2023年2月22日水曜日

 本日、新しい入試制度になって初めての愛知県公立高校の一般入試が行われました。

これまではA・Bグループに分かれての試験だったものが、今年からAグループ・Bグループの試験を一括して合否判定し、問題も採点ミスの起こりにくいマークシート方式に変更されました。


実際の試験を終えた生徒の感想を聞くと、「マークシート式であることは別としても、やや簡単だったかも?」みたいな意見が大勢のようです。


毎日新聞(愛知県の入試問題)


教科別寸評

「国語」

ほぼ予想道理の出題です。

漢字では、予想通り同音の漢字から選ぶ問題が出題され、愛知県の定番の四字熟語も出題されていて、当教室の生徒はばっちり対策して扱ったことのある四字熟語でしたので全員正解していると信じたいところです。

古典はやや古めの漢文からの出題で、いつも通り書き下し文で十分な脚注もあり読みやすかったでしょう。


「数学」

出題のパターンに新しいところはありませんが、全体的に易しめになっています。

愛知県の数学は大問3の(2)と(3)図形が難し目で定評があるのですが、今年は例年になく易しかったでしょう。生徒の1人は「全部とききって、数学でこんなに時間があまるとは思わなかった」とコメントをもらっています。

例年、数学は他の教科より平均点が低めであるため、易しくするのはありなのかとも思いますが、だいぶ極端に易しくなりました。


「社会」

資料を読み解き分析する問題がますます多くなっています。近年の傾向通りの出題です。

論理的に読み解く力、分析している力があれば多少の知識不足はカバーできるでしょう。去年までは多少の出題があった記述問題がなくなったため、正確な知識の不足を思考力で補いやすくなっています。

細かな知識よりは、重要なポイントを抑えた正確な知識が大切で、知識を活用する力、思考力分析力が大切になるでしょう。


「理科」

中2生物・中2化学・中3物理・中2地学と大問2から大問5の主要問題では2年生からの出題に偏りました。

理科の入試は2017年くらいから、「生徒と先生が会話する大学共通テストに寄せた問題」が出題されるなど、問題を読み解く力を問う力を出題されるようになり、大幅に難化し、平均点が下がっていましたが、そのあたりの問題が一掃されてもとに戻りました。

1つ1つの問題を見るといままで通りなのですが、理科もだいぶ易しめの出題です。


「英語」

英作文の代わりに出題されるようになったのは、易しめの英文中の穴埋め問題でだいぶ点数が取りやすくなりました。

毎回長文問題が出題される大問3(説明文)と大問4(会話文)も設問の出され方が従来とはだいぶ変わりました。5科でもっとも新しいタイプの出題が多かったのは英語でしょう。こちらも易しめな出題パターンだとは思いますが、普段練習していたのとは違うタイプの問題に生徒が戸惑ってないかが心配です。

特に大問3でメモを取って内容をまとめる問題は、これまでなら大問4で英文で出題されるパターンのところを日本語での整理でした。内容正誤の問題でも、以前なら大問3で「正しい英文をすべて選びなさい」と出てたところを、「1つ選びなさい」または「2つ選びなさい」と易しめの出題に変わっています。



現在、文科省では生きる力を支える3つの柱として、

1.知識及び技能

2.思考力、判断力、表現力

3.学びに向かう人間性等

以上の3つを掲げています。1つ目の単純な知識技能教育だけでは不足で、「思考力、判断力、表現力」の養成に力を入れていこうということです。

全国の高校入試大学入試で、「単純な知識」や「情報処理能力」だけを問う問題が多かったところを改め、思考力や判断力を問う問題として「先生と生徒が会話して、その内容から情報を読取る問題」や表現力を問う問題として「論述問題や、自由英作文」などが多く出題されるようになっています。

はっきりいって、今回の愛知県入試はこの全国的な方針にまっこうから喧嘩を売っています。最近は文科省もあまり声高に言わなくなってきて圧力が弱くなってきているのでしょうか。

「知識」や「情報処理能力」もまた大切な技能ではあります。私としては、その良し悪しを問うつもりはないのですが、国の方針に思った以上に逆らうような入試問題がこのまま許されていくのかが疑問に思うところです。

普通に考えれば、また数年後くらいに入試問題&制度についての変更が発表されるかもしれませんね。


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