2026年3月1日日曜日

私立大学2026の前期日程の試験結果をふまえて②

 私立大学の入学試験はいくつかのタイプがあります。

大きく分類するとこんな感じです。

 推薦型入試

  学校推薦型選抜1(指定校推薦)

  学校推薦型選抜2(公募制推薦)

  総合型選抜(旧AO入試等)

  その他(医学部地域枠推薦等)

 一般入試

  前期試験

  中期試験

  後期試験

私立大学は国公立大学と比べて推薦型入試の枠が大きく,大学にもよりますが5割前後が一般入試以外の入試方式で合格が決まります。

ですが、今回は一般入試、特に前期試験についてのお話です。中期試験、後期試験については実施しない大学も多く、実施しても定員は小さめになっており、ボーダーが前期試験より高めになりがちです。

ふつう大学受験を考えるとき、前期試験での合格をまず目指します。

例えば、私立文系、経営学部を志望する生徒の前期試験の受験プランを見てみましょう。


2026年架空の生徒の受験例

1/27 A大学 経営学部 前期試験A方式/共通テストプラス方式

1/28 A大学 経営学部 前期試験A方式/共通テストプラス方式

1/29 A大学 経営学部 前期試験Aw方式/共通テストプラス方式

2/1 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式

2/2 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式

2/5 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式

2/6 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式

2/8 C大学 経営学部 前期方式/共通テストプラス方式

2/9 C大学 経営学部 前期方式/共通テストプラス方式

2/11 D大学 経営学部 前期方式

A大学滑り止め,B大学・C大学本命,D大学挑戦校


上記の例では、4校10回の受験を行っています。

特に私立文系の生徒の場合、選択肢が多く,受験回数が増やしやすくなっています。

大学入試は一題の配点が大きく,調子の良し悪しで本人の点数も上下しますし、学部学科ごとの定員も細分化して募集されるため、ボーダーもちょっとしたことで大きく上下します。合格の可能性を上げるために、できるだけ多くの大学を受験してもらいます。

10回の受験は比較的多い方ですが、私立文系なら8回程度,私立理系なら6回程度の受験が愛知県では標準的でしょう。東京の学生はもっと多いかもしれませんし,愛知より田舎の地方ではもっと少なくなるかもしれません。

国公立志望の生徒は、浪人を覚悟するかどうかにもよりますが,私立志望の生徒よりも受験回数は大幅に減るのが普通です。

これが、2000年より前の受験ですと、同じA大学からD大学を受験するにしても、


2000年以前の架空の生徒の受験例

2/1 A大学 経営学部 前期試験

2/3 B大学 経営学部 前期試験

2/4 B大学 地域政策学部併願 前期試験

2/8 C大学 経営学部 前期方式

2/11 D大学 経営学部 前期方式


同じ大学を受けるとしたとしても,受験の回数は半分程度になります。

2000年ごろまでは、ふつう私立大学は学部ごとに1日の試験という形式が主流でした。例えば、

2/1 B大学 経営学部/法学部

2/2 B大学 経済学部/地域政策学部

2/3 B大学 人文学部

2/4 B大学 外国語学部

というような感じです。複数の学部を併願する場合に、同じ大学に複数回受験に行くことになります。現在、この形式は主流ではありません。愛知県内で、この方式を未だに用いている大学は南山大学くらいでしょう。
南山大学のことしの受験スケジュールは、

南山大学
2/7 全学統一入試
2/9 外国学部(一部),経済学部
2/10 人文学部(一部),理工学部
2/11 人文学部(一部),経営学部
2/12 法学部,国際教養学部
2/13 外国語学部(一部),総合政策学部

以上のようになっています。
全学統一入試は、すべての学部を受験できますが、学部別の試験と比べるとかなり難易度が上がります。英検等の成績で有利に受験できるというのもありますが、それを差し引いても厳しめですので、本命は学部別の試験ですね。

