私立大学の入学試験はいくつかのタイプがあります。
大きく分類するとこんな感じです。
推薦型入試
学校推薦型選抜1(指定校推薦)
学校推薦型選抜2(公募制推薦)
総合型選抜(旧AO入試等)
その他(医学部地域枠推薦等)
一般入試
前期試験
中期試験
後期試験
私立大学は国公立大学と比べて推薦型入試の枠が大きく,大学にもよりますが5割前後が一般入試以外の入試方式で合格が決まります。
ですが、今回は一般入試、特に前期試験についてのお話です。中期試験、後期試験については実施しない大学も多く、実施しても定員は小さめになっており、ボーダーが前期試験より高めになりがちです。
ふつう大学受験を考えるとき、前期試験での合格をまず目指します。
例えば、私立文系、経営学部を志望する生徒の前期試験の受験プランを見てみましょう。
2026年架空の生徒の受験例
1/27 A大学 経営学部 前期試験A方式/共通テストプラス方式
1/28 A大学 経営学部 前期試験A方式/共通テストプラス方式
1/29 A大学 経営学部 前期試験Aw方式/共通テストプラス方式
2/1 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式
2/2 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式
2/5 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式
2/6 B大学 経営学部+地域政策学部併願 スタンダード方式他4方式
2/8 C大学 経営学部 前期方式/共通テストプラス方式
2/9 C大学 経営学部 前期方式/共通テストプラス方式
2/11 D大学 経営学部 前期方式
A大学滑り止め,B大学・C大学本命,D大学挑戦校
上記の例では、4校10回の受験を行っています。
特に私立文系の生徒の場合、選択肢が多く,受験回数が増やしやすくなっています。
大学入試は一題の配点が大きく,調子の良し悪しで本人の点数も上下しますし、学部学科ごとの定員も細分化して募集されるため、ボーダーもちょっとしたことで大きく上下します。合格の可能性を上げるために、できるだけ多くの大学を受験してもらいます。
10回の受験は比較的多い方ですが、私立文系なら8回程度,私立理系なら6回程度の受験が愛知県では標準的でしょう。東京の学生はもっと多いかもしれませんし,愛知より田舎の地方ではもっと少なくなるかもしれません。
国公立志望の生徒は、浪人を覚悟するかどうかにもよりますが,私立志望の生徒よりも受験回数は大幅に減るのが普通です。
これが、2000年より前の受験ですと、同じA大学からD大学を受験するにしても、
2000年以前の架空の生徒の受験例
2/1 A大学 経営学部 前期試験
2/3 B大学 経営学部 前期試験
2/4 B大学 地域政策学部併願 前期試験
2/8 C大学 経営学部 前期方式
2/11 D大学 経営学部 前期方式
同じ大学を受けるとしたとしても,受験の回数は半分程度になります。
2000年ごろまでは、ふつう私立大学は学部ごとに1日の試験という形式が主流でした。例えば、
2/1 B大学 経営学部/法学部
というような感じです。複数の学部を併願する場合に、同じ大学に複数回受験に行くことになります。現在、この形式は主流ではありません。愛知県内で、この方式を未だに用いている大学は南山大学くらいでしょう。
南山大学のことしの受験スケジュールは、
南山大学
2/7 全学統一入試
2/9 外国学部(一部),経済学部
2/10 人文学部(一部),理工学部
2/11 人文学部(一部),経営学部
2/12 法学部,国際教養学部
2/13 外国語学部(一部),総合政策学部
以上のようになっています。
全学統一入試は、すべての学部を受験できますが、学部別の試験と比べるとかなり難易度が上がります。英検等の成績で有利に受験できるというのもありますが、それを差し引いても厳しめですので、本命は学部別の試験ですね。
南山大学以外の大学は、複数の学部を同一日程で試験を行い,また試験日が連続して複数回用意されていて,何日か受験するうち一日でも合格できれば良いという方式をとっています。
大学によって、日程は2日間から6日間くらいと多様です。
