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2025年2月26日水曜日

数学大問3解説(2025愛知県公立高校一般入試問題)

 本日、愛知県公立高校の一般入試が行われました。

全体的な難易度は平年並みだと思いますが,リスニング試験の形式が変わったなど一部変化もありました。

また,いくつかは難しい問題もありました。

数学は毎年,大問3の(2)(3)は難しい問題が出題されます。

すべての問題の解説は間に合いませんが,その問題の解説を作りました。√記号や図形がありますので,画像ファイルになります。



2022年12月19日月曜日

入試5科ANCK 数学1

当塾で作成しました「入試5科ANCK」のテキスト中身を紹介していきます。


まずは数学です。

数学のANCKは「基礎テク」と「応用テク」に分けています。

特に「基礎テク」は入試に向けて最低限マスターしておく必要があります。



ページ上側に覚えておくべき公式やテクニックを掲載しており、下側にそのテクニックを使った例題を載せてあります。


PDFファイルダウンロード

2021年11月21日日曜日

教育における方便(ウソ)

 私が学生時代に、おじいちゃん先生が「関数は昔は函数と書いていたんだよ」という話をしてくれたことがあります。


数学をきちんと勉強していくと、「関数」よりも「函数」の方が「カン数」の本質をより正確に表していることが理解できます。

文字通りに意味を捉えるのなら、

関数:関係している数

函数:函(はこ)の中に入れる数

を表します。

数字を入れると、別の数にして返す機能を持つ函(はこ)という意味です。

英語でも関数はファンクション(機能)と呼びます。


ただ私たちのような小学生や中学生を中心とした教育の現場で、「函数」という言葉を使うべきかというと微妙です。

「函数」の方が本質を捉えた言葉ではありますが、「関数」の方が子供が理解しやすい言葉だからです。


私たち教育者は教育の現場において数々の方便(うそ)を用います。

小学生に比例・反比例を教えるときに、

「比例はxが増えたときには、yが増える関係なんだよ」

と小学生に教えます。

実はこれは正確ではなく、比例定数がマイナスであるときはxが増えたときにはyが減少してしまいます。

ですので、教科書の用語では記述を正確にするために「比例はxが増えたときには、yが増える関係」とは書かず、「xが2倍、3倍になるとき、yも2倍、3倍になる」という書かれ方がされています。しかし、生徒に理解を促すためには「比例はxが増えたときには、yが増える関係」と説明した方が理解してもらいやすいのです。

正確な理解については、中学校になって負の数の概念を導入してから誤解を正すので十分です。


数学以外でも多くの方便があります。

例えば、英語では、

小中学生には「英文には、肯定文と疑問文と否定文の3種類がある」と教えます。

実はこれも正確ではなくて高校英語になった段階で「英文には、平叙文と疑問文があり、平叙文と疑問文のそれぞれに肯定文と否定文がある」とより正確な説明をするようになります。


理科でも中学生や高校生には「質量やエネルギーはそれぞれ保存される」と教えます。

原子レベルの反応では、「質量とエネルギーは等価であり、質量とエネルギーを総括した上で保存則が成り立つ」とは教えません。

「物質には気体・液体・個体の3態がある」と教えて、は「物質には気体・液体・個体の他に、プラズマやコロイドなど様々な相があるとは教えません。


正しいことに固執して、正確な記述を求めすぎると、とても分かりにくくなってしまいます。

生徒に本質的な理解を促すということは、正しく説明することでは決してないのです。

諺に曰く、「嘘も方便」ということなのです。

2021年11月11日木曜日

テキストの扱う時期

 ある程度、同じような指導でほとんどの生徒を教えることのできる中学生までと比べ、高校生は通学する学校や学力、進路志望によって、必要な指導の内容の差が拡大します。


高校生の子たちに、ふだんどのようなテキストを用いて学ぶように指導するかは、まず第一に生徒の学力によって難易度のあったものを選びますが、難易度の他にテキストの扱う時期は間違えないように気をつけます。

例えば、高校数学の指導で使うテキストについて説明します。


1.基礎の土台作りに向いたテキスト(1年~2年生の基礎学習に使いたい)

 スカイチャート 難易度☆

 白チャート 難易度★

 黄チャート 難易度★★

 青チャート 難易度★★★

 赤チャート 難易度★★★★


 基礎づくりには網羅的なテキストを使います。チャート式数学がもっとも無難でしょう。

 有名なチャート式の他に、フォーカスゴールドやニューアクションも同種のテキストです。

 スカイチャートは公式には受験対策の第一歩にという扱いにはなっていますが、あまり受験向けの内容にはなっていないように思えます。

 3年生になってチャートを主につかっているようではダメダメで、2年生までには一通り終わらせて、3年生では困ったときの辞書のように使えたらベストでしょう。

 主に1-2年生で使うのが好ましいですので、白チャートなどの基礎重視のものをオススメしています。


2.入試の基礎テキスト(一通りの学習を終えた生徒の受験勉強の第一歩に)

 10日でできる数学シリーズエクスプレス 難易度☆

 10日でできる数学シリーズ 難易度★

 紫チャート 入試必携168 難易度★★

 緑チャート 共通テスト対策 難易度★★

 河合塾 文系の数学 重要事項完全習得編 難易度★★

 河合塾 文系の数学 実践力工場編 難易度★★★

 河合塾 数学Ⅲ 重要事項完全習得編 難易度★★★

 緑チャート 共通テスト対策 難易度★★

 大学への数学 プレ1対1の演習 難易度★★

 大学への数学 1対1の演習 難易度★★★


 河合塾の「数学Ⅲ 重要事項完全習得編」は、数学Ⅲの受験対策を行う上で現状ではもっとも易しいテキストになっていてもっとも欠かせないテキストの1つです。


3.入試に向けた実践演習(受験まで残り半年を切った生徒に

 10日でできる数学シリーズ演習シリーズ 難易度★★★

 旺文社 全レベル問題集 難易度★★~★★★★★

 理系/文系 数学良問のプラチカ 難易度★★★★★

 入試過去問・模擬問題等


 文系の数学シリーズや、数学のプラチカなどは、本のタイトルに文系ないしは理系とついていますが、文系理系を問わずに使って良いテキストでしょう。

2020年3月5日木曜日

公立高校入試A日程 数学の分析 & B日程の出題予想

数学

大問1(易しい問題9題)
昨年よりの傾向ですが、計算問題の出題数が減っています。大問1の9題のうち、純粋な計算問題からの出題は5題のみで、従来愛知県では出題率の低かった計算問題以外の基礎問題の出題が4題ありました。B日程でも同様の出題が予想されます。ここで不安のあり、「フォレスタステップ」のテキストを持っている生徒はもう一度解き直しておく良いでしょう。
計算問題では、解の公式を用いる2次方程式が出題されていますので、B日程では解の公式を使う2次方程式が出題される可能性は無く、2次方程式の出題がされる場合は因数分解の利用で解けるものになるでしょう。また、全国的な傾向で、文字の置き換えが必要な因数分解の問題の出題も高くなっていますので、B日程でも出題の可能性が高いでしょう。
(※「フォレスタステップ」は多くの学習塾で採用される復習教材で、当塾でも採用しております。)