南山大学以外の大学は、複数の学部を同一日程で試験を行い,また試験日が連続して複数回用意されていて,何日か受験するうち一日でも合格できれば良いという方式をとっています。
大学によって、日程は2日間から6日間くらいと多様です。
どちらかといえば、人気大学は日程が特に多いように感じます。

「チャンスが増えてうれしい!」
と喜ぶ生徒もいますが、浅はかでしょう。決まった定員を、複数の日程に合格者を分散させているだけです。
私立大学としては、どんなに人気を上げても、定員を大きく超えて生徒を増やすわけにはいきませんので、授業料からの収入は上げるのが難しいです。また、教員などの報酬、施設などに経費もかかります。
しかし、入試の売り上げはわずかな経費しかかかりませんので、ぼろ儲けのチャンスなわけです。
例えば、2000年ごろの入試では1回の受験料の相場は2000円程度でした。
2学部を併願してもらっても、40000円の売り上げです。
対して、現在の1回の受験料の相場は35000円程度ですが、これを仮に4日連続で受験してもらえれば140000円の売り上げのわけですね。
さらに同じ試験で、「共通テストプラス方式」や「傾斜配点方式」などを追加料金で申し込める場合もあります。詳しい制度はいろいろなんですが、要は追加料金を払うと合格しやすくなるわけです。
入試は私立大学の稼ぎどなのです。

大金を払って受験するのはご家庭への負担が大きいわけですが、受験回数や判定方式を増やせば合格率は上がるのですから、塾としては受験回数や判定方式は無理のない範囲で増やすように指導します。

私立大学の、入試の集金体制は一世代前とくらべて、素晴らしく完成度が高く、これ以上のものはないと思ってました。
去年までは。

今年、2026年に時代を切り開く新しい入試制度に踏み切った大学があります。
「愛知大学」と「名城大学」です。
特に、愛知大学はかなり複雑な制度になるのですが、インターネットが普及し、制度が複雑でもその場で簡単に費用が計算できるようになったことで新しい仕組みが実現しました。

2026年 名城大学
A方式(3科目型の標準) 35000円
F方式(共通テストプラス方式) 25000円
K方式(傾斜配点方式) 25000円
3方式セット方式 65000円

3方式セットが有利&お得なので、名城大学を本命にする生徒h当然セットで申し込みます。
文系学部の場合、これが3日分なので締めて名城大学だけで195000円が標準価格になるわけです。

愛知大学はさらに上を行きます。
愛知大学は複数の学部を併願しやすくなっていて、追加費用が多きくかかるのです。

2026年 愛知大学
スタンダード方式(3科目型の標準) 30000円 (学部追加で+15000円)
共通テスト併用方式 +15000円 (学部追加で+15000円)
最高得点重視方式 +15000円 (学部追加で+15000円)
2科目方式 +15000円 (学部追加で+15000円)

これを最大で4日受験できます。4方式すべて使うと、1学部出願で25500円,2学部で495000円です。
ふつう、予算を考えて多少削りますが、愛知大学だけで20万円から30万円の生徒が多いです。うちの生徒でも、たくさんの方式をつけたおかげで、一日一方式だけで合格したという生徒もいます。
また逆にたくさんの方式で申し込んだけど、全部合格しちゃったので、もっと少なくてよかったよねという生徒もいます。
なお、全学部で全方式で申し込むと、受験料が400万円を超えます。さすがに、そんな重課金な受験生は一人もいないとは思いますが。

外部リンク

このように、利益を最大化するために、大学もいろいろと工夫をしているわけです。
きっと、来年以降は愛知大学に続く重課金大学が増えるでしょう。とくに人気の上がっている大学は強気になります。

これらの結果、生徒の受験回数は増え、受験料検定料の売り上げは伸びているでしょう。しかし、その結果より多くの生徒が合格しても入学しても辞退するようになってしまし、大学側として合格者数を決めるのがより困難になってきてしまっているわけですね。
今年は新しい制度を導入したことで、より難しかったに違いありません。

こういうわけで、前回の大学側が合格者数を選定するのが難しいという話につながるわけです。
調整成功した大学よりも、ドボンしちゃった大学の方が多いというのも仕方がないことなのかもしれません。

