまえば、論理エンジンのような特別なテキストを使わなくても、普通の国語の読解問題を演習するだけでも十分な演習になるでしょう。
そういう意味でも、このテキストはOSシリーズ以上に良いテキストです。
本来は市販版の見出しにもあるとおり小学4年~6年生向けという扱いなのでしょうが、国語がやや苦手な中学生向けにしてもとても良いテキストのように感じます。

ただ、国語が苦手な生徒というのは他の教科も苦手であることが多く、そちらの教科の方が気になってなかなか国語まで手が回らないことが多いのが実情です。
実際に教室で用いるには、国語が苦手な中学生よりは少し上位を狙っていきたい小学生に使うことの方が多くなりそうです。


2012年12月2日日曜日

ムスカ大佐に学ぶ表現技法

















知人の塾の先生にアイデアをもらい、教室に貼り出す掲示物を一点、制作しました。
イラストカットも、わたしが自分で描きました。

ムスカ大佐に学ぶ表現技法
です。

天空の城ラピュタの人気キャラクターであるムスカ大佐ですが、たった1本のアニメ映画の中で数多くの修辞法を用いてくれます。

たとえば、

見ろ!人がゴミのようだ!!
直喩法
「まるで」「ようだ」「みたい」などの言葉を用いて、別の物事にたとえる表現技法で、比喩法の一種です。炎上するゴリアテから落ちていく兵士たちを見て、ムスカ大佐は「人」を「ゴミ」に喩えています。「ゴミ」という無機物に「人」をたとえることで、人という生き物の矮小さを強調しています。

2012年11月29日木曜日

教材マニアックス9「論理エンジン」


今日は論理エンジンという少し独特の教材を紹介します。

出口汪という開発したテキストで、市販されている姉妹教材も人気があるようです。
今日紹介する「論理エンジン」は塾教材で、テキストのみでの市販はされていないのですが、ビデオ授業とのセット販売での市販購入はできるようです。

インターネットで検索すると、いろいろな塾で採用されているようで、多くの広告文を見ます。
論理エンジン公式HP http://www.ronri.jp/もあるのですが、ただこちらも成果が出るといった謳い文句はたくさんあるのですが、具体的にどういう趣旨のテキストなのかさっぱり分かりません。

よい教材であるのならSSS進学教室でも採用したいですし、かねてよりの興味もありましたので、さしあたり1セットだけ取り寄せてみました。


論理エンジン
基本情報
教材名 : 論理エンジン 
出版社 : 水王社
シリーズ対応教科 : 国語
製本 : B5
特徴 : 論理的思考力を鍛えるためのテキスト


1.教材の構成

レベルごとのテキストになり、小学生でも高校生でも必ず一番下のレベルから演習していきます。

OS1 (レベル 1~10)
OS2 (レベル11~20)
OS3 (レベル21~30)
OS4 (レベル31~40)
OS5 (レベル41~50)

また、各OSでは2冊ずつの教材を使います。

論理の習得
誌上講義

の2冊です。
論理の習得がメインの教材になり、誌上講義が補助冊子という位置づけのようです。

論理の習得の内容
端的な解説+問題演習

















誌上講義の内容
参考書と、別冊となる問題集の2部構成です。
参考書の方は実況中継系の参考書になっていて、これを読めば授業を受けるのと同じでしょう。まさに、「誌上講義」といえるでしょう。また誌上講義・問題編として、問題集が別冊として付いてきます。
















水王社に問い合わせたところ、教材の使い方は各学習塾におまかせで、このように使わなければならないというマニュアルはないそうです。
しかし、標準的な使い方としては、

塾の授業 → 塾で「論理と習得」を用いて授業を行い、演習をする。
宿題 → 「誌上講義」を用いて授業の復習をして、問題編を宿題として演習する。


というのがスタンダードのものとして、想定しているようです。

また、OSシリーズの次のレベルとして、PSシリーズがあります。
加えて市販もされている、小学生向けのテキストもあります。

2.教材の趣旨

ただ国語の問題を解くだけではなく、論理的に文章を読み、論理的な思考法を身につける訓練をするアイテムとして作られた教材です。

主語述語の関係、修飾語の関係、指示語などといった「文」の論理から初めて、論説文などの論理構成を把握する「文章」の論理について学びます。


3.感想・評価

以上は客観的な内容ですが、ここからは私の個人的な見解です。

国語は論理
国語を学ぶ上でもっとも大切なのは論理的思考法であるというコンセプトは本当に素晴らしい。
特に、物事を論理だてて考えることができるというのは、レベルが上がるほどに要求されるものになります。
私事になりますが、私は子供の頃は漢字の書き取りのせいで国語が大の苦手でしたが、高校に入るあたりで物事を論理的に考える習慣を身につけてから小論文や国語のテストは得意に変わった経験があります。論理的な思考力を鍛えるというのは、国語を学ぶ上でもっとも大切な技能でしょう。