大問2(さまざまな問題)
毎年出題されていた証明問題が出題されていません。
A日程で出題されていないため、B日程で出題されやすい問題としては、以下のものがあげられます。
・証明問題(間違った部分の修正または、穴埋め形式)
・確率の問題(複数の確率を求めさせる2点問題)
・放物線
・方程式の文章問題
また1次関数のグラフを作図する問題などは、B日程でも出題される可能性が高くなっています。

大問3(図形問題)
例年通りの出題で、求角1題と、2題構成の図形問題が2題の5点分の出題がされました。例年と比べて、かなり易しめの問題です。愛知県の図形問題は他の都道府県の問題と比べても難しい特徴がありましたが、得点率が低いことから易しめの構成に方針を変えてきている可能性が高いです。B日程でも比較的易しめの図形問題が出題される可能性が高いため、中堅校狙いで捨て問にしていた生徒も挑戦する必要があるでしょう。
当塾に通塾している生徒は、「SS数学3年」の5章・6章のS問題を解き直しておいてください。

2018年4月28日土曜日

白チャのススメ

白チャというと、「チャート式数学 基礎と演習」の通称です。
ドリフターズの加藤茶とは関係がありません。

チャート式数学は、網羅的な数学の問題集兼参考書で、内容が充実していて長年にわたり高い評価を得続けています。
多くの公立高校や私立高校でも採用されています。
難易度によって4種類、さらに受験対策用などにプラス3種類のチャートがあります。

標準4種
赤チャート 無印チャート いちばん難しい 最初にできたオリジナル
青チャート 基礎からの
黄チャート 解法と演習
白チャート 基礎と演習 いちばん易しい

追加3種
紫チャート 必携168 基礎受験対策
緑チャート センター対策
スカイチャート 絶対にみにつけたい数学

標準の4色のチャートはどれも基礎から問題が乗っていますが、易しいものほど難しい問題は少なくなっているため、解説は詳しくなっています。
そのため、難しい問題まで挑戦したい生徒は赤や青、易しい問題だけを演習したい生徒は黄や白という使い分けになります。

どの高校でも大抵はチャート式を採用していて、一部例外的に「ニューアクション」や「フォーカスゴールド」などが採用されている場合があるくらいです。

当塾の周辺高では、今年の1年生の採用を高校のレベル順に整理すると、

刈谷高校 青チャート
西尾高校 赤チャート
西尾東高校 黄チャート
碧南高校 黄チャート
吉良高校 白チャート

などといった採用になっています。西尾高校はとくに去年に引き続き赤を採用と、だいぶ背伸びをしている感じです。西尾高校はいぜんはニューアクションを採用する学年もあったようです。

インターネットの評判などを見ると、「青チャート」などが高い評価を得ているように感じます。
しかし、当塾では、ほとんどの生徒にいちばん易しい「白チャート」を勧めています。

当塾の塾生でも、白チャートを利用した学習で、ずっと学年1位を取り続けてくれている生徒もいます。
ほとんどの生徒は、青や赤のチャートは難易度が高すぎるでしょう。
学校の課題でも、せっかく青や赤を採用しても、宿題では易しい問題だけを選んで宿題に出すというような本末転倒な事態が多く起こっています。

インターネットのレビューなどで、青チャートなどの難し目のチャートが高い評価を得ているのは、参考書や問題集のレビューができるような生徒は学力が高く、余裕をもってトップレベルの成績を維持できるような生徒ばかりだからでしょう。

とくに「国公立大学」に行きたい、「名古屋大学」くらいに行きたい、公立の進学校で上位1割に入りたいという程度の目標生徒には白チャートが最適でしょう。

白チャートは、チャート式の中ではもっとも易しいという扱いなのですが、東京大学の理系学部のような余程の難関大学を目指すのでもなければ、白チャートでも十分な難易度でしょう。
東京大学などの難関校を目指す場合でも、1-2年生のうちの基礎習得の段階では白チャートで十分かもしれませんね。

チャート式は白チャートでも赤チャートでも、網羅的で初期の学習に向いたテキストですので、3年生の最後まで使い続けるのには向かないテキストです。

白チャートか、せめて黄チャートなどの易しいチャート式でなるべく早く一通りの基礎を習得し、2-3年生で受験を意識した学習に移った段階で、より実践的で志望校にあったテキストを選んで学習していくというのがオススメの学習方法です。

また、一般入試ではなく推薦入試を中心に受験をする私立高校や、中学生の頃の内申点27以下で入学できるレベルの公立高校の生徒は、白チャートでも難しすぎて挫折してしまう場合が多いでしょう。
そうした場合は、2017年4月に新刊された「スカイチャート 絶対にみにつけたい数学」がオススメです。
中堅以下の高校であれば、スカイチャートをしっかり演習できるようであれば、学年1位2位を争うくらいの成績は確実にとれるでしょう。
進学校の生徒でも、私立大学文系志望で大学入試に数学を使わない予定の子は、数学にあまり労力を払いたくないので、スカイチャートでの学習がオススメです。
西尾高校あたりの地域トップ校の生徒でも、数学が苦手な生徒にスカイチャートを中心に勉強してもらって、平均点以上程度の成績がとれてしまうというのは、高校生全体の数学の学力の低下が嘆くべきとろこなのかもしれません。

2016年5月15日日曜日

オリジナルテキスト SS数学

SSS進学教室オリジナルテキスト「SS数学」が制作中です。

個別指導の学習塾において、基礎を修了し、さらなる飛躍を目指すためのテキストです。
現在、中学3年生の図形問題を作っている最中です。

図形問題は、図版が多くて制作がたいへんです。





























さて、写真の例ですが、「連比」を用いたテクニカルな図形問題の解法を説明してあります。

この「連比」を用いた解法はふつう、中学校でも高校でも勉強しません。
このテクニックを使わなくても、どの問題も解くことは不可能ではありません。

しかし、このテクニックを使うことで難しい問題を圧倒的に平易に解くことができるようになります

受験生にとっては、非常に有用な考え方なわけです。
こうしたテクニックは、きわめて優秀な生徒なら自分で気づいてなんとなく使いこなしてしまうような子もいます。
しかし、こうしたテクニックをもっと多くの生徒に使えるようになってしまうのです。