2026年2月27日金曜日

私立大学2026の前期日程の試験結果をふまえて①

 2月25日(一部26日)に国公立前期試験が行われました。

そちらの結果はこれからですが、私立大学の前期試験の結果はおおよそ出そろいました。

当教室や他塾様の様子を見ると、今年の愛知県の私立大学の入試は、近年ではもっとも厳しい結果だったと思います。河合塾や駿台が出している合格予想と比べ、全般的に厳しめに合否を出している大学が多いようです。

河合塾や駿台が出している合否予想は、原則的に前年度までの合格水準をもとに算定されています。ですので、前年度と比べ、全体的に基準が変わると当てにならないこともあるのでしょう。

そうなった理由の一つとしては、愛知県の大学が他の地域より人気が上がってきているというのがあるでしょう。

まず、愛知県自体が他の都道府県よりも比較的に景気の良い地域で就職の状況も良いことから、愛知県の学生の多くが県内の大学の受験を選び、東京や他地域の大学を選ぶ生徒が減ったことがあるでしょう。

また、大学進学率が72.5%と国内でもトップ。とりわけ女生徒が大学進学を選ぶケースが増えて、競争率が上がっていることが理由にあげられます。

ただ、これらの問題は今年急におこった問題ではなく、近年ずっと言われていることです。今年が昨年や一昨年とくらべてとりわけ大きくボーダーが上がった理由はないかと調べてみると、ありました。

それは、私立大学の助成金についての情勢の変化です。


さて、私立大学の予算は、生徒からの「授業料」や「受験料」のほかに、国からの助成金が大きなウエイトを占めています。

実はこの助成金は、生徒を多く合格させすぎると、減額されたり、支給が停止させられたりするのです。

そもそも、私立大学の大学の定員は大学の申請に基づき、文科省の認可によって決められています。ただ、以前は多少の定員オーバーなら許容していいよね、という感じで運用されていたのですが、2018年から制度の厳格化が行われるようになりました。

具体的には、

定員充足率100%以下 問題なし/助成金の全額支給

定員充足率105%以下 軽微なペナルティ/助成金の若干の減額

定員員充足率110%以下 重大なペナルティ/助成金の大幅な減額

定員員充足率110%~ きわめて重大なペナルティ/原則,助成金の支給なし

およそ、100%,105%,110%のところに大きな壁があると思ってください。

これだけ聞けば、合格者をちょうどぴったり100%になるように出せばいいだけじゃないかと思われるかもしれませんが、私立大学の受験というのは国公立大学や他の私立大学と併願するのが当たり前です。せっかく合格を出しても、多くの合格者が辞退して、他の大学に逃げてしまうのです。

とりわけ、近年は私立大学の受験方式が多様化、複雑化していて、受験数も増えています。そうなるとどれくらい合格者を出したら良いのか、その見込みをたてるのが非常に難しくなります。

言ってみれば、私立大学の入試担当者は、合格者数を使って壮大なブラックジャックのゲームを行っているようなものです。

授業料をなるべく多くとりたいので、生徒数はなるべく増やしたい。

けれど、21(充足率100%)を狙いすぎて、ドボン(100%以上、105%以上)になってしまっては大敗。他のプレイヤー(他大学)の動向によって、合格者の辞退率は大きく左右するから、手札を読み切るのは非常に困難というわけです。

なお、実際には大学の規模や学部学科、各大学のそれぞれの事情などによって、ペナルティの程度は変わってくるようではあります。


ただこの制度の変化については私も2018年の時点で把握していました。制度の厳密化を段階的に進めていくという話は、そのころからの予定調和です。これだけでは、2026年度で急にボーダーが上がる理由にはなりません。