これは、私の勝手な解釈なのですが、以前に総合的国語力についての記事をブログでも書きました。

総合的国語力
① 考える力 (文章を読んで理解し、自分の意見を持つ力)
② 表現する力 (自分の意見や考えを文章にする力)
③ 語彙やレトリック、国語的知識や一般的な知識(常識や別教科の知識を含む)

論理エンジンでは、特に上の2つについて力点を置いて鍛えていきます。
従来の学習塾や学校での国語指導では、③については教えやすかったのですが、①②については自助努力にまかせていたところが大きいでしょう。
そういう意味では、論理エンジンは非常に画期的なテキストといえるでしょう。

演習問題は易しいが、要求されているレベルは高い
問題を解く意義を、生徒が自分で理解しなければならない

論理エンジンの問題自体は非常に平易です。解くだけなら、本当に小学生からでも始められます。
しかし、実際にはこのOS1のレベルが適当なのは優秀な中学生か平均的な高校生でしょう。

このテキストはただ漠然と解くのではなく、テキストの趣旨を生徒がきちんと理解して、その趣旨にそった高い意識を持って演習しなければ意味がありません。
誌上講義では、ただ問題の解説をするだけではなく、なんのためにその演習を行うのか、どういう意識で問題に取り組むべきかがクドイほどに繰り返されています。ですが、それは必要だからこそ繰り返されているのです。
むしろ、問題演習を通じて、誌上講義で語られている内容を理解し身につけることが大切なのでしょう。


塾でどう使うかは悩みどころ


塾で上手に使うのはだいぶ難しいようにも思えます。
「論理の習得」を用いて、「誌上講義」とおおむね同じ内容を生徒に伝えて、演習して貰うというのが基本にはなると思います。「誌上講義」の内容は素晴らしいものがあります。
しかし、「誌上講義」で書かれている内容というのは、高度なものです。生徒というのは、口頭での指示は文書での指示よりもずっと伝わりにくいのです。端的に説明するのが基本です。それを考えると、十分な指示を出すのは難しいようにも思えます。
また当塾のような個別指導塾で使うとすると、さらに指導方法はよく考えなければならないでしょう。一斉授業で使うにしても、理解や演習のペースは人それぞれなのですから、また別の難しさが予想されます。
ビデオ授業での販売もされているようですが、このテキストはビデオ授業とのセットでの使い方が最適になるように作られているのかもしれません。
(個人的にはビデオ授業というのは上手に使いこなせない良いのですが、それができない生徒が多いと思っています)

論理エンジンは非常に優れた教材なのは間違いないのでしょうが、当塾での採用は当面見送りです。もう少し使用法を煮詰めて、できれば上手に使えている既存の塾を見学させてもらったりした上で改めて検討することになるでしょう。

2012年11月22日木曜日

愛知県公立高校入試の傾向 一般入試 国語


愛知県公立高校一般入試の傾向 国語

総問題数20問(各問1点/20点満点)


平成24年A日程
番号出題分野            問題形式            
1論説
6題
選択4題(内容把握3、接続詞選択1)
抜出1題(心情把握)
要約1題
2随筆
6題
選択4題(語句の意味1、内容把握3)
抜出2題(心情把握1、内容把握1)
3漢字
4題
記述3題(書き1、読み1、四字熟語1)
選択1題
4古文
4題
選択3題(内容把握1、要旨把握2)
抜出1題(内容把握)

平成24年B日程
番号出題分野            問題形式            
1論説
6題
選択4題(内容把握2、適語補充2)
抜出1題(内容把握)
要約1題
2小説
6題
選択6題
(心情把握4、語句の意味1、内容把握1)
3漢字
4題
記述4題(書き2、読み2)
4漢文
4題
選択3題(口語訳1、主語把握2)
抜出1題(内容把握)


国語で点数をとるためには、文章を読んで内容を理解することが何より大切です。
これは学校の勉強だけでは絶対に身につきません。
自分のレベルにあった問題で、早いうちから演習できるようにすると良いですね。

