2022年2月22日火曜日

志願状況と志願変更 愛知県公立高校入試

昨晩、愛知県の公立高校の志願状況が発表されました。

令和4年度入学者選抜の志願状況等


本日2月22日と明後日の24日は「志願変更」が可能です。

この志望状況を見て、受験校を変更することができます。

しかし、志願状況についてはどのように見ていけば良いのでしょうか。ただ倍率の高い低いだけに注目すれば良いのでしょうか。

例をあげて説明しましょう。


Aグループ 刈谷高校 普通科

 定員 400

 1次志望志願者 648

 2次志望志願者 50

 合計倍率 1.75倍(昨年度1.65倍)


Aグループ 岡崎高校 普通科

 定員 400

 1次志望志願者 558

 2次志望志願者 11

 合計倍率 1.42倍(昨年度1.53倍)


Bグループ 刈谷北高校 普通科

 定員 320

 1次志望志願者 386

 2次志望志願者 320

 合計倍率 2.21倍(昨年度1.85倍)


Bグループ 西尾高校 普通科

 定員 360

 1次志望志願者 440

 2次志望志願者 162

 合計倍率 1.67倍(昨年度1.63倍)


当塾でも志望する生徒の多いのが刈谷高校です。

地元のトップ校で、東大京大などの進学率ではまだまだ上がいますが、名古屋大学進学率については県内1位を誇ります。


刈谷高校とライバルの位置にあるのが、岡崎高校です。岡崎高校も隣接する地域のトップ校で、どちらの高校にも通うことのできる地域に住まいの生徒はどちらに出願するかはおおいに迷うことでしょう。

一世代前では、刈谷高校と岡崎高校でははっきりと岡崎高校の方が格上だったと言えたのですが、刈谷高校周辺の人口の増加や交通の便なので、近年は刈谷高校の方が倍率が高い年度が続いています。

今年も刈谷高校と岡崎高校を比べると、1次志望倍率、合計倍率ともに刈谷高校の方が高くなっています。

ですが、この倍率の比較から、必ずしも刈谷高校の方が岡崎高校よりも入学が難しいといえるかというと微妙です。

学習塾には、別の資料で愛知全県模試の追跡調査結果があるのですが、受験者の平均の学力は刈谷高校と岡崎高校では、はっきりと岡崎高校の方が高いのです。受験者の平均の内申点もそうですが、内申点以上に偏差値に差があります。刈谷高校周辺の自治体の中学校は、岡崎高校周辺の自治体の中学校よりも若干内申点の付け方が甘いのかもしれません。

ただ、それでも合格のボーダーが岡崎高校の方が高いとも言い切れません。

追跡調査の結果をみると、だいぶ拮抗していて、年度によってどちらが刈谷高校の方が上だったり、岡崎高校の方が上だったりします。本年度についても予想が難しいところで、今年の受検結果が出るまでははっきりとしたことは分からないでしょう。

また、筆記試験終了後に合格予想点を出している学習塾もありますが、あれは問題の難易度からの予想で、受験者数などからの予想ではありませんので、あまり正確な予想とは言えません。

今年7月ごろには、追跡調査の結果が各学習塾にも配られることになり、そうなるとだいたいの結果が分かるようになります。


結論1

刈谷高校と岡崎高校のどちらが上かは分かりません。微妙。


とはいえ、刈谷高校や岡崎高校はほとんど1次志望で受検する生徒ばかりですので、他の高校と比べて、志願状況の読み取りが易しいでしょう。

岡崎高校などは、1次倍率が1.4倍程度ですので、その割合でそのまま合格者が決まるでしょう。


結論2

地域トップ校はだいたい倍率のそのままに、合格者が決まる。

岡崎高校は14人受検しておよそ10人合格。

刈谷高校は17人受検しておよそ10人合格。

(ただし、受験者のレベルが違うので倍率=レベルの高さではありません)


それでは、地元2番手校の刈谷北高校はどうでしょうか。

倍率は2.21倍なので、合計倍率は刈谷高校や岡崎高校よりも高いのですが、ほとんど2次志望の生徒のいないトップ校と比べ、2次志望の生徒もたくさんいます。

この数字だけで、刈谷北高校は岡崎高校や刈谷高校よりも難しいとは言えません。むしろ、岡崎高校や刈谷高校よりはずっと合格ボーダーは低くなります。


刈谷北高校を2次志望にする生徒の大多数は、1次志望をすぐ近所にある刈谷高校にしているのでしょうが、一部には岡崎高校や他の学校を1次志望にしているでしょう。

逆に刈谷高校を1次志望にしている生徒の大半は、2次志望を刈谷北高校にしている場合が多いのでしょうが、2次志望に知立東や西尾高校を選んでいる場合もあるでしょう。

ですが、刈谷高校と刈谷北高校は隣接していることで、大体の場合として刈谷-刈谷北の組み合わせで受検する生徒が大半であるとすると、刈谷高校を1次志望にしている生徒のうちおよそ250人が刈谷高校に合格できずに、刈谷北高校に下りてくるでしょう。

また愛知県の高校受験の進路指導では、複合受検の2次志望には確実に合格できる高校を置くのが定石で、いわゆるダブル落ちを避けて受検するのがふつうです。例えば、刈谷北高校の合格が確実でない生徒は、刈谷北高校を2次志望ではなく1次志望にするように中学校側から指導されます。

