2013年5月5日日曜日

社会科教材へのこだわり(2)

教材開発の第一弾として、社会科の受験対策教材を選んだのは、その必要があったからです。

塾教材は多くの出版社が出していますが、個別指導塾で使う満足のゆく社会科の受験対策教材は今のところ存在していません。

既存の受験対策教材は、どのようなものがあるのか、またどのような点で不足しているのか検討してみましょう。


1.中学校で配布される受験対策教材

まず、中学校で配布される受験対策教材です。




















































「社会の新研究」

良い点
解説が詳しく、自習用には比較的良い。
安い。

悪い点
つめこみすぎ。
簡単な問題から、難しい問題まで幅広すぎる。繰り返し学習にならない。
学力が高い生徒にしか使いこなせないのに、基本的なところから扱っている。
基礎から応用まで少しずつだけ入れ込んでいる。
不必要なカラーが多く、大切なところが分かりにくい。
印刷の綺麗さが重視されている反面、紙質が教材に向いていない。

総評
学校用教材なので仕方ないが、あらゆる生徒に対応できるようにした結果、あらゆる生徒に向いていない教材になってしまっている。
中学校で配布される受験対策教材は類書が多い。
少なくとも個別指導塾で使いたいと思えるような種類の教材ではない。


2.既存の受験対策教材(塾教材)


次に、既存の受験対策教材です。
良い教材として、挙げることができるのは、

・ フォレスタゴール(SPRIX)
・ 公立高校完全演習 SUMMER(学悠出版)
・ 公立高校完全演習(学悠出版)

の3点です。
これらはいずれも出来が良いです。























































「フォレスタゴール」

良い点
もっとも易しい受験対策教材。
高校入試の問題で問われやすい資料の読み解きや、思考力を問う問題を多くとりあつかいながら、非常に易しい。
基礎知識の確認から入っていて、個別指導用の教材として使いやすい。

悪い点
資料・史料がやや少ない・または小さい。
問題の質が微妙。入試対策については易しすぎる。

総評
個別指導用教材として、ほとんど唯一といって良い受験対策教材。
悪い点として挙げたところも、長所の裏返しでもある。
ただし、基礎確認から入っているものの、そのあたり通常版のフォレスタよりはかなり弱く、ある程度基礎知識がある生徒でないと扱いづらい。通常版のフォレスタほどの完成度はない。



































 「公立高校完全演習SUMMER/公立高校完全演習

良い点
「愛知県」の公立高校入試傾向にちゃんと対応した唯一のテキスト。
ほかのテキストは「愛知県対策」をうたっていても、微妙に外している。例えば、進研ゼミなどの通信教育もだいぶ外している。

悪い点
5教科合冊なので、問題量が少ない。
基礎知識の確認などSUMMERの方にちょっとあるだけで、入試レベルの問題集であるため難しい。
高い。段違いに高い。

総評
ある程度の基礎を身につけた上で使いたい。過去問を使って演習するようなもの。


3.受験レベルにまで対応できる通常教材(塾教材)

通常用の教材でも、受験レベルまで対応したテキストは数多くあります。

紹介するのは

新中学問題集(教育開発出版)
ウイニング(好学出版)
iワーク(育伸社)

これらも、とても良いテキストです。
一斉形式の集団授業で使うのなら、非常に完成度の高い教材だと思います。
ただ、これらはそれなりに難しいですし、受験対策でこれをすべて一からやり直すというのは困難です。
ここに挙げる3つの中では一番易しいのは「iワーク」ですが、このあたりを使いこなすには、少なくとも平均レベル程度の学力は必要でしょう。平均以上の力を持つ生徒も、最初に使うテキストとしてはハードルが高いと思われます。





































  「新中学問題集

良い点
基礎から実践的な応用問題まで幅広く取り扱う。

悪い点
個別指導用教材ではない。

総評
教育開発出版がもっとも力を入れて作っているであろう教材。
解説ページの内容、問題の質、ともにすばらしい。





















































  「ウイニング

良い点
新中問と比べて、2色刷で見やすい。
新中問と比べて、図表が分かりやすい。

悪い点
新中問と比べて、内容が甘い。

総評
新中問とは良く似たテキスト。コンセプトも近い。


iワークは写真取り忘れました。
後日修正UPします。



  「iワーク

良い点
フルカラーで図表が見やすい。
図表・資料写真などが豊富。
繰り返し学習ができる。
新中問やウイニングよりもやや易しい。ワーク系のテキストとしては、やや難しめ。

