2014年1月24日金曜日

教材マニアクス「あい・キャン」英語

あい・キャン 英語

基本情報
教材名 : あい・キャン
出版社 : 学書
シリーズ対応教科 : 
英語、算数、国語
製本 : A4
特徴 : 無学年進級式(全24級)


「あい・キャン 英語」は学書が2014年度に新刊する小学生向けの英語教材です。
既刊のテキストで「あい・キャン国語」「あい・キャン算数」(各全42級)もありますが、その性質はだいぶ異なります。この「英語版」の方が、はるかに大きな予算をかけて開発された革新的なテキストでしょう。
まず、テキストの最大の特徴として、以上の内容があげられます。
たぶん、今年の学書はもうこの「あい・キャン」の開発と営業に命をかけていたんでしょうね。制作者側の気合いがめっちゃ伝わる良いテキストです。

私の好みかといと、コンセプト自体があまり好きではないのであれですが、非常に素晴らしいテキストなのは間違いありません。
昨日の教材展示会でも、かなり好評そうで、教室での採用を検討して話し合っている先生方が数多くいました。

無学年進級式

国語や算数以上に無学年方式は便利そうですようね。

一人ひとりの自分のペースで学習可能

ひとり一人で自分のペースで学習できます。これは非常に重要です。
塾で実際に小学生に英語の授業をする場合、たとえば一斉塾で指導する場合などは、同じ学年の生徒でも学習の進捗に大きな開きがあるのが普通です。
幼稚園の頃から英語を始める生徒もいれば、小学高学年から始める生徒もいるわけですから、当たり前です。そうした生徒を一度に教えるのは非常に難儀なのですよね。レベル別クラスという方法もありますが、それでも生徒格差は大きくなりますので授業をする側としてはうまく授業を成立させるのは至難のワザです。職人芸です。それも上手にやっても、ただ英語で遊んだだけになっちゃおうkとおが多いのですよね。
ところが、この「あい・キャン」を個別指導で扱えば、生徒が各自のペースで勉強できるので、非常に効率的です。またテキストに沿って演習させるだけで良いので、講師の質が低くても指導しやすいでしょう。

指導がしやすい平易な内容/文法を扱わないパターン演習方式

基本的に、このテキストでは文法を扱いません。ひたすらパターン演習を繰り返します。
そのため文法の説明の難しい低学年からの指導につかえます。小学1年生から使えるでしょう。

タッチペンによる単語や例文の読み上げ

これが一番の売りですね。ペンでチェックするだけで、単語や例文を読み取ってくれます。
CDを用意したりするより、ずっと楽ですね。
素晴らしいツールです。

スタートラインチェックテスト

まず、チェックテストが利用できます。まずこのテストを受けて貰って、どの級から始めたら良いのか
今日の展示会では、印刷されたものが配布されていましたが、pdfでの配信もしているようです。生徒にこのテストを受け手もらってからどの級から始めるかを検討できます。

模範解答

スパイラルやオンリーワンでも恒例の縮小コピー型の模範解答です。
しかも、特色2色刷の贅沢な内容。本体はフルカラーですし。これは贅沢です。
(特色2色刷りの印刷コストはフルカラーとほとんど変わらないくらい高いのです!)
低学年の生徒でも丸付けしやすい親切仕様です。

上記、本体と模範解答、おまけの表彰状です。
各級をクリアしたら賞状をあげるのですね。こういうのが子どものやる気を助長します。大人からすれば益体のないものですが、こういうのはきちんと使ってあげたいですね。

さて、次に具体的なテキストの中身についてです。
テキストで扱われている内容を、公式HPからコピペしてきました。
(特設HPを作っているところからも、学書の本気さがうかがえます。)

1級 身近な単語(くだもの・野菜・食べもの・飲みもの・乗りもの・動物)
2級 身近な単語(家でつかうもの・身につけるもの・体・色・形・数字・天気)
1~2級は、音声を聞いてイラストを選ぶというだけの問題です。アルファベットの書き取りすらまだです。

3級 アルファベット・フォニックス
アルファベットの書き取りが出てくるのは3級でようやくですね。

4級 語彙(国名・職業・形容詞),文の語順理解,be動詞(I am ~ ./ You are ~ ./Are you ~ ?)
5級 語彙(生き物・学校で使うもの・教科・スポーツ・楽器),文の語順理解,be動詞,一般動詞の読み・書き(What's this?/How many?/How much?)

