2022年2月23日水曜日

全日制高校に行けない生徒の受け皿・専修学校と定時制高校

私立高校入試が終わり、現在公立高校入試直前です。

今日は、高校に進学できるかどうかという成績下位層に向けた記事です。


そもそも、高校は誰でも入学できるわけではありまえん。いわゆる普通の高校である全日制高校の進学率は、全国ベースで92%、愛知県では90%程度が例年の数字です。


中学卒業後の進路目安(愛知県)

 公立全日制高校 61%

 私立全日制高校 29%

 専修学校(専門学校専修過程)3%

 定時制高校 2%

 ほか 5%


まず、全日制高校ですが、公立高校に挑戦する場合、くわしい制度については別記事に譲りますが、主に「筆記試験と内申点の合計」で合否を判定します。

そして、合格基準となる合格ボーダーは、年度によって大きく上下します。

例えば、地元の公立普通科でもっとも易しい一色高校や高浜高校を受検するには、内申点が22か23くらいあれば受検しようというように指導することが多いですが、年度によっては合格ボーダーは大きく下がることもありますし、運が悪ければ上がることもあります。

私立高校については、下位の高校については主に「内申点と調査書(+中学校との談合)」で合否を決めます。

公立高校の場合と違い、合否の基準は高校側で内定しており、我々塾人や一般人には教えてもらえないのですが、中学校の教師には近隣の私立高校側からは合格基準が打診されていますし、遠方の高校でも中学校から問い合わせれば合否基準を問い合わせることができます。成績の微妙な生徒には相談にのってもらうこともできます。

原則的には筆記試験は茶番で、内申点のみで合格を確約してもらっている場合が多いですが、事情により筆記試験の結果をまって合否を判定する場合もあります。


易しめの公立高校の合否判定(全日制)

 筆記試験と内申点で合否判定

 易しい学校で受検の目安は内申点22以上程度

 合格基準は事前に予測することは難しいく、合否については本人の実力と運不運で変わる


易しめの私立高校の合否判定(全日制)

 主に内申点で合否判定(中学・高校間での話し合い可能)

 易しい学校で受検の目安は内申点16以上程度

 合格基準は事前に分かっていて、原則として合格基準に達している学校を受検可能

 不登校などで事情がある場合は、事前に相談して筆記試験の結果などで合否判定する場合も


生徒の将来を考えると、これらの全日制の高校に進学するのが望ましいのですが、それが難しい場合に選択肢に入るのが専門学校や定時制高校です。

それぞれ、実のところ専門学校も定時制高校も、合格については事実上BFで、成績をとわず全員合格かそれに近い状況の学校がほとんどです。

それでは、専門学校や定時制高校とは、どのような特徴のある学校なのでしょうか。


西三河から通える定時制高校

昼間

[普通] 刈谷東 (刈谷市)

夜間

[普通] 岡崎 (岡崎市)

[普通] 碧南 (碧南市)

[普通] 豊田西 (豊田市)

[普通] 安城 (安城市)

[普通] 一色 (一色市)

[工業] 刈谷東 (刈谷市)

[工業] 岡崎工業 (岡崎市)

[工業] 豊田工業 (豊田市)

[工業] 岡崎工業 (岡崎市)


まず定時制高校です。
定時制高校はもともと勤労学生(働きながら高校に通いたい)という生徒のために、戦後直後に開設された学校で、通常は夜間制で4年で卒業が普通ですが、単位制となっていて5年以上かけて卒業する生徒も少なくありません。また学校によっては3年かけて卒業する仕組みを整えている学校も多いです。
時代と社会の変化とともに、勤労学生のための高校という側面は薄れて、学力やその他の都合で全日制高校に進学できない生徒たちの受け皿の1つという側面が強くなっています。
また夜間制といっても、深夜に授業を行うわけではなく、夕方5時くらいから通学し、1日4限程度の授業を行うのが一般的です。

愛知県にある定時制高校は公立高校で、学費は全日制高校に通うのと同じで、事実上無償と言って良いでしょう。
合格ボーダーについては、ほとんどどこもボーダーフリーか、それに近い状況です。
学歴としての価値は非常に低く、入学後に人間性や学力や資格などを身に着けていかなければ、卒業後の進学や就職に苦労することになるでしょう。

特に、地元で人気となっているのが昼間定時制を行っている刈谷東高校は、定時制の高校の中ではダントツの人気校となっています。


西三河から通える専門学校(専修学校高等課程)

山本学園情報文化専門学校(山本学園)(知立市)・専門課程併設

 [女子]ファッションデザイン・調理師・ビジネス

 [男子]ビジネス

西尾高等家政専門学校(白百合学園)(西尾市・西尾駅)・専門課程併設

 [女子]クッキング・ビジネス・ファッション

大岡学園ファッション文化服飾專門学校(大岡学園)(安城市)・専門課程併設

 [共学]ファッション

安城生活福祉高等専修学校(さくら学園)(安城市)

 [女子]ファッションパティシエ

 [共学]調理師・保育介護

東海工業専門学校熱田校(電波学園) (熱田区・神宮前駅)

