2016年2月23日火曜日

個別指導学習塾の開校 FC本部の選び方 3/5

今日は先月末で退会した高3生が大学受験の合格の報告に来てくれました。

非進学校系の高校に在籍し、1年前に塾に初めて来たときには中学英語もおぼつかない三単元のsも適切に付けられなかった生徒が、県内の私立大学では1・2を争う人気大学に合格してくれました。
うれしいですね。
ほんとうにがんばってくれました。



さて、更新が中途半端なところで滞っていましたが、再開します。


さて、前回の記事では学習塾の形態でFC本部のあり方を分類しました。
今日は別の観点から見てもらいたいと思います。


ずばり、信頼できるFC本部かを見極めるポイントはどこでしょうか?

塾のシステム?
開発担当者の人柄?

いずれも違うと思います。

FC本部の持つビジネスモデルを知ることだと私は考えます。

「我々加盟教室がどう利益を上げるか」

ということと同時に、

「FC本部がどう利益を上げるか」

ということを理解することは、FC本部を信頼できるかどうかを見極めるのに重要な要素です。


FCの本部は決してボランティア団体ではありません。
ノウハウを提供し、塾の経営をアシスタントすることに対し、加盟金やロイヤリティを徴収して利益を上げます。
これは否定できません。
ただし、実際のFC本部を見ると、加盟教室から利益をどのようなやり方で徴収しているかは大きく違うのです。


たとえば、某大手個別指導学習塾を運営しているJ社の経営戦略を見てみましょう。


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J社
個別指導塾業界大手を運営
加盟教室は直営教室を含めて1000教場程度
その他系列会社多数
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以上のような老舗です。

古い個別指導チェーンのわりには広告費は比較的にかけない方針で、業界最大手の明光義塾などと比べると加盟金やロイヤリティは若干安くなっています。
けれどもSSS進学教室などの後進のFC本部と比べると格段に高く、中途半端になってしまっています。
当然、新しい加盟者はほとんど現れず、既存の加盟者を手放さないこと、既存の加盟者からより多くのロイヤリティを徴収することに力を入れる仕組みにシフトしています。

具体的には、以下のような仕組みです。


① 中間マージンを大きく提供している教材会社を指定して、加盟教室に使わせます。
 教材だけではないのですが、加盟教室が利用するさまざまな備品や設備を指定し、中間マージンを獲得します。
 たとえば、このFCでも一時期は「フォレスタ」が採用される方針で話が進んでいたそうなのですが、中間マージンの交渉が失敗し、採用が見送られました。
 現在では、中間マージンの大きな某教材会社以外のテキストを教室に置くことさえ許されないのだそうです。
 FC本部から派遣される視察員は教室が質の高い指導が保たれているかをチェックするのではなく、本部の利益をきちんと守っているかをチェックするために教室を巡回します。


② 教室を別ブランドとして改装・立て替えを推奨します。
 このとき、改装業者には系列会社を指定し、利益を上げます。
 また立替に大きなコストを掛けさせることで、事業の撤退を抑止し、長くロイヤリティを得られるようにします。

 もう少し具体的に説明します。
 従来の個別指導の学習塾は、建物はテナントをリースして初期費用を抑えるのが常道でした。
 これをより費用のかかるフリースタンディング形式の出店に切り替えさせるのです。主には、土地だけ借りて、地主に建物を建てる費用を負担してもらい、30年程度のリース契約を結ぶ建て貸し形式の契約を結びます。

この形式にはメリットも多いです。

メリット1 建物が立派でオシャレで集客に有利
メリット2 土地さえあれば出店できるので、より有利な立地を選びやすい

非常に大きなメリットといえるでしょう。
特に2つ目の立地は、塾を出す上ではこの上のないほど大きなメリットです。
しかしデメリットが莫大です。

デメリット1 家賃が30万円程度と高額になりやすい
デメリット2 賃貸契約が長くなり、経営が失敗しても撤退が難しい
デメリット3 採算を取るために授業料などが割高になり競争に不利になる

現在、個別指導塾というのは教育の形としてはある意味究極の形で、もっとも優れた指導形態のひとつでしょう。
ただし、10年前の個別指導塾は今ほどシステムが洗練されていませんでしたし、20年前はほとんど存在すらしていませんでした。
教育業界に限った話ではないのですが、新しいもの、より優れたものは次々と生まれてくるのです。20年後、30年後も同じ業態で経営していって、うまくやっていけると考えるべきではありません。
よく言われることですが、どんな事業でも30年以上同じ業態で経営を続けることは難しいのです。学習塾も同じでしょう。塾屋は常によりよい指導のあり方を勉強し続けていくべきなのです。
その中で、30年にも及ぶ高額賃貸契約というのは私には論外に感じられます。

ちなみに、当SSS進学教室西尾教室の家賃はその3分の1よりは少しだけ高いくらいの家賃で収まっています。

このJ社の経営方針がビジネスパートナーとして信頼できないと感じるのは、結局のところ「FC本部の利益」と「加盟教室の利益」が一致していないところにあります。
むしろ、ある一面に限っていえば、FC本部と加盟教室が強く敵対しているといえるでしょう。

むしろ理想的には

・ FC本部の利益
・ 加盟教室の利益
・ 顧客(生徒)の利益

が同じ方向を向いているべきだと思います。

もっといえば、「学習塾のFC本部には学習塾のFC本部としての仕事だけやっていてほしい」ということです。
その点、SSS進学教室のFC本部は実にシンプルに最低限の仕事だけをしてくれます。
上記にあげた3つの利益に近しいベクトルを持たせることができていると思います。

さて、以上のようなFC本部の内部事情を知るためにはどうしたらよいでしょうか?
私は、J社については特に多くを知る機会があったわけですが、それ以外のFC本部にもそれなりに知っているつもりです。
高額な加盟金もかかるわけですから、試しに加盟したらダメでしたでは目も当てられません。


1.インターネットのHPや資料を取り寄せて精査する

まず最初にやるべきことですが、これではもちろん不十分ですよね

2.複数のFC本部の説明会に行って、比較検討する

たくさん回りましょう。
ここに加盟することはないだろうなというところも、主だったところは一通り話を聞きにいきましょう。
比較することで見えてくるものもあります。
私は10社以上を回りました。

3.既存の加盟者、オーナー、教室長の話を聞きましょう

各教室を訪れて、話を聞きましょう。
電話をしてアポをとり、話を聞きます。

事前資料なしに電話で連絡すると、直営教室の社員、メガフランチャイジーの社員、オーナー経営者などさまざまな方が教室長として教室を運営しています。
断られることもありますが、半数程度の方は情報交換に快く応じてくれます。
FC本部の事情だけでなく、指導方法や教育界全体の話など様々な面で勉強させてもらえます。

以上のような労力を惜しまないことが大切だと思います。

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