4級から文が出てきて、5級には疑問詞も登場します。
しかし、文法の説明は一切なし。むしろこのテキストを使うのなら教えないのが正解なのでしょう。

6級 語彙(建物・場所・店・乗りもの),文の語順理解,一般動詞(肯定・否定)の読み・書き
7級 語彙(種類を表す名詞),文の語順理解・be動詞・一般動詞(疑問)の読み・書き(What do you ~ ?/What's your name?/How old are you?/Where are you from?)
8級 語彙(名詞・形容詞),文の語順理解,be動詞(This is ~ ./This is not ~ ./Is this ~ ?)
9級 語彙(名詞・副詞・動詞),文の語順理解,様々な表現の読み・書き(形容詞+名詞・一般動詞の肯定・否定・疑問)
10級 語彙(建物・場所・店・動詞),文の語順理解, 様々な表現の読み・書き(命令文・Let's ~ ./Please ~ ./Don't ~ ./Where ~ ?/When ~ ?/How ~ ?)
11級 語彙(曜日・月の名前),文の語順理解, 様々な表現の読み・書き(How many ~ ?・What time ~ ?・What day ~ ?・What's the date ~ ?)
12級 語彙(名詞),文の語順理解,様々な表現の読み・書き(Which do you ~ ?・Which 名詞 ~ ?・When ~ ?・Where ~ ?)


13級 語彙(家族と人),文の語順理解,様々な表現の読み・書き(He/She is ~ .の肯定・否定・疑問・Who is ~ ?/We/They are ~ .)
14級 語彙(動詞・名詞),文の語順理解, 様々な表現の読み・書き(一般動詞に-(e)sのつく形)
15級 語彙(動詞・名詞),文の語順理解,様々な表現の読み・書き(Does/doesn'tを使った一般動詞の否定・疑問)
16級 語彙(動詞・名詞),文の語順理解,様々な表現の読み・書き(疑問詞What・Where・When・Which・Who・How)
9級には、前置詞句など少し難しめの文が登場しています。

14級では三単現なども登場します。

17級 be動詞(肯定・疑問・否定),対話文の内容理解(40語程度)

まともな文法の説明は17級です。4級で登場したbe動詞がここで初めて説明されます。
むしろ、ここまでは文法の説明をしてはいけないテキストなのでしょう。
教える方のストレスがたまりそうです;

18級 一般動詞(肯定・疑問・否定),対話文の内容理(40語程度)

18級では一般動詞の文法も説明されていきます。ここからはだいぶ急ぎ足で、今まで登場した内容を文法的に理解しなおしていきます。

19級 疑問詞(What / Who),対話文の内容理解(40語程度)
20級 命令文(Do / Don't / Please / Let's),対話文の内容理解(40語程度)
21級 名詞の複数形・代名詞の複数形(We / They),長文・対話文の内容理解(50語程度)
22級 時刻・曜日・日付,長文・対話文の内容理解(60語程度)
23級 疑問詞(Where / Whose),長文・対話文の内容理解(70語程度)
24級 助動詞can(肯定・疑問・否定),対話文の内容理解(80語程度)


24級の内容です。16級までは独立した単文ばかりでしたが、文法が扱われ始める17級以降は対話分の読解も扱われています。

学習内容のリストだけを見ると、かなり高度なことを扱っているように見えますが、そうではありません。
このテキストではじめてまともな文法的な説明が登場するのは、17級のbe動詞の使い分けのところです。
それまでも、be動詞も多数登場しているわけですが、文法的な説明はせずにただパターンで覚えさせるという趣旨になっています。

中学生や、中学準備をする小学生にこうした文法をおろそかにした初歩的な英語の学習が効率が悪いことは言うまでもありません。
ただし、こうしたパターン学習型の勉強でも英検などは取得できてしまいます。中学や後の勉強を考えれば、そうした学習が好ましいとは思えませんが。
ただし、日本語の「主語や述語」が分からないような学年に英語の文法を説明することもナンセンスなのですよね。

例えば、小学1~3年生などの英語指導については、当教室でも「あいキャン」を使いたいと思います。
とはいえ、そのあたりの学年の生徒に英語を教えるのは早すぎると思ってはいます。まずは国語の読解や文法(ことばのきまり)などを学ぶことの方がずっと有意義です。小学校低学年の子どもというのは日本語もまともに使えていないのが普通なのですから。

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