2023年2月24日金曜日

大学学部の選び方 ②大学の役割


前記事の学部の紹介では,敢えて資格を取ることを重視した学部を避けて紹介しました。

今記事では,目標とする職業や資格から逆算して学部を選ぶという視点で大学の学部を紹介します。


さて、前提条件として、大学の役割は何でしょう。

小学校、中学校、高校は言うまでもなく教育機関です。

しかし、大学は必ずしもそうとは限りません。「教育機関」としての役割のほかに「研究機関」「職業訓練機関」としての役割があります。


1.研究機関としての大学

本来、もっとも重要な大学の役割がこれです。

大学の教授先生にとっては自分の研究が第一であり、学生への指導はおまけなのです。

特に国公立大学、さらには理系学部は研究予算も大きく、研究機関としての役割は大きいでしょう。


2.教育機関としての大学

高校までと較べて、学部に分かれてより専門的な教育を受けることができます。


3.職業訓練機関としての大学

きっとこれは本来の大学の役割ではないのでしょう。しかし、現実には職業訓練をするための機関としての大学の役割は大きくなっています。

特に資格を取るタイプの大学の学部はこの部分が大きいでしょう。


次に、一般の企業はどのように求人をしているでしょうか。

特に大企業の場合には、以下のように求人区分を分けている場合が多くなります。


平均的な企業の求人に分類

・「総合職」(主に難関大卒)

 会社の将来を担う管理職候補


・「技術職(技術系総合職)」(主に理系大学院卒)

 会社の基幹技術を担う技術職


・「一般職」(主に大卒)

 一般の職員


・「現場職」(主に高卒)

 単純作業・ライン工など


例えば高卒の現場職の場合は,求人は高校に出すので、高校生たちは高校側の指導にもとづいて会社の面接を受け採用されます。ほとんど就職活動というほどのことはせずに、就業することができます。

大企業の場合、現場職でも待遇は悪くありません。ライン工などの現場仕事が向いているという生徒は大学進学はせずに高卒で就職するのが好ましいでしょう。


また、上記のような区分でのいわゆる「ふつうの仕事」が自分に向いていないというのなら、資格をとって、その資格を利用した就業をするというのが選択肢に入ります。

主に「士業・師業」と呼ばれる仕事です。


1.「総合職」「一般職」などふつうの就職をしたい

総合職・一般職といっても仕事の内容は様々です。

「営業」「生産管理」「調達」「人事」「経理」などさまざまな職場があります。ですがどの職場に配属されるにしろ、「人とのコミュニケーション」と「事務能力」は必要になることでしょう。

これを目指す場合には、実のところどの学部を卒業していてもOKです。就職を有利にするためには、学部を問わずになるべく難関大学と呼ばれる名前の通った大学を選ぶのが良いでしょう

特別な資格取得や実験が必要でない学部の方が楽に卒業できます。

「文学部」「経済経営学部」「社会学部」「商学部」などが学生時代の負担が少なくオススメですが、他の学部でも困ることはありません。



2.「技術職」で就職をしたい

理系の大学院修士課程までを卒業します。

特に「工学部」、ほかに「理学部」「農学部」などがオススメです。



3.資格をとって働きたい

主な学部を紹介します

医師 医学部(6年間)

国公立大学と私立大学で費用の差が大きいため、一から医師資格を求める場合は国公立大学を目指すのが普通です。しかしもっとも易しい国公立大学医学部でも、東京大学のその他の学部を目指すのと同程度の難関になります。

私立大学は学費だけで2000万以上,その他費用を含めて3000万円以上の費用を見込みましょう。すでに成功している開業医の跡継ぎとなる学生にオススメです。


看護師・理学療法士 看護学科・リハビリ科(4年間)/専門学校(3年間)

専門学校の方が就学期間が短い分、費用は少なくすみます。大学の場合でも、専門学校の場合でも就業後の給与に大差はないようです。

大学を選ぶメリットとしてはカリキュラムに余裕があること、看護師や理学療法士以外の道を選ぶことになった場合に、大学卒の肩書が有用であることなどでしょう。

また比較的性質のよく似た資格で,「視能訓練士・言語聴覚士」などの職もありますが、こちらは県内では愛知淑徳大学で資格のとれる学部が設置されています。


保育士 児童科(4年間)/短大・専門学校(2-3年間)

比較的やさしめの大学や短大で保育士資格のとれる学部学科が容易されています。


弁護士・検事 国公立大学法学部(4年間+大学院+司法修習)

名古屋大学の法学部など難関国公立大学の法学部が好ましいです。司法制度改革をへて、法曹資格を取るのに必要な手順が変わりました。

現在もまだ司法制度改革の途中にありますので、実情はこれからも変化していくでしょう。これまでの司法制度改革によって法曹資格を取るのは少し易しくなりましたが、反面資格保持者が増えて待遇は悪くなったと言われています。


公認会計士・税理士 経済学部など(4年間)

公認会計士や税理士は自分の力で資格を取得するタイプの資格で、特定の学部を卒業したからといって特別資格を取りやすいというものではありませんが、比較的経済学部や経営学部など社会学系の学部が比較的有利とされます。


教師 教育学部(4年間)

教育学部以外でも必要な単位や教育実習の条件を満たせば教師になることは可能ですが、やはり教職が前提の教育学部が理想的です。

愛知県のような地方では教育学部は主に国公立大学、首都圏では私立大学が中心に設けられています。

教員になるためには教員免許を取得した上で、さらに各高校から採用をしてもらわなければなりません。愛知県など地方の場合は国公立大学卒が私立大学卒よりも有利だと言われていますが、昭和の頃と比べれば私立卒で教員免許を取った場合でも門戸は開かれるようになってきているようです。

またせっかく国公立大学を卒業して教員免許を取得しても、教職以外の道を選ぶ学生が増えていることも社会問題になっています。地方国公立大学教育学部卒の6割程度の学生しか教職を選ばないそうです。

教育実習を経て、教育の理想と現場の実態の乖離が大きいと感じられているようです。


公務員 (市役所・県職員・税関・警察官・消防士)法学部など(4年間)

いずれの場合も公務員試験に合格する必要があります。一般教養の試験と、目指す公務員の種類によって異なる法律など中心とした専門試験があります。

法についての出題が多い分、法学部卒が有利と言われ、特に私立大学法学部には公務員対策講座を実施してくれる大学もありますが、別の学部から目指すのも難しくはありありません。

警察官や自衛官などの場合は、試験合格後に警察学校や自衛官学校に通う必要があります。


建築士 工学部建築科(4年間)

工学部の建築家で2級の建築士資格がとれます。

工学部が希望で大学院までは行きたくないけど、専門職が良いという学生にとって有力な選択肢です。

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