従来、こうしたテクニックを生徒に教えるとすると、講師の技量だのみで、体系的に指導する仕組みはどこにもありませんでした。

このテキストの意図として、
「普通よりちょっと優秀な程度の生徒」を、「中学校の学年で1位、2位を争うようなかなり優秀なレベルまで」引き上げることを目的とします。

当テキストが利用できるようになるのは、来年度を予定していますが、これにより成績上位層の指導がより効率化されることが期待されます。

2015年11月29日日曜日

数学教材 SSSugaku(エスエス数学)(仮) 模範解答

模範解答はシンプルな作りです。



WarmUpの解説リソースをさいているため、模範解答はごくシンプルです。

ただし、TryやExerciseA, Bで、WarmUpより一回り難しい問題がある場合は簡単な解説をつけています。

想定している使用方法からして、WarmUpよりもTryやExerciseA, Bの方が問題量が多くなっています。(注1
WarmUpは講師が解説に時間が掛かりますので、できるだけ端的になるよう、最小限の問題構成になっています。
20年前くらいの個別指導塾のスタンダードは1:1でしたが、今では1:2から1:4がスタンダードです。このような指導形態で無理なく教えられるように工夫されています。(注2

※ 注1
問題量は、
WarmUp ≦ Try ≦ ExerciseA ≦ ExerciseB
単元により、等号が成り立つ場合も不等号が成り立つ場合もありますが、逆転はありません。

※ 注2
SSS進学教室1:3
明光義塾1:3
ITTO個別指導学院
(がんばる学園・みやび)
1:3 or 1:1
(まれに1:2)
スクールIE1:2 or 1:1
中萬学院CGパーソナル1:2 or 1:1
東京個別指導学院1:2 or 1:1
+1:4
森塾1:2

どの形式がベストかは、各塾の主張が別れるところではありますが、古い塾ほど、1:1での指導形態を併用しているところが多くなってきます。
複数の指導形態を併用することは、指導側のリソースが分散してしまうため指導の質が低下しかねない危険がありますが、古くからある教室などでは急な切り替えは難しいのでしょう。
また、同じ人数でも指導形式には大きな差があります。

2015年11月28日土曜日

数学教材 SSSugaku(エスエス数学)(仮) 要は分かりやすい解説

フォレスタに代表される個別指導教材は、有名な高校数学の教材「チャート式 数学」「大学への数学」などのテキスト構成を真似しています。

通常の問題集の場合
① 問題 → ② 模範解答で詳しい解説

という構成のところを、チャート式などでは、
① 解説(詳しい解説つきの例題) → ② 問題(類題演習)
となっています。

このテキスト構成のおかげで、難しい問題に無理なく挑戦していけるわけです。

これが、個別指導教材の場合、宿題用の追加の問題が加わっていて、さらなる繰り返し学習が可能になります。
「SSSugaku(エスエス数学)(仮)」の場合は、さらに予備の問題を載せています。


「SSSugaku(エスエス数学)(仮)」のテキスト構成

① 詳しい解説つきの例題(WarmUp)
・ 解説を見ながら解く
・ 塾の先生に手伝ってもらいながら解く



② 類題演習(Try)
・ 自分の力で解く
・ 困ったときだけ塾の先生に教えてもらう



③ 宿題演習(ExerciseA)
・ 宿題で解く
・ 解けなかった問題は次の授業で教えて貰う



④ 予備問題(ExerciseB)
・ Tryで間違えてしまったとき、もうちょっと練習したいときに解く
・ その他、必要なときに予備として利用する

この中で、もっとも要となるのは「① 詳しい解説つきの例題 WarmUp」です。
チャート式数学や、個別指導教材がその他の教材と一線を画すのは、ここのところです。

そういうわけで、

「SSSugaku(エスエス数学)(仮)」のWarmUpを一部紹介します。

特に、より難しい問題では解説が重要になってきます。



できるだけ、図表を利用して詳しく解説します。
生徒に「発問」しやすいように、一部を赤シートで隠せるようになっています。

比較的易しい問題では、もう少し解説は端的です。



平方完成の単元ですが、他のテキストよりずっと端的で分かりやすい内容になっていると自信の持てる解説です。
ただ、教科書と式の変形の手順が少しだけ違っているのが難点ではありますが、より応用が効きやすく、理解しやすい説明になっていることが分かると思います。
(画像をクリックすると拡大して見ることができます。)



解くまでの手順が複雑な問題では、ただ解き方を載せるだけではなく、問題を解くための方針を説明してから、スモールステップで解説します。
難問を扱っているその他の問題集の場合、模範解答に書いてある解説は、「詳しく」かつ「数学的に正しい」のですが、「理解できていない生徒に理解させる」のには不十分な場合が多いです。
そのため、このテキストでは「数学的な厳密さ」をいくらか捨てて、「理解できていない生徒に理解させる」ことを第一にして解説を作ってあります。

2015年11月24日火曜日

数学教材 SSSugaku(エスエス数学)(仮) 目次




















目次です。


第5章と第6章はまだまったく手つかずなので、目次すら存在していません。
ピンク色の見出しの部分が、B問題とS問題、灰色の見出しの部分がSS問題になります。

たとえば、第3章の二次方程式の単元だけ見てみると

B問題 
3-0 標準問題の確認(計算問題から文章問題まで)

S問題
前半 3-1 から 3-2 計算問題
中半 3-3       2次方程式と解
後半 3-4 から3-10 文章問題

SS問題
前半 3-11 から 3-16 計算問題
中半 3-17 から 3-18 2次方程式と解
後半 3-19 文章問題

というように、「B問題だけ」「S問題だけ」「SS問題だけ」で学習のサイクルが一通り完結するようになっています。

2015年11月16日月曜日

数学教材 SSSugaku(エスエス数学)(仮) テキストの基本構成

テキスト名称
 SSSugaku(仮) (エスエス数学(仮))

テキストのコンセプト
 ハイレベル問題を中心とした個別指導専用教材

テキストの紹介記事の続きです。
ハイレベルな数学指導を目指すテキストになりますが、基本のテキスト構成は次のようになっています。

Point!
要点の説明です。
一部については赤シートで隠れるようになっていて、生徒に発問しやすくなっています。

Warm up
生徒が講師に手伝ってもらいながら、解き方を教えて貰った上で解く問題です。
問題のすぐあとに解説がわかりやすい解説が書いてあります。
ここで解き方を説明してあげます。
解き方のポイントや、図表が既に書いてあるので、講師が自分で板書を作る必要がなく、簡単に高度な指導が行えます。




