2018年5月15日火曜日

学力の地域格差のできる理由

毎年、学力テストのランキングでは秋田県をはじめとした東北地方が上位にあがります。
その理由は、指導方法に、

教え合い学習
アクティブラーニング

などが、うまく機能しているからなどと説明されることがあります。
しかしながら、この説明はあまり現実的ではなく、見たくない現実に蓋をした上での説明ではないかと私は考えます。

学力の格差の発生、日本全体の平均学力の低下には、もっと直接的な原因があるように思われます。

その手がかりになるのが、愛知県の学力テストのランキングなのですが、
小学生の学力テストで、愛知県は毎年ワースト10には入るほど順位が低くなるのに対し、中学生の学力テストではむしろ上位に入り、年度によってはベスト10に入る年度もあります。

これはどうしてでしょうか?
これには簡単な解答があるように思われます。

1.愛知県は人工が集中している都道府県であるわりに、中学受験の人気がなく、競争が生じず、勉強する生徒が少なくなっている

2.愛知県は公立高校入試制度が、他の都道府県と比べて競争が起こりやすい仕組みになっていて、勉強する生徒が増えるから

3.愛知県は首都圏などと比べ、公立人気が高く、私立高校を忌避する傾向が強く公立高校入試の競争がさらに起きやすくなっているため

ようするに、受験のために勉強するようになるから、中学以降で順位が大きく上がるわけです。

ようは、

勉強をたくさんする → 学力が上がる
勉強をあまり行わない → 学力が下がる

という単純な構造があるのです。
では、どうして日本全体の生徒の学力がこれほど大きく低下しているのでしょうか
また、愛知県の小学生は全国平均と比べて下位にあるのでしょうか

勉強をあまり行っていないから

という一事に帰着すると思います。
現在の学校教育では、勉強は二の次三の次で扱われているのが現状です。

小学生の塾生が、

「今月に入って、算数の授業1回しかやってない。
 ずっと運動会の練習とかでつぶれてるんだ」

などと、平気で良います。

「ずっと行進の練習とか、開会式の練習してる

正直、私としては開会式だとか行進の練習にどれだけ意義があるか疑問があるように思います。今の時代、オリンピックの開会式での行進をピシッと合わせてくるのは北朝鮮くらいのものでしょう。

学校というのは勉強だけでなく、集団生活の中で人間性や社会性を磨く場でもあります。ですので、なにも学校で勉強だけを教えれば良いとは私も思っていません。
10年、20年前とくらべ、今の小学校や中学校では確実にイジメだとか、不良行動をとる生徒は減っているように思えます。(なくなってはいませんが)
そういう意味では、学校教育が良くなっている部分もあるのでしょう。

また、中学生の学力を阻害する要因で部活動の加熱もあります。
10年、20年前とくらべ、部活動の練習は確実に拘束時間が増えています。クラブチームも増え、各種大会もどんどん増えています。
これに時間がとられ勉強時間が減ります。疲れていては、勉強へのやる気も削がれます。
がんばって両立する生徒もいますが、ほんとうにがんばっていて、立派であるとは思うのですが。


このような議論もされているようで、現在の部活動の有り様を危惧する議論もされているようです。
ブラック部活動などとも言われているそうです。

長野県では朝練が禁止されましたし、愛知県でも長野県ほどの厳しい規制ではありませんが、週に2日は練習を休みにしなければならないというきまりができています。
しかし、実際にはこの決まりは守られていません。

「試合が近いから特別に」
「先生が決めたんじゃなくて、生徒が自分で自主的に練習してるから」

という理由がまかり通ってます。
社畜会社員が「自主的に行う」サービス残業のようです。

学校の社会では「運動部に入部しないと舐められる」「部活もちゃんと出席しないと、同級生からハブにされる」「しっかり練習しないと学校の先生に嫌われる」という現実があります。
会社員の自主的な残業が自主的でないのと同じように、自主的な部活動はまったく自主的ではないのです。

日々生徒に勉強をしてもらうことだけを考える立場の学習塾の立場からの視点からすると、もっと社会が生徒に勉強しやすい環境を提供しても良いのではないかと思うのです。

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