どちらかといえば、人気大学は日程が特に多いように感じます。
「チャンスが増えてうれしい!」
と喜ぶ生徒もいますが、浅はかでしょう。決まった定員を、複数の日程に合格者を分散させているだけです。
私立大学としては、どんなに人気を上げても、定員を大きく超えて生徒を増やすわけにはいきませんので、授業料からの収入は上げるのが難しいです。また、教員などの報酬、施設などに経費もかかります。
しかし、入試の売り上げはわずかな経費しかかかりませんので、ぼろ儲けのチャンスなわけです。
例えば、2000年ごろの入試では1回の受験料の相場は2000円程度でした。
2学部を併願してもらっても、40000円の売り上げです。
対して、現在の1回の受験料の相場は35000円程度ですが、これを仮に4日連続で受験してもらえれば140000円の売り上げのわけですね。
さらに同じ試験で、「共通テストプラス方式」や「傾斜配点方式」などを追加料金で申し込める場合もあります。詳しい制度はいろいろなんですが、要は追加料金を払うと合格しやすくなるわけです。
入試は私立大学の稼ぎどなのです。
大金を払って受験するのはご家庭への負担が大きいわけですが、受験回数や判定方式を増やせば合格率は上がるのですから、塾としては受験回数や判定方式は無理のない範囲で増やすように指導します。
私立大学の、入試の集金体制は一世代前とくらべて、素晴らしく完成度が高く、これ以上のものはないと思ってました。
去年までは。
今年、2026年に時代を切り開く新しい入試制度に踏み切った大学があります。
「愛知大学」と「名城大学」です。
特に、愛知大学はかなり複雑な制度になるのですが、インターネットが普及し、制度が複雑でもその場で簡単に費用が計算できるようになったことで新しい仕組みが実現しました。
2026年 名城大学
A方式(3科目型の標準) 35000円
F方式(共通テストプラス方式) 25000円
K方式(傾斜配点方式) 25000円
3方式セット方式 65000円
3方式セットが有利&お得なので、名城大学を本命にする生徒h当然セットで申し込みます。
文系学部の場合、これが3日分なので締めて名城大学だけで195000円が標準価格になるわけです。
愛知大学はさらに上を行きます。
愛知大学は複数の学部を併願しやすくなっていて、追加費用が多きくかかるのです。
2026年 愛知大学
スタンダード方式(3科目型の標準) 30000円 (学部追加で+15000円)
共通テスト併用方式 +15000円 (学部追加で+15000円)
最高得点重視方式 +15000円 (学部追加で+15000円)
2科目方式 +15000円 (学部追加で+15000円)
これを最大で4日受験できます。4方式すべて使うと、1学部出願で25500円,2学部で495000円です。
ふつう、予算を考えて多少削りますが、愛知大学だけで20万円から30万円の生徒が多いです。うちの生徒でも、たくさんの方式をつけたおかげで、一日一方式だけで合格したという生徒もいます。
また逆にたくさんの方式で申し込んだけど、全部合格しちゃったので、もっと少なくてよかったよねという生徒もいます。
なお、全学部で全方式で申し込むと、受験料が400万円を超えます。さすがに、そんな重課金な受験生は一人もいないとは思いますが。
外部リンク
このように、利益を最大化するために、大学もいろいろと工夫をしているわけです。
きっと、来年以降は愛知大学に続く重課金大学が増えるでしょう。とくに人気の上がっている大学は強気になります。
これらの結果、生徒の受験回数は増え、受験料検定料の売り上げは伸びているでしょう。しかし、その結果より多くの生徒が合格しても入学しても辞退するようになってしまし、大学側として合格者数を決めるのがより困難になってきてしまっているわけですね。
今年は新しい制度を導入したことで、より難しかったに違いありません。
こういうわけで、前回の大学側が合格者数を選定するのが難しいという話につながるわけです。
調整成功した大学よりも、ドボンしちゃった大学の方が多いというのも仕方がないことなのかもしれません。
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