Try
類題演習です。
塾での授業中に利用することが想定されています。
Warm Upを参考に、生徒に自分の力だけで解いて貰います。
詰まってしまったときだけ、講師は生徒を手伝ってあげましょう。
問題を理解するだけでなく、自分の力でとくことで本当の力になります。


Exercise A
類題演習です。
宿題用として、利用することを想定しています。
Tryとレベル、内容ともに類似した問題になります。繰り返し演習することで、よりしっかりとした力になります。
Tryと比べ同じレベルの類題なので、きちんとTryを解くことができた生徒なら問題なく解くことができます。
宿題に付随する「解けないから、やる気がなくなる」という学習阻害要因を排除します。

Exercise B
予備の類題演習です。
こちらもTryとレベル、内容ともに類似した問題になります。
授業中にTryを挑戦して演習が不十分だと講師が判断した場合や、宿題でExercise Aを演習した上でもうちょっと類題を挑戦したいと感じた場合に挑戦してもらいます。
生徒により多くの課題を課したい場合には、Exercise Aと同様にはじめから宿題として課すことも可能です。



以上のような内容で1セットになり、この内容の単純な繰り返しになります。
まとめ問題のページなど、余計なページ構成は設けておらず、指導をする上で講師が迷わずに済むような構成になっています。
1回の授業で、この「Point!, Warm Up」のセットを2~3セット程度消化し、対応する「Exercise A」から宿題を出すという流れを基本として考えます。

B問題(Basic) 標準問題の確認(5%)
学校の定期テストレベルの問題

S問題(Special)(55%)
公立高校入試レベルの問題
平均的な公立中学校で4以上を安定的にとれる生徒に挑戦してもらいます

SS問題(SuperSpecial)(40%)
難関私立高校入試レベルの問題・高校数学への架け橋となる問題
平均的な公立中学校で5以上を安定的にとれる生徒に挑戦してもらいます

以上のように、テキストは3段階にレベル分けがなされていますが、基本構成はどのレベルでもほぼ同様となっています。
ただし、B問題については「基礎のまとめ単元」という位置づけであるため、WarmUpの問題を省略してあります。



2015年11月12日木曜日

新テキスト開発中





新しいテキストを開発中です。

すっかりブログの更新はさぼり気味ですが、受験生たちの受験対策や日々の授業のブラッシュアップ、新テキストの開発など、いろいろと忙しく働いているのですよ。

というわけで、新テキストの広告をかねて、しばらくは少なくとも週1程度ではブログも更新していきたいと思っています。


さて、
新テキストについてですが、

テキスト名称
 SSSugaku(仮) (エスエス数学(仮))

テキストのコンセプト
 ハイレベル問題を中心とした個別指導専用教材


というものです。
通常のハイレベルなテキストと違い、このテキスト単独で用いることは想定されていません。
「フォレスタ」「スパイラル」「 i ワーク パーソナル」などの個別指導用教材と併用し、基礎教材を終えたあとに追加で使用することを前提としたテキストとなっています。

・ 標準レベル以上のレベルを向けた教材
・ 難しい問題をより分かりやすく、解きやすく、演習しやすく
・ 教える側が難問でも教えるのに負担が少なく

といったポイントを押さえにいったテキストです。

次回以降の記事で、少しずつ内容を紹介させてもらいたいと思っています。



2014年5月4日日曜日

数学IA「命題の真偽」の教え方

 オカマならば、だ。

× ならば、オカマだ。


上の命題は真で、下の命題は偽です。

高校数学では、1年生次に「集合論」「命題」について学びます。
数学のもっとも基礎となる部分ですね。

このあたりの単元というのは、数学が得意な生徒にとっては、難なくクリアできるところです。考え方の概念さえ理解すれば、ほとんど勉強しなくても満点とれてしまったりします。
私自身も高校生時代にはまったく苦労しなかった単元でした。
けれども、この単元は苦労する生徒はものすごく苦労するのですよね。

こうした単元を、生徒にスムースに理解して貰うのにはコツがあります。
ずばり、

日常的な言葉に噛み砕いて説明すること

です。
このあたりで苦労してしまう生徒というのは、そういう生徒は、数学を日常レベルに置き換えて考える思考ができないのです。
彼らは数学が得意な生徒には当たり前にできている思考方法ができていないので、そこのところを補ってあげます。

もちろん、日常的な言葉に置き換えて説明すると数学的な厳密性は損なわれてしまいます。
例えば、上の例も数学的に厳密ではありません。
そもそも、数学的に正確に真偽を判断できる問題ではないですから、命題とすら言えませんね。
でも良いのです。分かりやすく説明するためには、

数学的な正しさなんていらない

のです。
正確な理解なんていうのは、大雑把な理解のあとでだんだんと作っていけば良いのです。
まずは感覚的に理解することです。

だから、命題の真偽は例えば次のように教えます。

 厳しい条件 → ゆるい条件

× ゆるい条件 → 厳しい条件

また、

厳しい条件=あてはまるものが少ない
ゆるい条件=あてはまるものが多い

と言い換えることもできます。
ここまで説明すれば、ほとんどの生徒が命題の真偽を間違えずに解いてくれます。

もちろん、ここでいう厳しい条件というのは十分条件で、ゆるい条件というのが必要条件ですね。けれど、「必要条件」「十分条件」なんていう数学用語は後からでも良いのですよね。


高校数学では、数学的に正しい数式や説明を用いないことで分かりやすく説明できる単元というのは数多くあります。

例えば、数学Ⅲの部分積分などは、正確には次のような公式で説明されます。


(画像はwikipediaからいただきました。)

積の積分から導くと、自然とこの式を導くことができます。
けど、数学が苦手な生徒にとっては非常に扱いづらい公式ですね。
だから、もう次のように書いて説明しちゃいましょう。






書いてあることは同じなのですが、こう書き改めてあげるだけで生徒には伝わります。
置換積分なども、同じように工夫して書き改めてあげれば、伝わりやすいですよね。
この式で理解してもらったあとで、ちゃんとした式を説明してあげれば良いのです。


今日は数学の教え方のテクニックを少しだけ紹介させてもらいました。

2013年12月4日水曜日

天秤図を使ってみよう2 (計算は青太字の部分だけ)

昨日の記事は天秤図がどのように使えるかを紹介しましたが、天秤図をまったく知らない人には分かりづらい記事になってしまいましたので、今日は具体的に使い方を説明しましょう。


昨日も紹介したこの問題で説明しましょう。

Q1
濃度20%の食塩水と、濃度30%の食塩水を混ぜて、24%の食塩水を500g作ります。20%の食塩水と30%の食塩水はそれぞれ何グラム必要ですか。

天秤図というのは、文字通り「てんびん」のような図を書いて考えます。
イメージしやすいように、今日はより「てんびん」を模したイラストを用意しました。

イラストに作成に使用したソフトはマイクロソフトエクセルです(笑)