実はこれには、あと二つの要因が関わってきているのだと思われます。

① ペナルティの基準が新入学者の定員充足率中心から、四学年全体での定員充足率中心にシフトした

② コロナ化の影響

これを踏まえて,各年度の愛知県の私立大学の合格状況を時系列で追ってみます。


2010頃~2017 全体的に合格基準が甘め

ペナルティの厳格化前で、少子化と合わさって大学のレベルが全体的に落ちていました

2018 かなり厳しめ

例年になく受験結果が厳しい年でした。ペナルティの厳格化が始まったからでしょうね。各大学がビビりすぎて、合格者がかなり絞られました。

2019 やや甘め

前年に厳しくしすぎた反動、それから前年の結果を踏まえて高校側も慎重に出願するようになったためか、合格率はだいぶ上がりました。大学側も新しい制度の運用になれてきたのだと思います。

2020/2021 かなり甘め

コロナ化の影響で生徒動向が読めないというのが免罪符になったのでしょう。文科省がだいぶ甘めの運用をしてくれていたようです。

2022~2025 やや甘め

コロナ化を乗り越えまた少しずつ厳格な運用に戻ってきてました。しかしコロナ化時代の慣れで、まだまだ合格者を出し過ぎた大学が多かったようで、痛い目を見た大学が増えてきています。とくに、2024/2025では合格者を多く出し過ぎたと判断した大学は多いでしょう。

2026 厳しめ

2018に次ぐ厳しい入試結果になりました。具体的な定員充足率の結果が待たれます。


つまり、コロナの時期及びコロナ直後に甘く多くの合格者を出してしまったツケを大学側が今払わされているのです。

四学年全体での定員充足率が重視されるようになったので、一年多く合格を出しすぎると、その後四年間ずっとペナルティが重くなるわけです。

実際、どれくらいの大学が定員オーバーをしているのか、見てみましょう。


外部リンク

大学コンパス 2025 愛知県の私立大学 定員充足率ランキング


さて、愛知県内45の私立大学のうち、110%越えの特大ドボン大学を見ていきましょう。


【特大ドボン大学(110%以上)】

愛知造形大学 120.8%

愛知大学 118.3%

愛知工業大学 114.6%

日本赤十字豊田看護大学 111.0%

以上、4大学です。

造形大学はまさかの120%越えです。ブラックジャックでいうなら、すでに21が出てるのにカードを引いてしまったレベル。いくらなんでも欲張りすぎです。

名古屋にキャンパスを移してから、人気絶好調でブイブイ言わせてる愛知大学も2位にランクインです。就職サポートの手厚さで、一昔前とは格段に人気の上がった愛工大も3位です。


【大ドボン大学(105%以上)】

南山大学 109.3%

中京大学 108.2%

名城大学 107.3%

愛知医療学院大学 106.9%

愛知医科大学 106.6%

豊田工業大学 106.1%

中部大学 105.9%

志学館大学 105.9%

藤田医科大学 105.4%

名古屋学芸大学 105.3%

愛知学院大学 105.1%

多いですね!

2017年までや、コロナ時期はこれくらいのオーバーはなあなあでゆるされていたのでしょうが、判断が甘い大学が多かったですね。

それぞれたいそう痛い目をみたことでしょう。


【小ドボン大学(100%以上)】

愛知淑徳大学、名古屋外国語大学、人間環境大学,東海学園大学,一宮研伸大学

105%以下ならペナルティはありますが、だいぶ軽微です。100%以下が理想ですが、全然セーフですね。


【調整成功大学(90%以上)】

名古屋芸術大学,愛知東邦大学,同朋大学,愛知みずほ大学,椙山女学園大学,名古屋産業大学,名古屋文理大学

調整ばっちしです。ブラックジャックなら,20とか21をぴったり出せた感じですねうまくやりました。


【生徒数やや不足気味大学(80%以上)】

名古屋音楽大学 89.8%

名古屋商科大学 89.2%

金城学院大学 85.3%

豊橋創造大学 84.9%

修文大学 84.3%

名古屋経済大学 83.9%

日本福祉大学 80.5%

ちょっと削りすぎですね。このあたりになると,単に定員割れをして生徒が集まらなかったという大学も混じってきているかもしれません。定員充足率を90%を割っても、助成金が減額されるペナルティがあるのですよね。授業料も減って、助成金も減らされてふんだりけったりです。


