もう何年前、静岡県にある教室で指導していたときのことです。
強い印象に残っている出来事がありましたので、書いておきます。
5教科の中で理科だけがが非常に苦手な生徒がいました。
なんとか苦手を克服させたいということで、夏期講習を使って半ば無理矢理に理科の特訓を行いました。
でも、苦労の甲斐はあって、休み明けの学校のテストではかつてない高得点をゲット。
本人も誇らし気でした。
その次の塾での理科の授業なのですが、いつもはグズついていて、勉強に集中してくれるまでが長いのですが、その日は違いました。
のっけから問題集に齧り付いて、こちらが黙っていてもカツカツとこなしては、分からないところだけ質問してくれます。
あまりの露骨な態度の違いに、わたしもついついからかいたくなって、言ってしまいました。
「どうしたよ、いつもと全然態度が違うじゃん。
あんなに理科が嫌いだって言ってたのに」
そうしたら、彼はしれっと答えました。
「バカだなぁ、先生。
勉強ってのは、分かるから面白いんだろ」
グウの音もありません。
生徒から教えられるとはまさにこの事です。
勉強の楽しさというのはいろいろな楽しさがあって、深く学ぶにつれどんどん新しい発見があるものだと思います。
ですが、一番初めにある楽しみは彼の言う「分かる面白さ」なのでしょう。
努力して、分かるようになって、それが結果として出て、周囲から認められたと感じる
それを感じたからこそ、彼は大嫌いだったはずの理科を好きになってくれたのだと思います。
勉強の初めの楽しさをこれからも伝えていける塾作りをしていきたいと思っています。
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