天秤図は2つのものを混ぜたり、その平均を取ったりするのに利用します。
(応用によっては、3つ以上のものでも使えたり、またこの食塩水では食塩水の質量を求める問題ですが、逆に濃度を求める問題などにも利用できたりと、その応用できる範囲は非常に広範です。ただし、そのあたりはちゃんと扱うと長くなるので今日は扱いません。)

天秤図では、

・ 混ぜ合わせる2つのものを、両端の皿に置き、
(この問題の場合は、20%の食塩水と、30%の食塩水です)

・ 混ぜ合わせたあとにできるものを中央の台に取ります。
(この問題の場合では、24%の食塩水です)

ここで、台と両端の皿と台までの距離を測り、その距離の比を取ります。











この問題の場合は、20%と24%の間は4%で、24%と30%の間は6%なので、

4% : 6% = 2 : 3

ここで、20%のところの皿と、30%のところの皿にそれぞれ食塩水を置きます。
実際のてんびんと同じように、「てこの原理」を踏まえて、つり合いのとれるように置きます。











てこの原理によると、台(支点)からの距離と載せる重さは比を逆にしてとれば良いので、

20%の食塩水 : 30%の食塩水 = 3 : 2

24%の食塩水は、この2つの食塩水を混ぜたものなので、

20%の食塩水 : 30%の食塩水 : 24%の食塩水(500g) 
= 3 : 2 : 5

となります。この比の計算から、

20%の食塩水 = 300g
30%の食塩水 = 200g

になるわけです。











この結果を図示すると、以上のようになります。
天秤がきちんと左右で釣り合ってますよね。
このように、釣り合いが取れるように調整することが「天秤図」の基本であり、極意です。

さて、このように書いて説明すると長くなりますが、実際に計算する分量は「青太字」で書いた部分だけです。
計算ともいえないような簡単な計算ですよね。
実際に行いながら説明すると、小学生の生徒でも大半の生徒は一発で理解してくれます。
(ただし、理解して同じタイプの問題に利用できるだけでは不十分で、さまざまな問題に応用してこそ意味のあるテクニックです。なので、「理解できるだけ」の生徒には教えない方が賢明でしょう)

天秤図は、さまざまな中学受験のテクニックのなかでももっとも中学受験らしいテクニックの1つだと思います。
そのほか、中学受験にはさまざまな線分図の利用法や、面積図などおもしろいテクニックがいくつもあります。
算数が好き、数学が好きという生徒には、中学受験をしない場合でもちょっと触れる機会をもうけてあげると楽しんで貰えると思います。

また、いろいろな意味で実用的なテクニックでもあります。
高校物理の力学の計算原子量や中和滴定などの化学の計算数列や関数の応用問題の一部、生物の遺伝問題期待値資料の統計など。
ほんとうに様々な問題に応用できて、中学や高校で学習する標準的な解き方と比べ、大幅に作業を短縮できちゃいます。

2013年12月3日火曜日

天秤図を使ってみよう

算数のテクニックの1つで、「天秤図」があります。

中学受験でとくに良く教えられるテクニックですが、
これはとても便利です。

Q1
濃度20%の食塩水と、濃度30%の食塩水を混ぜて、24%の食塩水を500g作ります。20%の食塩水と30%の食塩水はそれぞれ何グラム必要ですか。
この問題に対して、ほとんどの中高生は連立方程式を用います。

x + y = 500
0.2x + 0.3y = 0.24×500

これを解いて

x=300 y=200

ですね。
けれども、この問題には天秤図を用いて考えると、一瞬で解けます。
頭の中で天秤図が書ける人なら、問題を読み終わった瞬間には解けているでしょう。


こんな図ですね。

この天秤図というのは、食塩水の問題への利用が中学受験では有名ですが、実はいろいろと応用が利くのですよね。
だいたいは、2つのものを混ぜたり平均を求めたりする問題に利用できます。

Q2
3年2組の男子の平均身長は100cmです。女子の平均身長は120cmです。3年2組に男子は30人、女子は20人います。3年2組全体の平均身長は何cmでしょう。
この問題の標準的な解き方(公立の小中で教えられる解き方)は、男女の合計の身長を求めて計算する方法です。

(100×30+120×20)÷(30+20)=108

108cm

この問題も天秤図を用いると一瞬です。


高校の物理や化学でも便利に使えます。

Q3
塩素原子は質量数35と質量数37の同位体が存在します。
塩素の原子量は35.5とすると、質量数37の同位体の存在割合を求めなさい。

これも標準的には方程式で解くのですよね。

35(1- x )+ 37x =35.5

これを解いて、

x = 0.25  よって、25%

やはりこれも、天秤図を用いると暗算で一瞬で解けてしまします。


この図から、37の同位体の存在率は1/4とすぐに分かります。

このように、天秤図非常に便利なものなのですが、公立の小学校や中学校では教えられません。
しかし、これは当然と言えば当然で、天秤図というのは「計算が非常に平易で簡単」である反面、「概念が難解」なのですよね。
その点、方程式というのは、計算は面倒になりがちですが、汎用性が高くて方程式の概念さえ理解できればおそろしく広い種類の問題に対応できるという特徴があります。

例えば、食塩水の問題に限って利用を説明するなら、成績下位の生徒でも簡単に理解できて使えるようになるでしょう。しかし、それだけでは全く不十分なのですよね。
天秤図の本質を理解し、自分なりに工夫して上述のような様々な問題に応用できるようでなければ天秤図を学ぶ意味はありません。


中学受験をする生徒は、応用力の低い生徒でも天秤図を学びます。
そして、中学受験で点数を取るためだけに用いて、後には何も残りません。

逆に、中学受験をしない生徒は応用力の高い生徒でも天秤図を学ぶ機会はないのですよね。

もちろん、こうした応用力というのも才能ばかりの問題ではなく、訓練によって伸ばすことができるものではあるのですが、こうした機会の不均衡は非常に惜しい気がします。
この天秤図の概念を学ぶのには公立学校では、高校数学の「内分・外分」を待たなくてはいけないのですよね。それも、上述のような応用と結びつけられて教えられることはありません。
私自身は子供自分、算数が好きで中学受験をするわけでもないのに自分で勝手に本を読んで学んだものですが、そうやって自分で機会を作り出せる生徒は稀なはずです。こういうのを学ぶことのできる機会は、中学受験をしない生徒に与えられるようになったら良いなあ思うのです。

