2014年5月27日火曜日

作文の練習

某中学の1年生の生徒から聞いた話です。

「学校から、作文の宿題が出た」

と、嬉しそうに話してくれました。
ふつう作文の宿題というと、生徒はだいたい嫌がるものなのですが、どうして嬉しそうなのかとよくよく聞いてみると、

「自分で物語を考えて書く」

というものでした。

自由度が高く、とても楽しそうな課題ですね。
出題者の配慮も行き届いています。あまり自由度が高すぎても書きにくいので、ということを説明し、

「できればお菓子をテーマに書いてください」

というような指示が出ていたそうです。

素晴らしい作文指導だと感動しました。
良い国語の先生なのでしょう。

作文というのは、本来自由なものです。楽しいものでもあってしかるべきだと思います。
けれども、従来の作文指導では生徒は作文が嫌いになるのは当然です。
特に、「読書感想文」です。
「感想文」なんて、何を書いたら良くわかりません。大人の私が考えてさえ、そうです。
「紹介文」であったり、「書評」であるなら、何を書くかは明示されているから書きやすいでしょう。しかし、感想と言われたとき「おもしろかった」「つまらなかった」以上の感想が必要でしょうか。
その結果、要領の良い生徒の中には感想文を拡大解釈して「紹介文」や「書評」、場合によっては「随筆」的な作品を書ける生徒もいます。けれども大半な生徒は、テンプレに当て嵌めて書くか、「~がおもしろかった」と繋がりのない文を積み重ねるだけです。はっきりいって苦行ですね。

こうした読書感想文に対して、今回の作文指導の良いところは、大きく2つあると思います。

① 生徒が興味を持って取り組みやすい課題であること

② 書くべき内容が明示されてるから、取り組みやすいこと

制限を課しながら、作文という行為の自由度の高さを生徒に分かって貰えます。

私は生徒に作文指導をするとき、次のことを気を付けるべきだと思っています。

1.生徒に作文を楽しく取り組んで貰う。

今度の中学校の先生からの課題がとても優れています。

2.読み手と、文を書くことの目的を意識してもらう。

小説文(物語)、随筆分、説明文など、それぞれ意図の違う文です。それを意識してもらえるような課題設定が必要です。
今度の課題も、自然と物語を書くという目的がはっきりしていますね。

3.表現技法や技術を伝えること

ただ生徒に自由に書いて良いというのは、生徒にとってはハードルが高すぎます。
上手な例を紹介するのが良いですよね。
そうすると、生徒は自然にそれを真似してくれます。

3については、きちんと確認したわけではないのですが、当然行っているでしょう。
作文というのは、大人になったときに当たり前にできる者とそうでない者がはっきり別れます。生徒たちにとってほんとうに良い訓練になると思います。
こういう作文指導というのは、それでテストの点数が上がるようなものではなく、学習塾ではなかなか取り組めません。学校で質の高い指導をしてくれるというのは頼もしいです。

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