2013年12月4日水曜日

天秤図を使ってみよう2 (計算は青太字の部分だけ)

昨日の記事は天秤図がどのように使えるかを紹介しましたが、天秤図をまったく知らない人には分かりづらい記事になってしまいましたので、今日は具体的に使い方を説明しましょう。


昨日も紹介したこの問題で説明しましょう。

Q1
濃度20%の食塩水と、濃度30%の食塩水を混ぜて、24%の食塩水を500g作ります。20%の食塩水と30%の食塩水はそれぞれ何グラム必要ですか。

天秤図というのは、文字通り「てんびん」のような図を書いて考えます。
イメージしやすいように、今日はより「てんびん」を模したイラストを用意しました。

イラストに作成に使用したソフトはマイクロソフトエクセルです(笑)



天秤図は2つのものを混ぜたり、その平均を取ったりするのに利用します。
(応用によっては、3つ以上のものでも使えたり、またこの食塩水では食塩水の質量を求める問題ですが、逆に濃度を求める問題などにも利用できたりと、その応用できる範囲は非常に広範です。ただし、そのあたりはちゃんと扱うと長くなるので今日は扱いません。)

天秤図では、

・ 混ぜ合わせる2つのものを、両端の皿に置き、
(この問題の場合は、20%の食塩水と、30%の食塩水です)

・ 混ぜ合わせたあとにできるものを中央の台に取ります。
(この問題の場合では、24%の食塩水です)

ここで、台と両端の皿と台までの距離を測り、その距離の比を取ります。











この問題の場合は、20%と24%の間は4%で、24%と30%の間は6%なので、

4% : 6% = 2 : 3

ここで、20%のところの皿と、30%のところの皿にそれぞれ食塩水を置きます。
実際のてんびんと同じように、「てこの原理」を踏まえて、つり合いのとれるように置きます。











てこの原理によると、台(支点)からの距離と載せる重さは比を逆にしてとれば良いので、

20%の食塩水 : 30%の食塩水 = 3 : 2

24%の食塩水は、この2つの食塩水を混ぜたものなので、

20%の食塩水 : 30%の食塩水 : 24%の食塩水(500g) 
= 3 : 2 : 5

となります。この比の計算から、

20%の食塩水 = 300g
30%の食塩水 = 200g

になるわけです。











この結果を図示すると、以上のようになります。
天秤がきちんと左右で釣り合ってますよね。
このように、釣り合いが取れるように調整することが「天秤図」の基本であり、極意です。

さて、このように書いて説明すると長くなりますが、実際に計算する分量は「青太字」で書いた部分だけです。
計算ともいえないような簡単な計算ですよね。
実際に行いながら説明すると、小学生の生徒でも大半の生徒は一発で理解してくれます。
(ただし、理解して同じタイプの問題に利用できるだけでは不十分で、さまざまな問題に応用してこそ意味のあるテクニックです。なので、「理解できるだけ」の生徒には教えない方が賢明でしょう)

天秤図は、さまざまな中学受験のテクニックのなかでももっとも中学受験らしいテクニックの1つだと思います。
そのほか、中学受験にはさまざまな線分図の利用法や、面積図などおもしろいテクニックがいくつもあります。
算数が好き、数学が好きという生徒には、中学受験をしない場合でもちょっと触れる機会をもうけてあげると楽しんで貰えると思います。

また、いろいろな意味で実用的なテクニックでもあります。
高校物理の力学の計算原子量や中和滴定などの化学の計算数列や関数の応用問題の一部、生物の遺伝問題期待値資料の統計など。
ほんとうに様々な問題に応用できて、中学や高校で学習する標準的な解き方と比べ、大幅に作業を短縮できちゃいます。

0 件のコメント:

コメントを投稿