2013年11月12日火曜日

特殊相対性理論

中学3年生の生徒は、ほとんどの中学校は「二次関数」の勉強が終了し、図形の単元に入りました。
今は相似を勉強していて、この次に三平方の定理を学びます。

愛知県の高校入試では、相似や三平方の単元では、難しめの問題もかなり高いウエイトで出題されます。
中3生は受験対策をしていかなければなりませんので、特に易しい問題だけでなく難しめの問題に挑戦していかなくてはならない中上位の高校を狙う生徒はふだんより少しだけ早めに予習をしていきます。


さて、この三平方の定理なのですが、応用すると何かと面白いのです。
例えば、特殊相対性理論です。

相対性理論というのは、アルバートアインシュタインというドイツ系の学者が発見した運動力学を中心とした物理理論です。空間と時間をまとめて取り扱って、時空間という概念を取り入れて体系化したところに特徴があります。
この相対性理論が説明する物理現象で、もっとも分かりやすく面白いものに、、

「光速に近い速度で動く物体は、周囲よりも時計の進みが遅くなる」

というものがあります。

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例えば、地上にマリオとルイージという同い年の双子の兄弟がいたとします。
ルイージが光速に近い速度の出る宇宙船に乗って、3年ほど宇宙旅行に出かけたとします。
そして、3年が経ってルイージが地球に戻ってくると、地球では何十年も時間が経っており、ルイージは若いままなのにマリオはよぼよぼのおじいさんになっていたのです。
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以上のようなことが、本当に起こります。
実験でもはっきりと確認されています。これがいわゆるウラシマ効果というやつです。
少しばかり専門的な言葉を使えば、ローレンツ収縮といいます。

実はこのローレンツ収縮なのですが「三平方の定理」を用いて説明できちゃうんですよね。
正確には、平方根や文字式の計算も使いますが、いずれにせよ中3までの数学で余裕で計算できちゃうんです。
(ほんとはちゃんと時空間を扱った説明には、行列とかが必要なのですが)

こんなSFじみたビックリ現象が、中学レベルの計算で分かっちゃうんですよね。
私も中学時代にこれを知って、わくわくしたのもです。
この楽しさを分かって欲しくて生徒に教えたくて仕方のないところですが、受験生は受験勉強で忙しいので教える機会がありません。そこが一番残念なところです。


さて、ここからが説明です。
題して、「サルでも分かるとは言わないけれど、中3生に分かる相対性理論」です。

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サルでも分かるとは言わないけれど
中3生に分かる相対性理論

まず、前提条件として、次の仮定を実験で分かる事実として認めてください。

1.光の速さは誰にとっても等しく、有限であること
  (光速度普遍の原理)

これだけ認めて貰えば、あとは計算の問題です。
分かりやすく説明するために、UFOが地上と平行に移動している様子を考えましょう。






















上の図のように、地上から懐中電灯で合図を送ります。
そして、UFOは鏡で光を反射させて地上に返します。

このとき、

光の速さ(秒速30万キロ)=c
地上にある時計で光がUFOまで入って戻るのにかかる片道の時間=t

と置きます。すると、

地上からUFOまでの距離=c(速さ)×t(時間)=ct

と書けます。
ここで、ポイントになるのはtは地上の時計で計った時間で、UFOにある時計では別の時間があるということです。

実は、上の図は地上からの視点で見た図です。
改めて同じ出来事をUFOの立場から見てみます。




















右から左に動いているUFOから見ると、地上は左から右に動いて見えます。(ガリレオの相対性原理

ここで、

UFOの移動速度=v
UFOにある時計で光がUFOまで入って戻るのにかかる片道の時間=T

と置きます。

すると、今度は、

二等辺三角形の長さの等しい2辺の距離=cT
底辺=2vT

と書けます。
よりシンプルな図で書くと、
















ここまで書ければ、あとは計算です。
根号や二乗があるので、画像で貼ります。














こうして求められたのが、時間がどれくらい収縮してしまうのかを示す式です。
4行ですね。数学がちょっと得意な生徒なら、中3生で十分に計算できます。

この計算式が何を意味しているかというと、

動いている人(UFO)から見ると、止まっている人(地上)の時間が経つのが遅く感じられる

ということです。
例えば、宇宙船が光の70%くらいの速度で移動した場合です。

v = 0.7c

と書けます。
これを上の式に代入して、計算すると、

T = 1.4t

になります。これによって、時間がおよそ1.4分の1に収縮していることが分かります。

これが光速の70%なのでこの程度です。
これが光速の99%を超えるいわゆる亜光速になったりすると、とんでもないことになります。
電卓で計算してみて下さい。

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ちなみに、イラストは私が自分で書きました(笑)

2013年8月1日木曜日

教え方のテクニック

昨日、アップした中2範囲の式の計算の指導テクニックは、数学の苦手な生徒に対してのものでした。
今日は、成績上位の生徒に対する指導について少し紹介させてもらいます。


生徒にとって、学習は「基礎も応用もどちらも同じくらい大切」であると当塾では考えています。
けれども、同時に塾での指導は「応用よりも基礎をしっかりと伝えることが大切」だと考えています。

というのも、基礎だけしっかりと生徒に指導しておけば、応用題については生徒の実力に応じて適切な課題を与えるだけで、特別な指導はしなくてもきちんと攻略して貰えるからです。
問題別の解法のテクニックなどを教える意義は低いと考えています。小手先のテクニックを教えるよりは、自分で考える機会を与えることの方がずっと大切です。小手先のテクニックを教えなければ、解けないようではそもそも課題のレベル設定を誤っているのだと思います。

今日、紹介するのは「高度な学習をしてもらうための基礎的な考え方」を、生徒に伝えようというものです。




中1の1次関数の問題です。

y = x 上の点Pと、y = -x 上にあり、点Pとx座標の等しい点Rを取ります。
線分PRを一辺として、図のように正方形PQSRを作ります。
ただし、点P,Q,R,Sのx座標はそれそれ正であるとします。
点Qのx座標を10としたときの点Pの座標を求めなさい。

以上のような問題を想定します。

どのような問題集にも、この問題についての解法としては、次のようなものが載っています。

標準的な解法
点Pの座標をP(t,t)とおくと、R(t,-t), Q(3t,t), S(3t,-t) とおける。よって、3t = 10 より t=10/3, P(10/3,10/3)

ただし、この座標をtと文字で置くというのは難しいのですよね。非常に有用なテクニックではあるのですが、このあたりのテクニックを学ぶ前に、生徒には関数を図形的に捉えることを学んでもらいたいのです。


つまり、図形より以上のように、図形を比の割合で考えるわけです。こうして比で図形を捉えることで、点Qのy座標はx座標の3分の1であることがすぐに理解できるわけです。
それができれば、わざわざ座標を文字で置かなくても感覚的に答えを導くことができてしまいます。
むしろ、図形的にとらえる発想のあとに、座標を変数tを用いて表すという発想が来るのです。
変数tを用いた解法だけ先に説明してしまっては、体裁を整えるだけになってしまいますね。