【定員割れ確実大学(80%未満)】

桜花学園大学 79.3%

愛知学泉大学 75.5%

星城大学 67.2%

名古屋柳城女子大学 57.9%

愛知文教大学 52.3%

愛知工科大学 52.0%

岡崎女子大学 49.5%

80%を切る大学の大半はいわゆる定員割れ大学が多いでしょうね。全国の他都道府県と比べると、生徒集めに苦労している大学は少ないです。どちらかというと、地方のアクセスの良くない立地の大学が多いですが、アクセスが悪くても実績を出している大学もありますよね。


2026年度,愛知県私立大学の入試が厳しかった理由まとめ

1.愛知県の大学の人気が他の地域より上がり気味

2.愛知県の大学進学率が特に急上昇

3.私大の助成金についての動向

特に、3の私大の助成金についてが分かりづらいところでしたので、詳しく解説をさせていただきました。

ただし、こういう分析も終わった後だからこそ言えるのであって、事前に予想がついたかというとかなり難しかったとしか言えません。行政の制度、各大学、受験性たちの思惑、コロナやそのたイレギュラーな事態からの影響など、考慮すべき要素はいくらでもあって、すべてを含めて計算するのは不可能といってよいでしょう。

いちばん情報を持っていて、本気で検証している大学側だって、予測がついていないから、こんなにドボンしまくるのですから。


それではなぜ、こんなにも私立大学側がこんなにも予測を外してしまうのか。これも入試制度の複雑化が大きな理由になっていると思われるのですよね。

次の記事で、最新の私立大学の入試制度の動向を振り返ってみます。

2026年2月25日水曜日

愛知県2026公立高校一般入試 数学のピックアップ解説2

「 ⑵の②はとけたけど、⑶の②の方がむずかしくて解けなかった!」

という生徒がいましたので、そちらの解説も載せます。

どちらかというと、⑶の②の方が素直な問題なのですが、計算量が多く、時間制限のあるなかで完答するのは厳しいのかもしれません。

用いられている図形は正八面体の上半分で、よく出る図形の一つですね。4つの頂点を通る断面がどうきっても正方形になることを覚えておくと、楽にとけることが多いです。



愛知県2026公立高校一般入試 数学のピックアップ解説

 本日は愛知県の公立高校入試と国公立大学の前期試験の日程がかぶりました。

愛知県公立高校入試は,全体的に「易しめの問題」も「難しい問題」もともに減って,「ちょっとだけ難しい」程度の中レベルの問題が増えてきている印象です。

近年続いている傾向ですが,今年はとりわけはっきりしています。


今年,2026年入試では極端な難問はありませんでしたが,その中では生徒がもっとも苦労しそうだと感じたのは数学大問3⃣の⑵の②の問題です。

その問題だけ,解法のポイントの解説を作りました。

気になっている生徒に見てもらえると嬉しいです。

平行線と角の二等分線が用いられるときは,今回のように二等辺三角形を見つけるのが定番の解法になってきますね。



2025年10月21日火曜日

全国学力学習状況調査

「塾と教育」という学習塾の経営情報を取り扱う雑誌を購読させていただいています。特に毎回トップ記事には、塾の経営や教育に関する興味深い記事を掲載してもらえることが多く、いつも楽しみに読ませていただいています。

今月の「塾と教育」の掲載記事が、とても興味深いものでしたので紹介させてもらいます。

2007年より、文科省が実施している「全国学力学習状況調査」についての分析記事です。


塾と教育HP:

http://www.juku-kyoiku.com/

文科省全国学力学習状況調査:

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/1419141_00007.htm


①「平日勉強時間と正答率」「休日勉強時間と正答率」よりの方が相関が強い。

当然なのかもしれませんが、子供の勉強時間が長い方が正答率が高くなる傾向になるようです。それも、平日よりも休日勉強時間の方が、成績に大きな結果を及ぼしているようです。

