2021年11月9日火曜日

超訳の功罪

超訳を謳った本があります。

直訳でも、意訳でもなく、原典をさらに手短に分かりやすく、読者にその本質を理解しやすいように訳したものを超訳と呼ぶようです。


わかり易さの程度の順に並べると、

直訳<意訳<超訳


原典への忠実さの順に並べると、

超訳<意訳<直訳


という順になるわけです。

特にオススメなのが、哲学思想についての超訳本で、





小川仁志 超訳「哲学用語」事典

ルサンチマン「負け惜しみ」

パラドクス「一見もっともらしい矛盾」

ペシミズム「何でも悪くとらえる態度」


富増章成 超訳 哲学者図鑑

ベンサム「快楽の量を計算して、それが最大になればよいのだ」

マキャベリ「為政者は政治と道徳を切り離さなければならない」


前者は哲学用語について、後者は哲学者の思想について、ずばりというよりもばっさり解説してくれています。


知らない知識については面白く学べますし、知っている思想や思想家についての解説についても「そこまでバッサリ言っちゃうの?言いすぎじゃねw」と笑いが堪えられません。

どちらの本も、著者の深い理解と、高い本質を捉える能力が伝わってきます。


たいへん分かりやすくて、面白い本ではあるのですが、

本来哲学を学ぶ楽しみというのはある思想について知ることだけではなく、その思想を学び、自らその本質を捉えて抽出し、昇華していくことで、思索を深くし、己を高めていくところが一番なのではないかと思います。

そういう意味では、学問的な楽しみの一番良いところを奪ってしまうのが「超訳」の罪ではないでしょうか。











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