あるいは、中2範囲の一次関数などでは図形的に関数を捉えることが重要になってきます。(だからこそ、1年のうちからこの様な関数を図形として捉える思考法を身につけてもらうのですが)

たとえば、「y = 4/3 x + 8」 というような一次関数のx切片(y切片ではなく)を求める場合、y = 0 を代入して計算するよりも、変化の割合を利用して図形的に求める方がずっと手っ取り早いですよね。
このあたりのことは、かっつり問題をやりこめば誰でもできるようになるというものではないのですよね。これを自分で気付くことができるのは、ごく一部の生徒だけです。それをちょっと塾で手助けしてあげるだけで、多くの生徒が同様の思考法を身につけることができるのです。

以上のような問題を通して、生徒には関数を図形的に捉えることを自然に学んでもらいます。
当塾では、このあたりの問題も豊富な新中学問題集などを成績上位の生徒には利用してもらっています。
成績上位を狙う生徒には、できるだけ早い段階、できたら中1のうちにこうした思考法を身につけてもらいます。
(なので、中2や中3になって入塾してもらうより、本当は中1のうちから塾に入って欲しいのです。)

中学生にとって、関数というのは文字式や図形の問題と比べて、非常に概念が分かりづらいものです。関数とは何かという定義を正確に述べられる学生はそう多くはないでしょう。
年輩の学校や塾の先生ならば、「関数を関数と書くから難しいのだ!函数と書けば分かりやすいののだ!」と主張されるかもしれません。

しかし、私は関数の定義を生徒に正確に理解してもらうことが必要だと思いません。
必要なのは、「生徒に関数を感覚的に扱えるようになってもらうこと」なのです。
そのために「関数を図形的に捉えてもらう」習慣をつけてもらうわけです。
関数を図形的に捉えることができれば、高校になって微分積分といった基礎解析を勉強したり、あるいはそれを利用したマクロやミクロの経済学などもごく平易に理解できること請け合いです。中高の物理における力学などについても、ずっと理解しやすくなるでしょう。
関数を感覚的、図形的に捉えることができるというのは、それほど劇的かつ必要性の高い技能なのです。

今日、紹介させてもらったような問題は実のところ、定期テストなど中学校の勉強ではそれほど重視する必要のない部分です。ほとんど出題されることはないですし、出題されたとしても大きな配点にはならないでしょう。目先の点数を求めるだけなら、必要のない技能です。
しかし、トップクラスを目指す生徒にはできるだけ早い段階で身につけて欲しい技能であると考えています。

2013年7月31日水曜日

教え方のテクニック

生徒の成績を上げるために、教え方の上手さは実のところそれほど大切ではないと私は思っています。
大切なのは、生徒の学習状況や進路志望に合わせて、いかにして適切な勉強を適切に行ってもらうかを管理することだと考えています。

それでも、「森田先生の教え方は分かりやすい!」と言って貰えれば、私も嬉しいですし、やっぱり日々どう教えれば分かりやすいかと、上手な教え方を模索してしまったりはします。

私も塾歴はそれなりに長いですし、他の多くの塾や学校の教師がそうであるように、私もいくつかの「分かりやすく教えるためのテクニック」を持っています。
一斉塾で集団授業を行う際には、このあたりの引き出しの数は非常に大切なのですよね。一斉塾では上手な授業をすれば、それだけ生徒の信頼も勝ち取りやすいですし、こうしたテクニックは個別指導の場合よりもずっと重要になってきます。

そうした教え方のテクニックの1つを、今日は数学からちょっとだけ紹介してしまいます。




中学2年生範囲の問題です。
愛知県に限らず入試問題としては、どの都道府県でも良く出題されるタイプの計算問題なので、数学が苦手なタイプの生徒にも確実に解けるようになって欲しい問題ですよね。

ふつう、この問題は次のように解きます。




約分をして計算します。
難問というわけではないので、ほとんどの生徒はこの解き方で問題ありません。

ですが、計算の苦手な生徒にはここでミスをします。
解き方や考え方は分かっても、数字を見落としたり、xやyの数を見落としたり、いろいろな理由で計算ミスをしてしまいます。
この問題は比較的単純ですが、もっと文字の種類が多かったり、次数が高かったりするとミスの可能性が上がります。
(学校や塾で生徒を指導した経験がある人なら、ここで「あるある」と頷いてくれるはずです)

そのミスを無くすために、ミスをしやすい生徒には次のように解いてもらいます。



① まず、係数(数字と正負の符号)だけ約分して計算してもらいます。
② 次に文字は約分せずに、分母と分子のそれぞれで積をとらせます。
③ 最後に文字について約分します。

この計算が手早くかつ正確に暗算でできる生徒は、おそらくこれと同じ手順を脳内で踏んでいると思われます。
本当にちょっとした一手間ですが、この手順で計算して貰うことで、約分の手順は分かっているのに計算ミスを繰り返してしまう生徒の問題は簡単に解決するでしょう。

このあたりの計算の指導で困っている同業者の方には、是非このアプローチを試して貰いたいと思います。

ただし、学校などでの指導方と異なってしまうことは好ましくありませんので、一般的な手順で計算ミスが出ない生徒には教える必要はないでしょう。


2012年11月28日水曜日

集団形式・一斉授業の行い方 2(数学の板書例)

数学の板書例です。
私が一斉塾で教えていたときに、先輩の講師に基本のネタを貰って、私なりにアレンジしてあります。
お気に入りのネタなのですが、個別指導塾で教えるようになってめっきり使う機会がなくて寂しいですね(笑)

前回の記事でも説明しましたが、イントロの授業の大切なのは、

・ 分かりやすくシンプルに
・ 生徒の興味を捉えられるよう面白く

の2点です。
細かな部分は、演習問題にそって少しずつ説明します。
一度に多くのことを伝えようとするのはNGです。
大切なのは、生徒の学習単元について正しいイメージを持って貰うことです。


一次関数のイントロの授業
一次関数 

比例の復習
まんじゅう (x個)   
増えた体重 (yキロ)




 


今日から、一次関数の授業をします。
一次関数はカンタンです。比例をちょっとだけ応用します。1年では反比例もやらなくちゃいけなかったですから、2年の方が楽チンですね。
(単元がカンタンな事は常にアピールします。生徒に難しいと思われたら負けです)

最初に少しだけ、比例の復習をしましょう。
まず、ここにカロリー多めのまんじゅうがあります。
このまんじゅうを1個食べると、体重は3kg増えます。
(ここで笑いを取りたいですネ)

