2014年5月15日木曜日

英語の指導のあり方

私が現役の中高生の頃と比べ、英語教育で重視されるものは大きく変わってきています。
大雑把にいって、次のような変化があります。


読まなくてはならない英文が長くなった
そしてその反面、易しくなった


構造が複雑な文を「正確に」読解する技能が必要でなくなった。
そしてその反面、短時間で長文の内容を「ざっくりと」掴む技能が必要になった。


比較的文法の問題が軽視されるようになった。
そしてその反面、コミュニケーションや会話表現・慣用表現が重視されるようになった。

易しく、長く、実用的にという変化です。
こうした変化はもっとずっと昔からあるようで、例えば戦前の東大入試には「英語」という科目はなくて「英文解釈」という科目がありました。(意外と易しい問題ばかりだったようですが)
いずれにせよ昔は、英文は「解釈」するものだったのですよね。

実のところ、これは良いことなのか悪いことなのかは分かりません。
英語でのコミュニケーションに必要な「実用英語」としての到達度をはかるという意味では昨今の方針の方が好ましいのですが、大学で研究者に必要な思考力を問うという意味では従来の方針の方が良かったでしょう。

良いことなのか、悪いことなのかはエライ人に考えてもらうこととして、私たち塾人はこうした傾向を念頭に入れた上で指導していかなければなりません。

以上をふまえて、当塾では大学受験生の英語指導はどのように行っているかというと、

 もっとも大切にするのは長文の読解

 それでも、一番最初に扱うのは英文法

 長文も英文法も、語法も構文も全部やる

 入試に近づくにつれ、長文の読解にウエイトを大きくしていく

です。
わりと、普通ですかね。

英文法が比較的重視されなくなったとはいえ、基礎はできていないと話になりません。

「大過去って何?」
「仮定法過去完了の理屈が分からないよ」

なんていうレベルでは、まともに勉強になりませんので、まずは英文法です。

とくにそのあたりの指導ノウハウは完璧ですので、生徒によって差はありますが、半年から1年くらい週1で授業に来て貰えれば、ほとんどの生徒に

「英文法は一通り分かる」

と、言ってもらえるようになります。
長文や構文の問題集を演習するにも必要最低限の文法が分からなければ、問題集や参考書の解説を読むこともできません。

これはちょっと愚痴になってしまいますが、近所の某公立の進学校ではコミュニケーションの授業ばかり行って文法や読解の授業は週1程度しか行っていないそうです。いくらなんでも偏りすぎです。
これは極端な例ですが、高校でコミュニケーション英語が重視されているのはどの高校でも大同小異で、高3生になっても文法の基礎がまったくできておらず、困ったあげくに塾にやってくるという事例が少なくありません。

特に、英文法というのは自学だけでは理解しずらいところがありますので、塾としては教え甲斐のあるところでもあります。
いかに分かりやすく教えるか、塾屋としてテクニックの見せ所です。
そして、英文法の基礎を一通りマスターしてもらったあとは、本人のがんばりに依存するところが大きくなるわけですが、生徒の学習レベルに応じて適切な課題を設定してあげることが大切になってきます。
入試までの期間から逆算し、何をいつまでにやってもらうかのプランニングが必要になるわけです。


0 件のコメント:

コメントを投稿