2022年2月12日土曜日

模試の合否判定は信頼しても良いのですか?

受験シーズンまっただなかです。


さて、

模試の合否判定があてになるのか、ならないのか。

結論を言うと、模試の判定が信頼できるかどうかは、「模試の種類」と「試験の種類」による。場合によりけり。

ということになります。


まずは高校入試の場合から説明します。


1.公立高校一般入試の場合

結論「あてになります。」

特に、愛知全県模試など、公立高校入試の問題に出題傾向を似せて、受験者数の多い模試ほどあてになります。このタイプの模試は、都道府県別でかならず1つは行ってくれている業者があります。

愛知県入試の場合には、2校受験できる都合で、上位の進学校ほど合否の判定が信頼できます。逆に、下位の高校ほど年度によってボーダーの乱高下が大きく、合否判定の信頼性が下がります。倍率などで少しは予測できますが、どうしても予測しきれない場合が多いです。

また、各塾がオリジナルで行っている学力テストなどは、学力自体を判定するには良いテストであっても、合否の判定としてはあまりあてにならないでしょう。


2.私立高校一般入試の場合

結論「あまりあてになりません。」

今年はすでに私立高校の入試は終了しましたが、私立高校の場合は合否の判定の基準が各高校ごとによって異なります。出題の問題も学校によって違います。そのため、統一的な模試では合否の判定は十分にできません。

ただし、一部の上位校、愛知県の場合は滝高校や東海高校については、筆記試験の点数を中心に合否を判定しますので、公立高校の上位校ほどではないにしろ、模試の判定を信頼することができるでしょう

中堅から下位の高校については、筆記試験の実施は形ばかりで、中学校の内申点などから大半の生徒の合格を決めているという高校も少なくなりません。そうした学校の場合、模試の合否判定はあてにならないと考えるべきでしょう。



3.大学入試一般入試の場合

結論「あまりあてになりません。」

大学受験向けの模試で、もっとも受験者数が多く、問題の質が高く、判定の信頼性の高い模擬試験というと、「河合塾の全統模試」ではないでしょうか。

駿台やZ会、代ゼミの模試なども質の高い模試です。

しかし、どんなに質の高い模試でも、判定はあまりあてになりません。A判定(合格率80%以上)を貰っていても落ちてしまう生徒は多いですし、E判定(合格率20%以下)でも案外合格できてしまう場合があります。

これはなぜでしょうか。


理由1 問題の質

都道府県ごとで同じ入試問題で受験を行う高校入試と比べ、大学入試は大学ごとで問題が異なります。一言に大学受験と言っても、問題の難易度は学校によって天と地ほども違います。

統一的な問題で試験を行う模擬試験では、適切な判定が出ないのは当然です。

挑戦できる回数は少ないですが「東大オープン」「名大オープン」など、大学別模試は大学ごとの出題傾向に合わせた模擬試験で、比較的判定が信頼できるでしょう

ただし、大学別の模擬試験は一部の人気校でしか実施がなく、受験者数も多くはないのが残念なところです。

なお、一般的な全統模試や駿台模試などの問題は、国公立入試とも私立入試とも似ていない、良くいえば総合的な、悪く言えば中途半端な出題となります。


理由2 受験誘導が弱い

これは大学受験向けの模試の合否判定があてにならない理由というより、高校受験向けの模試の判定があてになる理由ともいえるのですが、

高校受験では中学校の先生が進路指導を行う結果、だいたい毎年どの高校にも同じくらいレベルの生徒が、同じくらいの人数の生徒が受験することになり、だいたい合格ボーダーが一定に保たれます。(それでも、だいぶ上下はしますが)

その点、大学入試は、他の大学の受験日程の兼ね合いや、時流によって、県内外からの受験の動向が大きく変わります。正確な判定が難しくなるのは当然でしょう。


理由3 受験方式・学部学科コースの細分化

大学入試の受験方式は、一般入試だけとっても多様です。特に私立大学は多様です。

その結果、ある1つの学部学科の1つの受験方式での受験者数や合格数はかなり少人数になってしまいます。その結果、受験者数がちょっと増えたり減ったりするだけで、かなり乱高下することになります。


理由4 1題の出題が重く、運不運が大きい

中学入試や高校入試と比べ、大学入試では扱われる問題はどうしても高度になります。

特に数学や物理や化学の理系科目では、1問でも深く掘り下げるために、1問とくだけでも時間と労力がかなりかかり、結果問題数はどうしても少なくなってしまします。

受験数学では90分や120分程度で出題数5題というのは標準的な出題でしょう。

出題数が少なくなると、たまたま得意な問題が出たり出なかったりでの、運要素がどうしても高くなってしまいます。

運要素はどうしても大きいため、私立大学志望の生徒は受験回数をできるだけ増やすようにするのですが、国公立大学の場合には前期試験と後期試験にそれぞれ各1回のチャンスしかありません。


実際、大学受験ではまさかの逆転合格・逆転不合格というのはザラに起こります。

ついでにいうと、共通テストの自己採点からの合否予想も信頼性は低いのではないでしょうか。

昨年度などは横浜国立大学が、まさかの定員割れが起こりニュースになっていましたが、あれは自己採点からの合否予想を鵜呑みにして、出願を取りやめた生徒が多かったからというのもあるのではないでしょうか。


加えて言えば、模試の判定が悪くても合格しやすい生徒というのは、きちんと自分の大学の受験問題を研究し、その問題にあった対策をした生徒でしょう。

逆に、学校で言われたことだけを、エサを与えられるヒナのように何も考えずに勉強している生徒は、模試の判定が良くても本番で失敗してしまう生徒が多いですね。

そのあたりのお手伝いは、当塾でも得意にしているところです。



今年も大学受験も私立前期試験がほぼほぼ終了し、あとは後期試験や国公立入試を残すのみとなっています。

受験生たちには、あまり事前の合格率に踊らされることなく最後まで諦めずに全力を尽くしてほしいものです。

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