 [共学]機械・建築

名古屋工学院専門学校(電波学園)(熱田区・神宮前駅)・専門課程併設

 [共学]普通・電気

あいちビジネス専門学校(電波学園)(中区・金山駅)・専門課程併設

 [共学]総合ビジネス

さつき調理・福祉学院(東洋学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]調理師・福祉

名古屋ユマニテク調理製菓専門学校(みえ大橋学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合学科(調理製菓・ファッション・保育・医療福祉)

ニュートン高等専修学校(光陵学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合教養科

クラーク高等学院名古屋校(創志学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合進学・インターナショナル

愛知芸術高等専修学校(恭敬学園)(中村区・名古屋駅)

 [共学]総合芸術科(マンガイラスト・声優・ファッション・ミュージック・ダンス)・美容師学科



続いて、リストが長くなりましたが専門学校です。

ここでいう専門学校というのは、正確には「専修学校高等課程」です。高校卒業資格を得たあとで、看護などの資格を取るために通う専門学校は「専修学校専門課程」になりますので、別の種類の学校になります。そのほかにこの記事では扱いませんが「一般過程」の専修学校も存在します。

そもそも専修学校は昭和51年に開設され、定時制高校と比べると新しいタイプの教育機関で、職業能力や生活能力の向上を目指して設立されています。

専修学校にはさまざまな学科があり、学校によって高等過程のみの設置の学校、専門課程のみ設置の学校、両方を設置の学校などさまざまです。

専門課程については、学科などにより入学が難しく学歴としての価値の高いものや、ボーダーフリーで学歴としての価値が低いもの、役に立つ資格がとれるところ、とれる資格が就職にあまり役に立たないところなど様々ですが、ここでは高等過程についてのみ説明します。

専修学校の高等課程については、ほとんどどの学校もボーダーフリーかそれに近い状況で、学歴としての価値は定時制高校と同様に非常に低いでしょう。

さまざまな学科がありますが、就職に対してそれほど役に立つ資格がとれるということもありません。

就職に有利な学歴が欲しい生徒は大学に進学し、より役に立つ資格が欲しい生徒は専門課程や資格のとれる大学に進学をする必要があるでしょう。

また、ほとんどの専門学校では、専門学校に入学と同時に提携している通信制高校に入学することになり、専門学校の卒業と同時に高校卒業資格を手に入れることができるようになっています。


愛知県にある専門学校(専修学校高等課程)は私立になります。上記のリストはどれも私立校ばかりです。

費用の方は、学校学科によって多少の違いはありますが、全日制の私立高校と同程度になることが多いです。同時に入学する通信制高校の費用はとても安くなっていますので、誤差でしょう。

卒業するまでに必要な年限は全日制高校と同様に3年間が一般的です。(1年間や2年間の学校もあります。)

上記リストの専門学校の中で、私が担当した生徒が進学し、生徒からの評価が良かった学校としては、電波学園系列の「名古屋工学院専門学校」です。

系列校も多い愛知県の専門学校としては最大手となる電波学園だけあって、就職や進学のコネクションも強く、卒業後のサポートなどがその他の専門学校と比べて優れているようです。


以上のように、定時制高校と専門学校の両方について基本的なことを見てきましたが、全日制高校への進学が難しい場合は、どちらを選ぶのが正解でしょうか。

それぞれの学校で学べる学科の内容や、通学の便などもあり、絶対にというわけではないのですが、


定時制高校よりは専門学校(専修学校専門課程)の方がオススメです。

通学費用は高くなるけれど。


理由は卒業後に向けたサポート状況です。

高校であれ、専門学校であれ、やはり気になるのは次の2点です。

1.ちゃんと卒業できるか

2.就職や進学につなげることができるか

この2つです。


この2点について、公立の定時制高校と私立通信制高校について比較しましょう。

比較の上で、全日制高校の統計も記載します。


ドロップアウト率①

卒業までに中退になって卒業できない生徒の割合

全日制高校 普通科(私立公立計) 4.8%

全日制高校 職業専門科(私立公立計) 7.2%

公立定時制高校 42%

私立通信制高校 11%


ドロップアウト率②

卒業後、進学や就職などの進路の決まらない生徒の割合

全日制高校 (全学科私立公立計) 5%

定時制高校(公立私立計) 28%

通信制高校(公立私立計) 41%


まず全日制高校が圧倒的に良い数字を出していることは間違いありません。

可能ならば、生徒には全日制に進んでもらいたいです。


定時制と専門学校を比較すると、まず中退になってしまう生徒が圧倒的に多いのが定時制高校です。

卒業後の進路が決まらないという点では、通信制の生徒の方が多いのですが、こちらは通信制のみの入学の生徒が数字を悪化させている可能性が高いと思われます。専修学校と同時入学の場合は、中退率も、進学の決まらない率もどちらもいくらかの改善が見込めるでしょう。

専修学校の定時制高校に比較したデメリットとしては、やはり通学に必要な授業料などの費用がもっとも大きいでしょう。さらに、系列の専門課程に進学することになれば、さらに費用がかかることになります。

また、定時制高校の場合はほぼ普通科と工業科ばかりですが、私立の専修学校は、母体となる運営団体や学科によって学校の運営方針や、卒業後のサポートの手厚さに大きな差があるように思います。


そのあたりをきちんと調べて、より良い学校を選んであげたいところです。

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