悪い点
新中問やウイニングなどと比べて、扱っている問題の種類は少ない。

総評
こちらも非常に定評のあるテキスト。


3.易しめの教材(塾教材)


易しくて、基礎知識の導入に向いたテキストで、良い教材はいくつかあります。
紹介するのは、

フォレスタ(SPRIX)
ウイニングスプラウト(好学出版)
中学必修テキスト(文理)
ニューベーシック(学書)
KEYワーク(教育開発出版)


ただ、これらのテキストは、学校の定期テスト対策には良いものが多いですが、受験対策にはまったくなりません。
































   「フォレスタ

良い点
基語句の確認には良い。
易しく、スモールステップ。
繰り返し学習ができる。
個別指導用に使いやすい。

悪い点
資料がほとんどない。

総評
良い教材ですが、受験に向けてという点ではまったく使えません。これを一通りやった上でフォレスタゴールなどを使うことが想定されているのでしょう。






































   「フォレスタ

良い点
めちゃくちゃ易しい。
分かりやすい。易しく、スモールステップ。
2色刷りで図表も見やすい。
写真や資料も意外とそろっている。

悪い点
内容が足りない。
なめてんじゃないのかってくらいにレベルが落としてある。成績中位以上の子には向かない。

総評
フォレスタよりも易しいという驚愕のテキストです。
当塾では通常授業では、社会科もフォレスタを使っていますが、正直社会科に関してはこっちにしようかとも迷いました。ただ、内容的に足りないところが多いことや、ほかの教科と指導のオペレーションが異なってくることを嫌って、採用を取りやめました。





















































   「中学必修テキスト

良い点
基礎知識が手厚い。
解説のページが1ページでコンパクトで、解説ページを見ながら一問一答式の基礎の確認ができる。
ワーク系のなかでもっとも易しい。
図表の整理のページの出来がだいぶ良い。

悪い点
基礎語句の確認までしか扱わない。ニューベーシックやKEYワークでは扱うような、ちょっとだけ応用の問題を扱わない。

総評
社会科については、とても良いテキストです。テスト前などに、生徒が自習したいというときにはよく貸し出しています。





































   「KEYワーク

良い点
使いやすいワーク系のテキスト。
要点はきっちり押さえてある。

悪い点
解説のページが中学必修テキストと同様に1ページにコンパクトにまとめられているが、ページハイチが解説を見ながら一問一答を解くことができない。このあたりは思想の違いなので、良い点と評価することもできるだろうが。

総評
良いテキストであるが、同じ教育開発出版の新中問と比べると、作り込んでいる感じがしない。






















   「ニューベーシック

良い点
出版社(学書)の対応が親切。

悪い点
内容がイマイチ。図表で整理する問題が最低。

総評
コンセプトがイマイチ伝わってこない、とりあえず作ったという教材に見える。
中学必修テキストと、構成は似てる。



さて、一通り見てきましたが、当たり前ですが、すべての面で良いテキストなんてありません。
どこかを重視すれば、どこかが弱くなります。
すべてを詰め込もうとすると、学校で配布される自習用の受験対策教材と同じようになってしまうでしょう。

今日紹介させてもらった塾教材も、ほとんどが使いようによってとても良い教材ばかりです。

そこで、開発するテキストは、


「作成中のテキスト(名称未定)


良い点
基礎的な知識の確認から始めるので、これまで勉強不足だった生徒でも扱うことができる。
ただし、高校受験に向けて優先度の高いものだけに絞る。
資料の扱い、図表の整理に力を入れる。
覚えるコツを自然と身につけることができる。
入試問題や、それに近い問題を配置し、基礎知識と知識の利用をリンクさせる。

悪い点(あえて重視しない点)
扱ってないタイプの問題が多い。
定期テストで点数を取るのにはまったく向かない。
受験対策としても、単体では問題量不足。十分でない。


総評
受験対策の導入編として、良いテキスト。
受験対策補助教材というニッチな目的にしか使えない。


以上のような評価のテキストを目指します。
そして、このテキストを使って、高校入試での社会科の得点力の倍増を目指します。

次回は、具体的にどのような誌面構成になっているかを、紹介していきます。





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