2021年10月11日月曜日

変わる愛知県公立高校入試制度の続報

 2023年度から公立高校入試の仕組みが少しだけ変わります。

昨年より、その話はあったのですが、追加の情報が少し入りました。まだこれから変更の可能性もありますが、変更点をまとめます。


① 志願校は2校のまま、入試(筆記試験)の受験回数は1回とする

  それに伴い、入試の面接試験については高校毎で任意実施にする


② 推薦選抜は「推薦枠」として一般入試と同一日程で実施していたところを、分離し、一般入試よりも早い時期に実施することにする

(2016年までの以前の受験形式に近いものに戻す。)


③ 入試のスケジュールを少し早める


ここまでが、以前から分かっていた内容です。

A日程とB日程で似通った試験を2回受験する必要があったのを1回に減らし、ほぼ合否の判定にほぼ無関係であった面接を任意実施にするというのは合理的な変更だと思います。

推薦入試の扱いも、分離式の方が評判が良かったと思います。


④ 合否判定基準を変更する。

 1.旧来の「A」「B」の2段階での合否判定を廃止し、内申点と筆記試験の合計点のみでの合否判定にする

 2.従来のⅠ型(均等型)Ⅱ型(内申重視型・内申点1.5倍)Ⅲ型(実力重視型・筆記試験1.5倍)に加えて、さらに内申点重視となる内申点2倍型、さらに実力重視となる筆記試験2倍型を加えた5つの合計点の計算方法を、各高校が選べるようにする


⑤ 職業専門科や特別なコースを設置する普通科において、推薦選抜とは別に特色選抜を実施する。特色選抜は一般入試よりも早い時期に実施し、推薦選抜との併願は不可で、募集人数は定員の20%を上限とする。


合否判定基準の変更はかなり重要な変更になります。

まず、旧来の受験方式での合格者判定を図示したものが上記のグラフです。

Ⅰ型 均等型(内申点90点+筆記試験110点)

Ⅱ型 内申重視型(内申点135点+筆記試験110点)

Ⅲ型 実力重視型(内申点90点+筆記試験165点)

3つのいずれの形式であっても、効率良く合格するためには、「B」の枠ではなく「A」の枠での合格を目指すことが効率的でした。

「A」の枠があることで、どの型であっても、「内申点」と「実力」のバランスの良い生徒に有利になり、「内申点」と「実力」のどちらかに偏った生徒は不利になる合否判定方式でした。

特に一定の基準を超えると、急に合格が有利になる内申点のレベルがあるため、その基準まで内申点を上げておくことが受験での有利につながる受験方式でした。


次に、これが新しい受験方式です。

Ⅰ型 均等型(内申点90点+筆記試験110点)

Ⅱ型 内申重視型(内申点135点+筆記試験110点)

Ⅲ型 実力重視型(内申点90点+筆記試験165点)

新型 内申さらに重視型(内申点180点+筆記試験110点)

新型 実力さらに重視型(内申点90点+筆記試験220点)


まず、「A」の枠がなくなったことで、「内申点」と「実力」のバランスの良い生徒の有利が消えました。

従来より、難関校や進学校は実力重視型の合計点の出し方を選択する高校が多く、逆に下位校や職業専門科では内申重視型を選ぶ高校が多くありました。

今後もこの傾向は変わらないと思われますが、「A」の枠がなくなったことと、新型の選択肢ができたことでこの格差がさらに広がります。


難関校・進学校については、筆記試験の重要度がさらに大きくなります。

大学受験に内申点よりも学力が大切なことを考えると、妥当な変化でしょう。


逆に、

職業専門科・非進学校については、内申点重視で合否が決まりやすくなります。

高卒で就職する場合には、学力よりも人間性や社会性が重要になってきます。近年、高卒で働く場合は、頭脳労働の就職先が減っていることもあり、これも合理的な変化であると思います。


特色入試についても、うまく機能すれば歓迎すべき制度の変更ではないでしょうか。


今回の入試制度の変更は、時代の要請に応じた適切な変更だと思いますが、全体的に「実力重視」にシフトしたことで、筆記試験での逆転合格や逆転不合格は以前よりも多く出るようになるでしょう。

内申点が高いから、受験は安泰ということにはなりにくくなります。


また、合否判定方式の多様化に合わせて、生徒1人1人の学力や進路希望に合わせて、最適な指導の差も大きくなるでしょう。

集団指導の学習塾よりも、個々に合わせて指導できる個別指導の学習塾へのニーズは大きくなると思われます。


ニュースソース

愛知県公立高等学校入学者選抜方法協議会議(令和3年度第2回)の結果について

https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kotogakko/0000084775.html
















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