休日勉強時間4時間以上(生徒数5.5%)→正答率62.1%

休日全く勉強しない(生徒数15.2%)→正答率42.2%


②予習形式で通塾している生徒の方が正答率が高い

学習塾には、

1.学校でわからなかったところ学ぶ補習中心の塾

2.学校の予習を行う予習中心の進学塾

の大きく二種類があります。

昭和の頃には、前者の形式の学習塾が多かったそうですが、現在は後者が大半になってます。

当塾もご多分に漏れず、予習型の学習塾になります。

予習型の学習塾に通っている生徒の方が圧倒的に正答率が高いのですが、これは因果関係が逆で成績が悪い子が補習型の教室を選ぶという要因もあるかもしれません。

ただ、勉強の苦手な子は学校外での学習時間が短くなる傾向があります。そういう子ほど、学習塾では予習型で学校の勉強を学校より易しく予習することで、学校の授業が分かる状況を作ることがより大切になるでしょう。当教室や多くの学習塾はそうした思想のもとに予習型の指導を選んでいます。

予習型→正答率59.8%

補習型→正答率41.5%


③予習・補習両方やってる学習塾への通塾率が減っている

現在、生徒の学習塾への通塾状況は、「予習型」「補習型」の教室どちらも、2013年から2025年までの統計では通塾率は横ばいで変化がないようです。しかし「予習+補習型」の両方行っている学習塾の生徒数は、2021年の30%というピーク時からだいぶ数字を落として22%程度まで落ち込んでいます。明確なポリシーを持って指導している塾が生き残って、中途半端なことをしている教室が淘汰されていっているのかもしれません。

2025予習型 20%程度

2025補習型 10%程度

2025予習+補習型 22%程度

2025非予習+非補習 5%程度


④ICT教材の活用時間と正答率は逆相関

ICTというのは、Information and Communication Technologyのことです。

つまり、ICT教材というのはスマートフォンやタブレットを使った教材のことです。当塾にも、ICT教材を塾として導入しないかとたびたび教材制作会社の営業の方がお見えになります。これから技術が大きく進歩すれば話は別ですが、当塾では現在の状況ではICT教材を利用する予定は全くありません。

というのも、ICT教材を利用しても、生徒の学力を上げられるイメージがまったくわかないからです。今回の統計はそれを数字として裏付けてくれました。

とはいえ、一番正答率が高いのは「30分未満」の生徒でしたが、全く使っていない生徒の生徒の正答率も低くなっていました。中学などから、ICTを利用するように言われているにもかかわらず全くやらないような子は論外ということでしょうか。

現時点では、ICT教材は学校や学習塾でがっつり勉強するのに利用するには力不足でしょう。その結果がこの逆相関でしょう。ですが、現時点でも電車での移動時間やちょっとした待ち時間での学習に利用しやすいなどの、良いところもあります。

今後、ICT教材の技術が進歩して有用性が高まることを期待しましょう。その時にはぜひ、当教室でも採用したいものです。

平日ICT教材利用3時間以上(生徒数2.7%)→正答率42.4%

平日ICT教材利用2時間以上(生徒数3.2%)→正答率46.7%

平日ICT教材利用1時間以上(生徒数7.9%)→正答率50.2%

平日ICT教材利用30分以上(生徒数18.!%)→正答率53.7%

平日ICT教材利用30分未満(生徒数36.0%)→正答率55.4%

平日ICT教材利用していない(生徒数30.0%)→正答率48.8%

2025年2月26日水曜日

数学大問3解説(2025愛知県公立高校一般入試問題)

 本日、愛知県公立高校の一般入試が行われました。

全体的な難易度は平年並みだと思いますが,リスニング試験の形式が変わったなど一部変化もありました。

また,いくつかは難しい問題もありました。

数学は毎年,大問3の(2)(3)は難しい問題が出題されます。

すべての問題の解説は間に合いませんが,その問題の解説を作りました。√記号や図形がありますので,画像ファイルになります。



2024年11月14日木曜日

英語能力ランキング 日本は過去最低の92位 若年層が低迷

 「英語能力ランキング 日本は過去最低の92位 若年層が低迷」

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d88bd850aa9d17a9a79a292514541e8d29628e7


