2018年5月2日水曜日

自分の才能を信じるということ

先日、ほかの塾の先生と話すことがあり、

「ちょっとでも難しい問題が出ると、(塾生の中に)すぐ諦めちゃう子がいるのですよ」

という話を聞きました。

実のところ、よくある話ではあるのです。
頭の回転は悪くないのに、場合によっては平均以上の力を持っているのに、少しでも難しさを考えると「僕(私)にはできない」と言って諦めてしまうのです。

こういう生徒の多くは、自分に自信がないから諦めが早いように思います。

「自分はどうせ頭がよくないから」
「どうせがんばってもできないし」

そうな風に思っています。
これがさらに悪化すると、

「勉強って、やる意味あるの?」
「勉強なんかやりたくない」

と言い出します。

このような状況の生徒はご家庭が厳しく、家で叱られてばかりで育ってきた生徒や、学校や通っている学習塾で叱られてばかりの生徒が多いように思います。

勉強というのは、勉強に限らずスポーツやほかのことでも同様なのかもしれませんが、

自分なら、やればできる
自分には才能がある

そう自分の才能を信じられるから努力できるのです。


当塾の塾生で、非常に指導が上手くいった事例で次のような例があります。

小学校高学年で入塾してくれたのですが、小学校の時点で既に算数が分からなくなってしまったところがたくさん出てきてしまい、小テストでも赤点を連発してしまうというような悲惨な学習状況でした。
(小学校は、中学校以降とくらべ勉強内容は易しく、平均点も高いのが普通です。)

その生徒が入塾し勉強をさせるわけですが、少しでもやる気を出して欲しいので、簡単な問題でも解ければ、

「一発で解けるとかすごいじゃん。この問題すっごく大切なんだよね」

とか、また宿題をやってきただけでも、

「ちゃんと塾の宿題やってくるの偉いね。塾に通ってない子に大きく差をつけたよ」

などと、大げさに褒め称えます。
するとその生徒は、素直すぎるくらいに私の言葉を真に受けて、

「オレって、けっこう勉強に向いてるかも」

などと言い出してくれて、難しい問題にも積極的に取り組んでくれるようになったのです。その後、みるみる成績を伸ばし、地元トップ校の進学校である高校に進学し、高校でも良い成績をとってくれています。自信が実力に変わった良い典型例でしょう。

正直なところ、はじめのうちは学力的には平均よりだいぶ下で、
「え、素直なのは可愛いけど、この程度の学力で勉強に向いているとか現実見えてなさすぎだよ」
と、私は心の中では思っていました。
しかし、生徒の実力を伸ばすためには、必ずしも生徒に現実を突きつける必要はないのです。現実なんていうのは、ほっておいても大人になるまでにだんだんと追いついてくるものなのです。

この生徒は、判断能力に乏しく、現実が見えていなかったからこそ、自分の才能を信じて密度の高い勉強を続け、結果を出すことができたのでしょう。
むしろ、現実が見えすぎるような頭の良い生徒は、勉強や様々な物事で結果を出すのが難しいのではないかとさえ思います。


このように生徒が自分を信じて努力できるかどうかというのは、本人の気質や性格にもよるところは大きいでしょう。

ただ、それ以上に大きな要因は周囲の環境だと私は考えています。

家庭、学校、塾

これらの場で、生徒がどのように周囲の大人から扱われているのか、そこに大きな差が生まれるのだと思います。


「成績が悪いから、がんばらなくちゃいけない!」

そんな義務感で、子どもは勉強は続けられません
続けられたとしても、勉強の密度は低いものになるでしょう。

ときどき、そうした義務感で勉強できるような大人びた生徒もいるのであなどれないところではありますが、義務感で努力して大成した子は見たことがありません。
義務感をもとに努力できるというのは立派ですし、生徒であっても人間的に尊敬できるとは思うのですけれども。


「勉強が楽しい!」
「僕(私)は勉強は得意だ!」

そんな前向きな気持ちを持てたとき、子どもはしっかりと学ぶことができるのです。

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