そのため、刈谷高校に合格できずに刈谷北高校に下りてきた250人はほぼほぼ全員が刈谷北高校に合格するでしょう。

そうすると、刈谷北高校の普通科定員320人のうち、250人が埋まって残る席は70人分です。この70席を刈谷北高校を1次志望とする386人で争うことになります。

単純化して話をすすめましたが、実際にこれに近いことがおこると予想されます。これはかなりの競争率です。今年は刈谷高校も刈谷北高校も倍率が上がったことで、競争はかなり激化したといえるでしょう。

逆に刈谷北高校のような2番手校であっても、地域の1つ上のトップ校の倍率が低ければあまり多くの生徒が下りて来ないということになります。


結論2

地域の2番手以下の高校は、上の高校からどれだけの生徒が下りてくるかでも難易度が大きく上下する。

2022年の刈谷北高校入試は狭き門。単純な倍率以上に競争が激しく、1次志望の生徒の大半は不合格になる。


それでは次に、西尾高校などはどうでしょうか。

西尾高校は例年のボーダーでは刈谷北高校と同じか少し易しいくらいの学校ですが、刈谷高校と比べると1次志望者の割合が多くなっています。これは、西尾高校を2次志望にしている生徒は1次志望は刈谷高校や岡崎高校が多いのでしょうが、地域的に刈谷高校も岡崎高校も少し遠く、敬遠する生徒が多いからです。

ですので西尾高校は、地元的には地域トップ校とも2番手校とも言い難い、その中間的な地域準トップ校ということになるでしょう。

西尾高校も刈谷北高校と同様に、上から下りてくる生徒がいることを考えると、それなりに厳しい戦いになりそうです。西尾高校を1次志望にしている生徒は、少なくとも2人に1人以上は不合格になると思われます。

それでも、刈谷北高校ほどは厳しくならないでしょう。


それでは、知立東、安城東、安城、西尾東などのもう少し下のランクの高校の倍率はどうでしょうか。

実のところ、このあたりになってくると、受験校の組み合わせが複雑に多様化し、志願状況などの資料からシミュレーションして予想するのが非常に困難になります。

近隣の他の学校の動向によっても難易度は大きく上がったり下がったりします。倍率だけからでは予想できません。

はっきりいって無理です。


とはいえ、まったく資料が役荷立たないというわけではありません。

例えば、思い返すも悪夢の2016年の西尾東高校入試です。

西尾東高校はAグループの進学校で、「西尾ー西尾東」「安城東-西尾東」「西尾東-碧南」「西尾東-鶴城丘」「西尾東-吉良」などの組み合わせで受験することの多い学校なのですが、例年の倍率はだいたい2倍弱がふつうです。

ですが、2016年入試では西尾東高校の最終倍率は例年の2倍近い3.87倍でした。

なお2015年では1.96倍で、倍率が低かった2014年は1.74倍、今年2022年は最終倍率はまだですが締め切り倍率は2.04倍です。

おそらく、安城市など西尾市に隣接する中学校の進路指導で受験者数の調整に失敗した結果、市外からの越境受験者が多かった年なのでしょうが、2016年度の西尾市の受験結果は悲惨の一言でした。西尾東高校に落ちた大量の受験生が、碧南高校、鶴城丘高校、吉良高校などにも下りていって、そちらの受験もかなり厳しくなりました。結果、多くの生徒がダブル落ちの憂き目に合いました。

このとき、締切倍率を見て、受験校を西尾市内から安城市内の高校に切り替えて、危険を回避することも可能ではあったでしょう。


それを踏まえ、本年2022年度の西三河の受検状況はどうなるでしょうか。

おそらくですが、2016年度のような大波乱はなさそうですが、全体的に昨年度と比べやや競争率の高い厳し目の入試になりそうです。


結論3

トップ校や2番手校以外の高校の難易度を志願状況の資料から正確に予測するのは非常に困難。とはいえ、まったく役に立たないわけでもない。

2022年入試は、西三河地区では極端な大波乱はなさそう。昨年と比べると競争率の高いやや厳しい試験になると予測される。


地域で、もっとも易しい高校については、定員割れする場合もあります。

このあたりの地域ですと、一色高校や高浜高校がもっとも可能性の高い高校になります。昨年度については、鶴城丘高校や碧南高校などの中堅校が定員割れするというめったにない椿事が置きました。


実のところ、成績下位の生徒には、「どこでも良いからとりあえず公立高校に進学したい」という要望も少なくありません。

そういう生徒には、塾として「今年は○○高校が定員割れするか、それに近い状況になりそうだよ」と志願変更を薦めさせてもらう場合もあります。


ただし、定員割れや定員割れに近い状況で、実力に見合わない高校に入学してしまった場合は、入った後がたいへんになる場合も多いです。

小中学校と違い、高校は義務教育ではありません。勉強についていけなくなって、中退する生徒も少なくないのです。

愛知県の高校全体では、年間あたりおよそ2.1%ほどの生徒が高校を中退しているという資料があります。

合格しやすい学校を選ぶというのも1つの手段ですし、塾としてそれをお手伝いすることもあります。

ただし、きちんとした学力をつけることはどうあっても必要だということは理解しておくべきでしょう。



以上に述べてきたように、志願状況を読み解くのもそれなりに知識と経験が必要になります。

自分が受検する高校の動向が気になっている生徒や保護者は、通っている学習塾の担当者に直接問い合わせてみると良いでしょう。

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