ショッキングなニュースでした。

なお、英語以外については日本の教育の状況は悪くないはずです。


子どもの国際学力調査 日本は順位上昇 世界トップレベルに

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231205/k10014278531000.html


ゆとり教育の見直しが始まって、20年ほどがたちました。それ以降、教科書は改定されるたびに難しくなっていって、他の教科はそれほどではないのですが、英語の中学校教科書は現在間違いなく過去最高の難易度になっています。

小学校での英語教育も始まって、30年前の親世代と比べると、中3終了時までに教科書に登場する英単語数は約2倍に増えています。

大学入試における英語試験も難易度があがっていて、共通テストの単語数は30年前の共通テストと比べて1.5倍以上に増えています。

とりわけ、前回の教科書改定では英単語ばかりではなく、文法面でも高校生内容が中学校に多く降りて来ました。

・現在完了進行形

・原形不定詞

・仮定法過去

などです。

来年度の教科書改定はカリキュラム自体は変化しない小改訂になりますが、きっとまた少なからず難易度が上がるでしょう。


教科書の難易度が上がって、英語が分からないと言う生徒は増えました。

当塾は、受講する教科やカリキュラムは生徒一人ひとりにあわせてプランニングする個別指導塾ですが、他の個別指導塾でもそうであるように、昔から一番人気の科目は「数学」です。しかし、前回の教科書改定から英語が分からないという生徒の需要が増加し、一番人気の「数学」と二番人気の「英語」の需要が拮抗しています。

塾の経営的には悪いことではないのですが、子どもの教育という意味では少し微妙です。


では、学校の英語教育はこれまでどう変化してきたのか確認します。


・ 扱う単語数が増えた

・ 4技能(読・書・聴・話)を意識するようになった

・ 会話表現を重視するようになった

・ 「実用英語」をテーマに実際の英語(とくに日常会話)で使う英語表現を優先的に扱うようになった


4技能については、30年前の親世代の英語教育が、「文法(グラマー)」と「読解(リーディング)」の2つで、その後に文法がだんだんと軽視されるようになり、リーディング(読)とリスニング(聴)の2つを重視するようになって、その後に4技能を重視しようと言われるようになってきています。

また、重視されるようになった部分があるように、軽視されるようになった部分もあります。軽視されるようになったのは、「分かりやすさ」と「英文法」でしょう。

英文法というのは、英語の文におけるルールの部分なのですが、英文法はあくまで学習上の補助であり、英文法至上主義の英語教育は好ましくはないというのは分からなくはありません。ただ、英文法について力を入れなくなったことで、授業が分からなくなったという生徒が増えたのも間違いのないところです。


例えば、前回の教科書改定では、現在完了進行形が中3内容に導入されましたが、未来完了や過去完了はすっとばして、また現在完了の受動態なども扱わず現在完了進行形だけ単発で学習します。

仮定法も過去完了形を学んでないので、仮定法過去だけで、仮定法過去完了は学ばないという中途半端な指導になります。

疑問詞のwhomも学ばないので、関係代名詞のwhomも学ばず、主格の関係代名詞はwho、which、thatで、目的格はwhichかthatと教えられます。目的格でwhoが使えないことに対してのフォローはありません。whomは堅苦しく古臭い表現で、日常英会話ではほぼ使われないからということでしょう。


また、高校英語のレベルでは、難解な英文解釈だとか、文構造が複雑な英作文などは軽視されるようになっています。平易な文を早く読み解く力、平易な英語で自由に表現する能力などが重視されるようになってきています。


よく使う表現だけ先に教えることにしたということなのでしょうが、分かりやすさ、体系的な知識の整理と考えると、生徒が苦労する構成になっています。

実用英語を重視するというのは間違った方針だとは思えませんが、その背後で、ひっそりと切り捨てられてしまったものが、ほんとうに切り捨ててよかったのか問題なのではないかと思えます。