2012年11月27日火曜日

集団形式・一斉授業の行い方 1

生徒の成績を上げるには、黒板を使った一斉授業よりも個別指導の方が良い。

そう考えるからこそ、当塾では個別指導での指導を選んでいます。
けれども、一斉塾には一斉塾の考え方やノウハウがあって、個別塾では実現できない指導をしていることも間違いありません。

一斉塾の講師は、どのような授業をしているのか、簡単にですが説明させてもらいます。


1.年間の授業計画を立てる

年間を通して、どの週にどの単元を扱うのかといった計画を立てます。
(大きな塾の場合、エラい人たちが会議で決めて、各教室の担当者はそれに従います。)
多くの塾は複数の中学校区から生徒が通ってきますので、個別指導塾の場合はそれぞれの学校の進度に合わせて進度を調整できますが、一斉塾の場合は難しいところがあります。ですので、この年間の指導計画は非常に重要です。
この計画が失敗すると、「塾でやってることと、学校でやってることが全然違う!」というクレームに繋がります。

2.授業計画を作る

年間の授業計画、使用するテキストにあわせて授業計画を立てます。
「イントロの説明」「例題の説明」「生徒の演習」「答え合わせ」それぞれにどれくらいの時間配分をするか、あたりをつけておきます。
また多くの場合は、テキストのすべてを授業で扱うことはできません。どの問題を授業で扱い、どの問題を扱わないのか、また宿題ではどこを出すかなどもこの段階で決めておきます。

3.板書案を作る

板書というのは、黒板に何を書いて、どう教えるかという授業計画のことです。
これをノートなどに作っておきます。
限られた授業時間の中ではありとあらゆることを、教えるのは無理です。板書は絞り込まなければなりません。

特に大切なのは「イントロの授業」の部分です。
「イントロの授業」(または「導入の授業」)というのは、各単元をはじめて勉強する生徒に、考え方の基本から教える部分です。一斉塾では原則的には予習で授業を行いますので、必ずこの「イントロの授業」が必要になります。
一斉塾の授業では、この部分の授業が一番難しいのです。何も知らない生徒に一から教えるというのは、たいへんなことなのです。けれども、難しいだけに講師の腕の見せ所でもあります。

「イントロの授業」の部分で、大切なポイントとして、
・ 分かりやすくシンプルに
・ 生徒の興味を捉えられるよう面白く
というところは必ず意識するところです。

余談ですが、多くの進学系の一斉塾では復習型の学習塾を「補習塾はダメだ」などと言ってバカにします。個別指導の学習塾も、今では予習型のところが増えてきていますが、10年ほど前の黎明期は大半で復習型の教室が大半だったようです。ですのでプライドの高い一斉塾の先生は、「個別指導塾なんて塾じゃない」と切り捨てます。
私も個別指導塾で教えている身としては、そう言われっぱなしでは悔しいので、質の高い指導を個別指導で実践して、成果で見返してやると常々思っています。一斉塾には負けませんヨ!

SSS進学教室のような個別指導塾では板書案は作りません。
特に、フォレスタのような個別指導専用教材では、板書の代わりになる質の高い説明のページがそのままついています。講師が苦労して板書を作らなくても、もっと良いものが簡単に利用できてしまうんですよね。

4.授業の練習をする

板書案ができると、授業の練習をします。
一日の授業が終わって生徒が帰ったあとの教室で、一人黙々と練習をします。
シャドウボクシングならぬ、シャドウ授業ですね。
「ここで、生徒にこう発問(授業中に生徒に質問すること)しよう」
「ここのところはA君に発問して、ここは難しいので勉強の得意なB君に発問しよう」
「このあたりで、このギャグを入れて生徒から笑いをとっておこうか」
などということも考えておきます。
誰も居ない教室で、突っ込む人のいないギャグをかますのを本当にセツナイです。
質の高い一斉授業の背景には、こうしたセツナイ努力が隠されているのです。
また、他の教室の先生などと一緒に、授業の勉強会・練習会を開いたりします。お互いの模擬授業を見て、「ここはこう教えた方が良いのじゃないか」「ここは省いて、別のところに力を入れるべきでは」「ここは生徒のハートを掴むナイスなギャグがあるよ」などと、研鑽し合います。ですので、一斉塾では授業は午後からでも午前中からけっこう忙しいです。

個別指導の授業では、当然そこまでやりません。生徒の一人ひとりの学習状況に合わせて指導をするのですから、個別指導ではまったく必要のない手順です。

5.授業をする

入念な準備と練習の成果を見せるところです。
特に生徒への発問は大切です。上手に発問しないと、授業の流れが切れてしまいます。
また、多くの生徒を同時に教える場合は、生徒全員の様子を常に把握しておくことが大切です。集中力が切れかけている生徒に、声を掛けてあげたり、発問をしてあげることが大切です。
(これが難しいのです。私は本当に苦手です(汗;)

6.個別にフォローをする

一斉授業では、多くの生徒に同じ授業をします。
そうすると、生徒によってよく理解できている生徒と、いまいち理解が不十分な生徒がどうしても出てしまいます。その場合は、授業後に居残りで補習をさせたり、なんらかの個別フォローをさせます。
ただ「できないから居残り」を繰り返すと、生徒は自分を落ちこぼれだと思い込んでしまったり、モチベーションが低下してしまう原因にもなりかねません。特定の生徒を特別扱いするような指導はできるだけ避けます。授業後の補習は、生徒全員を残して、生徒ごとに課題を異なる課題を扱うという個別指導塾に近い対応をする場合もあります


さて、大雑把に説明しましたが、一斉塾の先生の仕事というのはタイヘンなのです。
高度な技能が要求される職人ワザです。
しかし、現実には塾の先生のすべてが、それを完璧にこなせる有能な人ばかりではありません。塾の仕事というのは、仕事がたいへんなだけに、人の入れ替わりも激しい業界です。当然、新人の講師も多くて、新人の講師の授業は多くの場合は下手くそです。新人の講師が一人前になるまでには長い時間が掛かります。

その点、個別指導塾の中でも当塾のような個別指導塾専用教材を採用した最新のシステムを導入している塾ではそのあたりの問題点が克服されています。
指導システムがシンプルに確立されているので、教えるのが非常に楽なのです。個別指導塾の講師は、どうしてもアルバイトの先生なども多くなってしまいます。アルバイトの先生に優れた働きをしてもらうための、仕組みが合理的に構築されているんですよね。
(と、結局は自塾のシステム自慢になってしまいましたね(笑;;)

さて、次回の記事では、具体的にどのように板書を作るのかの例を紹介させてもらいます。
次回、板書例など紹介します。

0 件のコメント:

コメントを投稿