先日、春期講習の一環で、新中3生・新高1生向けのガイダンスを実施しました。
中3生には,高校受験を戦っていく上での必要な知識を学んで貰うガイダンスで「プレ受験対策講座・入試に向けての基礎知識 春」を行いました。
新高1生は,それぞれの高校に合わせて大学受験や就職に向けての「大学入試ガイダンス」です。大学入試は高3生になってから慌てるようでは手遅れです。
中3向けガイダンスの中で,覚えてもらった受験知識の確認に,筆記試験形式で○×クイズを問いてもらいました。
そのうちのいくつかをピックアップして紹介しましょう。
生徒たちには,資料を見ながら解くことができましたが,この記事ではノーヒントになりますので少し難しいかもしれません。
では,問題です。
1.「公立高校一般入試」では,「職業専門科高校」の方が「普通科」よりも筆記試験の配点が高い判定型になることが多い。○か☓か?
2.「公立高校一般入試」の入試問題は,定期テストの問題よりも難しいことが多い。○か☓か?
答え合わせをします。
1.×
一般には普通科の方が筆記試験の配点が高く,職業専門科の配点が低い傾向にあります。
ただし,例外はあります。例えば本年度入試までで西尾市の鶴城丘高校はⅢ型で筆記試験重視型でしたが,同レベルの碧南高校はⅠ型で均等型でした。どの型を選ぶかは高校ごとの判断ですので、まれにこのような逆転が起こることがあります。
新年度入試の判定型は4月頃に公表予定です。Ⅳ型やⅤ型が追加され,各高校がどのような選択をするのか注目しどころです。
2.○
入試問題は易しい問題から難しい問題まで,バランス良く出題されます。比較的基礎問題の出題が多い定期テストよりも入試問題の方が難しいといえるでしょう。
定期テストで9割の得点率の生徒は入試で8割,6割の生徒は4割といったくらいの得点率になるのが平均的ではないでしょうか。
3.○
愛知県の中3生の成績向上は他府県よりもだいぶ大きめです。毎年の学力調査などでもはっきりとした結果が出ています。愛知県は他府県と違い複合選抜を採用しています。複数の受験ができることで競争が起こり,その結果成績が向上するのだと思われます。
4.×
愛知県では全日制の高校に進学できる生徒は90%程度になります。
クラスで3-4人は進学できない計算ですね。進学できない生徒の大半は定時制高校や,専修学校高等課程に進学する生徒が多いです。専修学校高等課程に進学の場合は通信制の高校に入学して、高校卒業資格を取得しに行きます。全日制に限らない場合の高校進学率は98%程度になります。ただし高校は中退する生徒も年間2.1%くらいずつ出てしまいますので,定時制や通信制を含めても高校卒業資格を得ることができるのは90%ちょっとになると思われます。
5.○
愛知県の私立高校の推薦入試は「単願」を基本としています。逆に一般入試は「併願」になりますので,公立高校を志望する場合も「滑り止め」で私立高校の一般入試を受験するように中学校から進路指導を受けることになります。
一部の難関校を除いて,ほとんどの私立高校では一般入試(併願)であっても内申点だけで生徒の合格を確約してくれます。そのため筆記試験は形だけということになります。ただし,一部の成績がギリギリの生徒や、不登校などで内申点が足りないが実力があるというような生徒は中学校を通じて予め高校に話をつけておいた上で、筆記試験の結果を待った上で合否を決めます。
6.×
私立高校は「単願」である推薦入試の方が合格ボーダーが低くなります。
逆に公立高校の場合は推薦入試の方が合格ボーダーが高くなる傾向にあります。ただし推薦枠の関係で、公立高校普通科は一般入試と推薦入試のボーダーの差が大きいですが、職業専門科は小さくなります。
職業専門科を狙っている生徒は,推薦入試の出願もおすすめです。
7.×
中学校は公立であれば,だいたいどの中学に通っても同じよいうな指導を受けることができました。
高校は、学科や高校のレベルによって受けられる指導が大きく異なります。
ただし、同じ県内の普通科で、レベルが同じ程度であればだいたい似たような指導を受けることができます。たとえば西尾市の西尾高校と、大府市の大府高校、名古屋の中村高校などはだいたい似たような指導が受けられると考えて間違いないでしょう。
わざわざ遠く普通科高校を受験しに行くメリットは低いでしょう。
公立高校と違い,私立高校は個性豊かですので検討している生徒は入学説明会や体験入学には必ず参加しましょう。
8.×
もともと商業科というのは,今ほど大学進学が一般的ではない時代に,事務のできる人材を促成栽培するために作られた学科です。
しかし,時代の変化に伴い、高卒での事務職の求人はおそろしい勢いで減っています。絶対に無理とまでは言えませんが。
工業科など他の職業専門科よりはマシなのでしょうが,商業系の学科を卒業しても卒業後の就職先は製造業で工場などが大半になってきます。愛知県がとりわけ製造業の求人が多い地域であることも影響しているでしょう。
事務職での就業を考える場合は、大学進学のできる普通科を選ぶのが無難でしょう。
9.×
車の設計は,専門職技術職の領分になりますので,大学の工業科に進学し、できれば大学院で修士資格を取得しなければ、仕事にするのは難しいでしょう。
現場における自動車の組み立てや、自動車の整備の仕事などは高校の自動車科から選びやすい仕事になります。
10.×
公立の普通科進学校は原則的に大学に進学するための勉強をするための学校です。将来、現場での仕事をしたいと考えている場合は、高校のレベルを落としても職業専門科を選ぶべきです。例えば、トヨタ自動車などの大企業では高卒相当で工場で働いてくれる人材を高校新卒から正社員採用を行っています。ですが大学卒業者が大企業の工員として働きたいと思った場合は、非正規雇用からのスタートが一般的でしょう。
高校はあくまでも途中経過に過ぎません。レベル的に格下の高校に入ったとしても、高校内での競争が始まりますので、高い学力が無駄になることはありません。
また高い学力と成績がある生徒で,現場の仕事をしたいと考えている生徒には、大企業が運営している企業内学園なども選択肢に入ってくるでしょう。
11.○
入試日程が3週間早くなりますので、中学校でも中3内容の大半は2学期までに修了させる必要があるでしょう。特に社会科などは,以前は中3の頭から行っていたのが現在は2学期からのスタートになっています。結果,公民はほぼ2学期の1学期間だけで修了することになるわけです。英語なども学習内容が増えています。生徒には大きな負担になるでしょう。
12.×
当塾に限らずなのでしょうが、受験対策の講座は一般入試の筆記試験で点数を上げるための対策を中心に行います。そのため、定期テストで点数を取り、内申点を上げることを一番に考えなければならない私立単願の生徒には向いておりません。
ただし、受験に関係なく将来のために学力をつけておきたいという意向であれば、私立単願を希望する生徒でも受講を申し込むことはできます。
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