1.選択問題の多くが内容や心情の理解の問題

出題形式の半分以上が選択問題で、またその多くが内容や心情について理解を問う問題です。
文学知識や文法事項などの知識を問う問題は少ないです。
文章を読んで理解することが問われています。
正誤の判断する基準は本文中に必ず書かれていることに注意して読み解く練習をしましょう。


2.要約問題が必ず出題

出題形式が決まった要約問題が必ず出題されます。
読解のできる生徒にはそれほど難しい問題ではないのですが、採点基準は厳しく、正答率はかなり低い設問です。苦手な生徒は無理に挑戦することはないでしょう。


3.漢字の配点は大きい

4題の漢字が出題されます。4題/20題で、配点も均等ですので、比重としてはかなり大きいです。
ぜったいにとっておきたい問題ですね。
特に「書き」の問題では、小学生で習った漢字が多く出題されます。重点的に復習しておきましょう。
また近年四字熟語からの出題がされるようになりました。中学までで勉強する漢字を使った四字熟語の数はたかが知れています。必ず対策しましょう。

4.古文は現代語訳つき


古文(たまに漢文)は現代語訳つきで出題されます。
現代語訳と照らし合わせて読解するようにしましょう。
高度な古典知識や古文文法ができないと解けない問題は出題されません。
ただし、旧仮名遣いの読み方などは必ず勉強しておきましょう。


2012年11月11日日曜日

教科書ANCK 国語古典

英語の教科書の訳で、生徒にも好評の「教科書ANCK(アンチョコ)」ですが、国語古典版を作りました。

といっても、2年と3年各1枚の簡単なものではありますが。
教科書本文には解説のみで、単純な訳が載っていない部分のみ作りました。
教科書(光村)は古典の訳はほとんど載っていますし、載っていないところも解説を読めば分かるようにはなっているのですけれど。


2012年9月27日木曜日

国語の指導について

個別指導の学習塾では、授業で受講する教科などは自由に選択できます。


英、数、国、理、社
の5教科の中で、もっとも需用の少ない教科が国語です。
国語で受講しようという生徒は多くはありません。ちなみに一番人気は数学、僅差でついで英語でしょうか。
でも、国語というのはとても大切な教科なのです。


しかし教える立場からすると、国語の指導というのは、とても難しいです。

① 考える力 (文章を読んで理解し、自分の意見を持つ力)
② 表現する力 (自分の意見や考えを文章にする力)
③ 語彙やレトリック、国語的知識や一般的な知識(常識や別教科の知識を含む)

この3つの力をあわせて、総合的国語力と呼びます。
(いや、ほんとうは私がそう呼んでいるだけなんですけどね)

この総合的国語力は、一朝一夕に身につけられるものではないのですが、とても大切な力です。これが身についていないと、他の教科の成績にも大きく響きます。
とくに①の「考える力」は重要で、訓練して伸ばしていくべきです。
また、総合的国語力は学校の授業をまじめに聞いていても、決して身につきません。
なぜなら、学校の国語の授業というのは、一つの文章を学校の先生が丁寧に解説してくれるものなので、自分で理解しなくても先生の話さえしっかり聞いていればなんとかなってしまうからです。
総合的国語力がなくても、小学校や中学校のテストくらいなら授業さえしっかりこなしておけば、それなりの点数はとれてしまいます。
しかし、高校入試や高校に入って以降の国語の授業ではだんだんとそうしたゴマカシがきかなくなってきます。
特に「ちゃんと授業は聞いているのに少しずつ国語の成績が下がってきている」「教科書にそった定期テストは大丈夫だけど、模擬試験や実力テストの成績はイマイチ」という生徒は要注意です。できるだけ早く国語の勉強方法を改めた方が良いでしょう。



ただ、SSS進学教室西尾教室の国語の授業では、総合的国語力を鍛える訓練と並行して、学校のテストでも点数を取るための学習も行います。長期的に見れば、総合的国語力を鍛えることは大切ですが、学校で良い点数をとれた方が生徒も楽しいですしモチベーションも上がります。入試を考えれば学校のテストで点数をとれるようになることも大切です。
生徒の学習状況にあわせて、そのあたりはバランスよく進めていこうと思っています。

では、総合的国語力を鍛えるためには、どんな学習をすれば良いのか?
そのあたりについては、また別の機会に。