はい。1個食べたら、体重が3キロ増えました。
2個食べたら、体重が何キロ増えますか? はい、A君!
(簡単な発問で、苦手な生徒にも授業に参加するチャンスをあげます)
3個食べたら、何キロ? はい、Bさん。
4個食べたら、何キロ? C君答えてください。
5個食べたら、何キロ? Dさんお願いね。
じゃあ、100個食べたら、何キロになる? E君教えてください。
(生徒に発問しながら、順に表を埋めていきます)

一次関数 

比例の復習
まんじゅう (x個)100
増えた体重 (yキロ)1215300
y = 3x
y = ax
    比例定数
(※ 黒板では黒字は白、赤字は黄)

これが比例の関係だったね。
この関係を、yをxの式で書いたら、どうなったかな。
C君いけるかな? 
(難しめの設問は、答えられそうな生徒にします)
そう。y=3xだね。一般的には、y=axと書いて、aのことを比例定数と言いました。

で、ここからが一次関数なんだけど、
初めの体重が0キロの人はいないよね。

一次関数 

比例の復習
まんじゅう (x個)100
増えた体重 (yキロ)1215300
y = 3x
y = ax
   比例定数

一次関数
まんじゅう (x個)100
A君の体重 (yキロ)505356596265350
y = 3x + 50
y = ax + b
   傾き切片


ええと、例えばAくん、体重何キロだっけ?100キロくらい?
(そんなにないよ!というツッコミ待ち)
40キロ?軽いね。まあ分かりやすく50キロということで話をすすめましょう。

そうすると、まんじゅうを食べてないときに体重50キロ。
まんじゅうを1個食べると、何キロになる? Cくん教えて?
(この設問はやや難しめ)
2個食べると? Dくん。(2つ目からは易しくなります)
(以下同様、省略)
じゃあ、100個食べると、Aくん?
350キロだね。ちょっと太り過ぎだね。

で、これを式で書くと、はじめに50キロ余分にあるんだから、
y=3x+50になります。一般的には、y=ax+bです。
この式は大切だから、絶対に覚えてください。
(大切なところは、強調しておきます)
それで、このaとbにも名前が付いていて、それぞれ傾きと切片と言います。比例のときと、言い方が違うので気をつけてくださいね。

これで、だいたい一次関数の基本については説明しちゃったかな。
カンタンそうだよね。
(簡単であることをさらにアピール)

じゃあ。ここまでで、いったん鉛筆を持って、黒板をノートに写してください。
(授業の説明の間に生徒にノートを取らせる方式もありますが、私は説明の間は授業を聞くのに集中させてノートを取る時間は別にとった方が良いと思っています。
どちらの方式でもありですが、中途半端は良くないので事前にきちんと指示をしておきます)

ここまで15分。

1つの例として、以上のように授業を行います。
四角で囲った中が、板書の例になります。
チョークの色はたくさんありますが、色数はなるべく少なく押さえるべきでしょう。
英語、数学、国語では、白黄の2色。理科や社会などの、覚える事項や図表の多い科目でも3色までに押さえるべきです。
大切なところ→黄色(ノートや上の図では、
それ以外→白色(ノートや上の図では、黒)
と、シンプルにするのが良いでしょう。生徒のノートもシンプルにしたいので、生徒にも色づかいについては指示をしておきます。

2012年11月14日水曜日

愛知県公立高校入試の傾向 一般入試 数学

高校入試に限らず、資格・試験と呼ばれるものには、出題の傾向や特徴があります。
出題の傾向や特徴を捉えて、それにあった対策をすると、当然合格はしやすくなります。

SSS進学教室に通う生徒には、「分析と対策」の大切さとその技術についても学んで貰いたいと思っています。それは高校入試に限らず、将来何かしらの資格の取得を取っていく上でも必ず役に立つと思うからです。
ですので、塾生たちにはただ私が出題傾向を分析して必要だと思われる勉強をしてもらうのではなく、「こういう分析があるからこのように対策すれば良いのだ」というようにきちんと自分自身で納得してもらった上で勉強して貰えるように心がけています。

さて、今日は愛知県の公立高校一般入試についてです。
まずは数学から。

愛知県公立高校一般入試の傾向 数学

総問題数20問(各問1点/20点満点)


平成24年A日程
番号内容            出題分野            
1計算問題
7題
正負の数の計算①
文字式の計算(加減)①
展開・因数分解①
平方根の計算①
二次方程式(解の公式)①
図形の計量①
二次関数①
2小問集合
3題
1次関数①
方程式の文章題①
図形の証明(穴埋め)①
3小問集合
5題
確率①
関数(反比例①1次関数①)
一次関数の利用(グラフ)②
4小問集合
5題
角①
空間図形(三平方の定理の利用)②
平面図形(相似の利用)②

平成24年B日程
番号内容            出題分野            
1計算問題
7題
正負の数の計算①
文字式の計算(加減①・乗除①)
平方根の計算①
二次方程式①
関係を表す式(不等式)①
平行四辺形の性質①
2小問集合
8題
反比例①
方程式の文章題①
二次関数②
図形の証明(穴埋め)①
確率①
一次関数の利用(グラフ)②
3小問集合
5題
平面図形(相似)①
平面図形(円周角、三平方の定理の利用②)
空間図形(体積、相似の利用)②

A日程もB日程も大問の区切り方が違うだけで、実際の内容には大差ありません。
毎年、だいたい同じような問題で出題されます。
(もちろん、年によって少しずつ新しいタイプの問題が出題されるということはあります)

1.大問1の計算問題は確実にとろう

大問1は比較的易しい問題で構成されています。ここは狙い目です。
特に、(1)~(5)は毎回ほぼ同じパターンの計算です。これは、きちんと類題演習をしてとれるようにしておきます。
近年、二次方程式はA日程かB日程のどちらかで解に√が出てくる問題が出題されています。
(6)(7)は基本的な問題ですが、出題内容はバリエーションに富んでいます。選択問題なども出題されます。


2.出題パターンの決まった問題は練習しておこう

出題パターンが決まった問題が多くあります。狙い目です。
証明問題 穴埋め形式で出ます。図形の証明が多いです。
グラフの作図 グラフの作図が出ます。反比例や二次関数は出題されず、直線のグラフです。
確率 数え上げ、樹形図で解ける問題が出題されます。


3.図形の応用問題が多く出題される

図形からの出題が多いです。
円周角、相似、平行線と線分の比、三平方の定理の利用は特に頻出です。
関数からの出題なども、幾何学的な考え方を用いると解きやすい応用問題が多く出題されます。
図形の出題は応用問題が多いですが、角度を求める出題は比較的易しいことが多いです。
数学で高得点を狙いたい生徒は、図形の応用問題をしっかり演習しておきましょう。